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地方創生フォーラム:北陸ブロック

北陸ブロック

開催日:平成27年2月22日(日)
会場:サイエンスヒルズこまつ ひとものづくり科学館 わくわくホール

人口減少時代の地域活性化をテーマにした「地方創生フォーラム~地方が変わる、日本が変わる~」の第6回が2月22日、石川県小松市で開かれました。約300人が参加し、北陸地方における観光、地域伝統のものづくりや移住支援など自らの地方創生に取り組む方々の活動報告に耳を傾けました。

人口減少克服と成長力確保目指す(概要)

谷本正憲 石川県知事
谷本正憲 石川県知事

和田愼司 小松市長
和田愼司 小松市長

冒頭の来賓あいさつでは、谷本正憲 石川県知事は、「地方創生は一朝一夕になるものではない。息の長い取組が必要」、和田愼司 小松市長は「人づくりこそが未来への繁栄につながる。改善と人材教育は無限大という考えでまちづくりをしていきたい」とそれぞれ意気込みを語りました。

伊藤達也内閣府大臣補佐官は基調講演で「地方創生は人口減少の克服と成長力確保という二つの目標がある」と説明し、「日本経済にとって地方は宝の山。皆さまには宝を掘り起こしていただき、成長の原動力として活躍してもらいたい」と訴えました。

続いて、北陸地方で魅力的な地域づくりに取り組む5人が登壇。具体的な活動について紹介し、地方創生の課題や方策を話し合いました。

多田喜一郎・農家民宿「春蘭の里」実行委員会事務局長(石川)は外国人も多数訪れる農家民宿の取組を、能作克治・株式会社能作代表取締役社長(富山)は伝統産業衰退の流れを新商品開発で切り抜けた経緯をそれぞれ説明しました。

萬谷浩幸・よろづや観光株式会社代表取締役社長(石川)は、3か月で30万回再生された動画による情報発信の取組を、多田朋孔・NPO法人十日町市地域おこし実行委員会事務局長(新潟)は、限界集落を活性化するための取組、を語りました。さらに福野泰介・株式会社jig.jp代表取締役(福井)は、行政データ活用ビジネスの将来性を強調しました。

活動報告等の概要

地方は経済成長の宝の山

伊藤達也内閣府大臣補佐官伊藤達也内閣府大臣補佐官

伊藤達也内閣府大臣補佐官

地方創生は、人口減少問題の克服と日本の成長力確保という二つの大きな目標を持っています。そのためには、地方が主役となり、地域経済の稼ぐ力を取り戻していく必要があると考えています。

日本経済の成長にとって、地方というのは宝の山で、大きな伸びしろがあります。

ドイツには、世界で高いシェアを誇る「隠れたチャンピオン」といわれる中小企業が約1300社ありますが、日本は220社しかないと言われています。ドイツはそうした中小企業を支援することで経済を立て直しました。日本の中小企業にもドイツに負けない成長力があるはずです。日本の観光産業も、その規模は世界の観光先進国と比べ3倍の差があると言われていますが、ここにも伸びしろがあるはずです。地域の中小企業や小規模事業者、第一次産業、観光、技術革新に焦点を当てて、成長戦略を力強く実行していきます。

また、地方自治体には地方版総合戦略の策定をお願いしていますが、その策定のために、交付金といった財政支援、首長を補佐する人材の派遣や自治体の相談窓口の用意といった人的支援、地域経済分析システムの提供といった情報支援を行っていきます。

地域で暮らしてよかった、訪れてよかった、そう思っていただける方を一人でも多く増やしていくために、皆様の知恵と行動が必要です。私どもはそうした皆様の知恵や行動を一生懸命支えさせていただき、一緒になって日本創生を実現したいと思っています。

地域の特色をきちっと出す

多田喜一郎氏(ただ・きいちろう)多田喜一郎氏

多田喜一郎・農家民宿「春蘭の里」実行委員会事務局長(石川県能登町)

平成8年に「10年経ったらこの先奥能登はどうなるか」という思いから、私たちは地域を何とかしなきゃならんということで行動を起こしました。若者が戻ってきて赤ん坊の泣き声が聞こえるような地域にするためには、生活できるだけのお金の循環が必要です。そこで元気な高齢者が農家民宿を始めました。現在では、地域には47軒の農家民宿があり、これまでに延べ1万人の方が来てくれました。うち1700人は外国の方々です。

