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Highlighting JAPAN

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特集「生物多様性、それはいのち 生物多様性、それは私たちの暮らし」

いのちの共生を、未来へ(仮訳)

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今年10月18日から29日まで愛知県名古屋市において、第10回締約国会議(COP10)が開催される。COP10が目指すものについて、ジャパンジャーナルの澤地治が渡辺綱男COP10日本準備事務局長に聞く。

──生物多様性条約の締約国会議は、1994年にバハマのナッソーで第1回を開催してから、今年の愛知・名古屋で10回目を迎えます。世界の生物多様性の状況はどのように変化しているのでしょうか。

渡辺綱男COP10日本準備事務局長:残念ながら、現在でも、かつてないスピードで地球上の生物多様性は失われていっています。

2002年にオランダのハーグで開催されたCOP6では、「生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させる」という「2010年目標」が採択され、また2004年のCOP7では7つの分野と21の個別目標からなる評価の枠組みが採択されています。ただ、今年の5月、生物多様性条約事務局は「地球規模生物多様性概況第3版」において、「個別目標の中で、地球規模で達成されたものはない」と発表しました。

──そういった世界の状況の中で、COP10で議論される主要なテーマは何でしょうか。

COP10の大きなテーマの1つは、なぜ2010年目標が達成できなかったかを反省した上で、より実効的な戦略計画を策定することです。すでに、日本政府を含めた各国政府が、生物多様性条約事務局にポスト2010年目標の案を提出しており、これらをもとに条約事務局が作成した案について議論が進められる予定です。

そして、もう一つの大きなテーマは「遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)」です。2002年以降、ABSに関して、どのような国際的な枠組みを作るかが議論されてきました。しかし、現時点では、遺伝資源の主たる提供国である途上国と、その主たる利用国である先進国との間で、遺伝資源の利用や利益の配分に関するルールを遵守するための仕組みをどう作るかなど、合意に至っていない点も少なくありません。日本はCOP10において、遺伝資源の円滑な利用が確保されつつ、資源の提供国にも遺伝資源の利用から得られた利益が還元されるという、双方にメリットがある仕組みを作ることに最大限努力する考えです。

──現在まで日本は、生物多様性に関してどのような取組みを行ってきているのでしょうか。

生物多様性条約締約国は、生物多様性に関する国家戦略を策定することが義務づけられています。日本では1995年に初めて生物多様性国家戦略を策定し、その後、2002年、2007年に改定しており、日本の生物多様性は人間活動や開発による危機、里山など人間活動の縮小による危機、外来種による危機、地球温暖化による危機という4つの危機に直面しているとした上で、現在までの100年間に乱獲や生態系の破壊によって急速に損なわれた生物多様性を、今後100年かけて回復させ、生物多様性の保全と持続可能な利用が両立する社会を実現させるという「100年計画」を進めています。

また、2010年に改定した「生物多様性国家戦略2010」では、ポスト2010年目標の日本提案をもとに、初めて具体的な目標年の設定を行い、2020年までの短期目標と2050年までの中長期目標を示すと同時に、約720の具体的施策と35の数値目標を掲げています。

──COP10を契機として、日本が進めていく国際社会への貢献について教えて下さい。

まず、ポスト2010年目標を達成するために、日本の経験を活かした開発途上国への支援も進めていきたいと考えております。例えば、生物多様性条約の締約国の中には、国家戦略の策定や改定が行われていない途上国が多いので、現在、日本は各国の国家戦略作りをはじめ、生物多様性の問題を担う人材の育成を目的とした「日本基金」の創設を生物多様性事務局と話し合っているところです。併せて、日本の里地里山をはじめ、世界各地における自然共生の知恵を活かして、自然と調和した持続可能な資源利用を実現していくため、「SATOYAMAイニシアティブ」を提唱していきます。

また、日本は1973年以来、「緑の国勢調査」と呼ばれる、陸域、河川、湖沼、海域における自然環境のモニタリングを行っています。この緑の国勢調査で培った調査方法、分析方法などの知識が、世界における生物多様性に関する科学的な基盤強化に貢献できると考えています。

さらに、生物多様性についても、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のような科学的な提言を行うIPBES(生物多様性と生態系サービスに関する科学政策プラットフォーム)の設立が進められています。このような科学と政策のインターフェースの強化に対しても積極的に貢献していきます。


SATOYAMAイニシアティブ

COP10では「生物多様性の持続的利用」も重要なテーマとなるが、それに関連し、日本政府(環境省)が国連大学高等研究所(横浜を拠点)と協力し推進しているのがSATOYAMAイニシアティブだ。

「SATOYAMAイニシアティブの目的は、日本には里山という素晴らしい仕組みがあるからそれを世界に広げようということではありません」とSATOYAMAイニシアティブの策定に関わっている武内和彦国連大学副学長は言う。「SATOYAMAイニシアティブは、他の国々にもある、里山のような仕組みを持った事例を集め、それらを比較することで、生物多様性を守りつつ、生態系サービスを活かした人間の福利向上を図る共通の戦略を見つけることが目的なのです」

里山は日本人にとって、食料を得る場であり、また、薪や炭などの燃料、医薬や生活用具などの素材も採取する場でもあった。同時にそれらを採取し過ぎることなく、一定のサイクルで資源が循環するような持続的な仕組みを作り上げてきた。

日本の里山のように、人と自然がバランス良く調和した仕組みは世界各国に存在する。それは、韓国では「マウル」、スペインでは「デヘサ」、フランスでは「テロワール」と呼ばれている。

しかし、こうした仕組みは、日本も含め、世界各国で危機的な状況にある。それは、自然資源を使い過ぎる「オーバーユーズ」と、それとは逆に、使わないという「アンダーユーズ」によって引き起こされている。

「自然資源のオーバーユーズでもアンダーユーズでも、生物多様性は保てません。この中間地点ともいえる調和点がどこにあるかを科学的に明らかにすることもSATOYAMAイニシアティブの目的でもあります」と武内副学長は言う。「これは、開発途上国における開発を考える上でも、非常に重要な研究となります」

その最初の試みとして、現在、日本の里山で日本と国連大学高等研究所による研究が行われており、COP10でその結果が報告される。

SATOYAMAイニシアティブはCOP10において正式提案され、条約に関連する活動として盛り込まれる予定だ。

「COP10では、生物多様性条約を、実際に物事を動かす条約にしなければなりません。その意味で、日本の議長国としての役割は非常に重要なのです」と武内副学長は言う。「私たちもSATOYAMAイニシアティブを、社会を変えるという強いメッセージとして発信したいと考えています」

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