この元気な高齢者が地域資源です。通訳は一人しかいませんが、それでも外国からお客さんが次々と来てくれている理由は、元気な高齢者がプラス思考で物事を考え、接していること。それが彼らに喜ばれているからと考えています。また、地域の特色をきちっと出した結果だと思います。山菜に野菜に川魚、手作りの箸で、輪島塗の器といった地域のものしか出さないのが、喜んでいただけていると考えています。

地域全体、集落全体がやるのもいいが、それでは結果が遅くなる。好きなもの同士が集まって、先にきちっと行動していく。行動することで、理解を示してくれた人がついてきてくれると思います。

※多田喜一郎氏(ただ・きいちろう) 昭和23年生まれ。砕石会社の会社員などを経て、平成3年多田興業輸送(有)設立、代表取締役社長。平成8年春蘭の里実行委員会設立、平成9年民宿「春蘭の宿」開業。平成15年紙谷砕石(株)代表取締役社長。山村生活が体験できる農家民宿の仕組みを地域に導入、日本の原風景と重なり海外からの訪問者数も伸びている。

攻めの伝統産業で地域貢献

能作克治氏(のうさく・かつじ)能作克治氏

能作克治・株式会社能作代表取締役社長(富山県高岡市)

伝統産業はどこも苦戦しています。これはライフサイクル、市場や流通の変化に対応できていないからです。私の会社も伝統産業である高岡銅器の仏具などを作っていましたが、売り上げは平成2年をピークに右肩下がりでした。日本の家屋から床の間や仏間がなくなり、仏具も売れなくなったためです。

ユーザーの顔や市場の様子を見たいと思っていた頃、展示会に初制作の真ちゅう製ベルを出展しました。これは全く売れませんでしたが、ある店員さんの勧めで風鈴にしたところ大好評となりました。ベルは30個しか売れませんでしたが、風鈴は3000個売れました。これを機に、「素材」と「デザイン」というキーワードで商品開発と販路拡大に取り組みました。錫(スズ)100%の曲がる食器も作るようになりました。

地元は今、新たな錫(スズ)製品の開発が盛んで、うちの会社がやってきたことが地域貢献につながっています。そのほかに、東京や大阪、イタリアのミラノなどで出店した際には、日本や富山に関する情報も発信し、そして実際に来てもらった人には会社見学や実習体験の場を提供する、といった地域を知ってもらう活動も行っています。

日本のものづくりは世界一です。日本人は謙遜する人が多いが、その自信を押し通すことが必要です。

※能作克治氏(のうさく・かつじ) 昭和33年生まれ。大阪芸術大卒。昭和59年株式会社能作入社、平成14年代表取締役。高岡の伝統ある鋳物技術を活かした、デザイン性の高い商品を開発し続け注目を浴びている。従来は欠点とされてきた錫(スズ)の柔らかさを逆手に取った「曲がる」シリーズなどを開発。新規の販路開拓や海外展開、技術者育成にも積極的に取り組む。

地方でも新しい観点を

萬谷浩幸氏(よろづや・ひろゆき)萬谷浩幸氏

萬谷浩幸・よろづや観光株式会社代表取締役社長(石川県加賀市)

加賀温泉郷は、以前から首都圏からのお客さまが少ないため、北陸新幹線開業を迎えるにあたって、首都圏に向けての情報発信が課題となっていました。そこで、旅館の若手経営者が話し合い、地域全体で出迎えるというコンセプトのもと「レディー・カガ」事業を開始しました。

温泉地で働く女性たちが駅でお出迎えする動画を作成し、インターネット上で公開したところ、3カ月で30万回も再生されました。ソーシャルメディアによって拡散すると、世界中にも広まりました。

最初は情報発信だけでしたが、非常にたくさんの方が実際に訪れていただきましたので、その後は、キャンペーン中に加賀温泉駅でお客さんを出迎えたり、実際にお店にいる「レディー・カガ」の人がブロマイド写真入りの名刺を配ったりという受け地の取組を始めました。

今後、観光ガイドなどで取り上げてもらいにくい地域の観光にとっては、どのように情報発信をしていくかということが大事になると思います。

地域にある既存のものにマーケティングやデザインといった新しい観点を加え、現代の文脈の中で地域の魅力を引き出す取組がすごく大事になると思います。

※萬谷浩幸氏(よろづや・ひろゆき) 昭和50年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。平成12年よろづや観光株式会社入社、平成26年代表取締役社長。旅館組合青年部加賀支部長として、北陸新幹線開業に向けた地域連携、おもてなし向上に寄与。斬新なインターネット動画で話題となった加賀温泉郷の女性観光PRチーム「レディー・カガ」の仕掛け人、平成24年第4回観光庁長官表彰受賞。

過疎地の成功モデルが目標

多田朋孔氏(ただ・ともよし)多田朋孔氏

多田朋孔・NPO法人十日町市地域おこし実行委員会事務局長(新潟県十日町市)

今住んでいる池谷集落は8世帯人口19人で、子供は3人の集落です。3月にもう1人生まれますので、もうすぐ4人になる予定です。

私の移住のきっかけは中越地震の復興支援です。コンサルティング会社に勤めていた当時、十日町市の集落で行われた田植えイベントに参加しました。そのとき、日本には池谷集落と同じような限界集落がたくさんある。自分のところが存続されるようになれば、他の集落にとっても希望になるのではないか、という地元の方の熱意に感銘を受け、総務省の「地域おこし協力隊」に応募し、移住しました。

まず、地域の方々と一緒に「5年後の池谷」というビジョンづくりを実施しました。それから約5年経ちますが、住民を理事とする村全体の法人化、若い人を受け入れるための空き家の改修、コメは全量直販など、いくつかの取組が実現しています。

今は、移住促進にも取り組んでいます。移住生活を経験するインターンも年間10人ずつ受け入れたり、講演会や研修会に呼んでもらったりして情報発信も行っています。自分たちの集落を元気にし、過疎地の成功モデルとして、十日町市を、そして日本を元気にすることに貢献したいと思います。

※多田朋孔氏(ただ・ともよし) 昭和53年生まれ。京都大学卒。コンサルタント会社勤務などを経て、2013年NPO法人十日町市地域おこし実行委員会事務局長。田んぼ体験への参加をきっかけに十日町市に移住。限界集落の池谷集落の地域おこしに尽力したほか、移住希望者のためのナビサイトによるイベント情報の発信、農業の6次産業化支援も行う。

人を育てる環境が重要

福野泰介氏(ふくの・たいすけ)福野泰介氏

福野泰介・株式会社jig.jp代表取締役社長(福井県鯖江市)

眼鏡の町・鯖江に会社を作って12年になります。鯖江を世界の中心にしたい。そう言い続けてきました。行政が持っているデータを誰もが自由に使えるオープンデータ化を鯖江市に提案し、日本の行政として初めて採用されました。

行政は特にたくさんの情報を持っています。まさに宝の山で、様々な活用方法があります。

例えば、市が提供するデータを使い、一番近いトイレが分かるアプリ、市バスの運行情報などを提供するアプリや水位情報を表示するアプリなどを作ることができます。鯖江市の女子高生のアイデアで、図書館の空き席情報のアプリを作りました。行政がこうしたサービスを提供しようとすると膨大な費用がかかりますが、一般の開発者が作れば行政はお金がかかりません。

オープンデータをどう使うか、世界でも議論はまだこれからです。このため、日本でいち早く良い事例を作ることに大きな価値があると考えています。地方の人口減少を克服するカギは、地域の価値をどう創造するかです。それには豊かな感性とIT技術を持った若い人材の育成や人を育てる環境づくりが重要です。

※福野泰介氏(ふくの・たいすけ) 昭和53年生まれ。福井高専を卒業後、平成15年に携帯用アプリ開発会社株式会社jig.jp設立、代表取締役社長に就任。誰でも自由にアクセス・利用できる「オープンデータ」に着目し、国や自治体が集めた情報を資源として有効利用しようと、鯖江市の協力を得て取り組みをスタートした。鯖江市のIT推進の中核的存在。

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