Home > Highlighting JAPAN > Highlighting JAPAN 2010年5月号 > 山本光学(仮訳)
産業用ゴーグルからスポーツ用まで、目を守り快適な視界を確保するゴーグル・サングラスの製造で世界をリードする山本光学(東大阪市)。柳沢美帆が同社のものづくりスピリットに迫る。
山本光学株式会社は1911年に大阪市内で眼鏡レンズの加工業として創業し、産業用の防塵メガネ・ゴーグルを主力製品としていた。戦後、日本が高度経済成長期を迎えて国民生活が豊かになりレジャーブームが到来した際、人気レジャーの1つであったスキーで、滑走中にかく汗と外気の温度差でどうしてもゴーグルが曇ってしまう難点があったことにいち早く着目。同社は、防塵メガネレンズのノウハウを活かし、プラスティックレンズに対する防曇コーティングをすることで、世界で初めて防曇ゴーグルを開発した。
1971年に発売された防曇スキーゴーグル“スワンズ”はプロ選手からの高い評価を受け、翌年に開かれたアジア初の冬季オリンピック「札幌オリンピック」では、スキージャンプ競技で、同社のゴーグルを着用した日本選手が表彰台を独占した。また、世界中で多くの競技者が“スワンズ”を採用し、同社を一躍、世界をリードする業界トップ企業へと押し上げた。“スワンズ”は改良を続け、今年のバンクーバー冬季オリンピックでも多くの選手に採用されている。
「スキーゴーグルの開発では、技術開発、企画、デザイン、営業や販売促進の主要スタッフがスキー場に出かけ、自ら着用テストを行っています。同時に、トップアスリートの『何か違和感がある』、『ちょっと見えにくい』、『もう少し風の巻き込みが少なければ』といった数値にできない実感を聞き取っています。大企業に比べた人員の少なさを、社員の機動力で補っています」と山本直之専務取締役は語る。
プロ仕様から一般仕様へ
“スワンズ”は現在、野球、ゴルフ、水泳、陸上競技などの様々なスポーツシーンを飾るブランドに成長している。
次々と最新の高品質の製品を生み出す開発を支えているのが、トップ選手のニーズに対応したカスタマイズだ。
「アテネオリンピック・マラソン金メダリストの野口みずき選手は、フィット感が高く、風の巻き込みを抑え、曇らないサングラスを求めていました。彼女との対話を通して誕生したのが世界でまだ珍しかった二眼レンズを一体成形したサングラスです。また、最年少で日本プロゴルフの2009年賞金王になった石川遼選手は、クラブスイングがもの凄く速いため、試作を重ねた上、ドライバーショットに耐える安定感を持った上で、18ホールを通じて違和感なく疲れないサングラスを開発しました」
「現場からのいろいろな声がある中で、我々が力を発揮できる場所はどこか、自分たちの強みを意識しながら、製品に活かす場を探っていきます」と専務。
ただ、トップ選手が愛用するトップブランドだからこそ、一般の消費者は憧れるが、プロと一般では機能も仕様も違う。
「水の抵抗を減らすため、トップ選手向けのスイミングゴーグルはノンクッションですが、一般利用者には痛くて耐えられませんから、できるだけ同じデザインにした上で、クッション付きのものを提供します。マラソンランナー向けのサングラスなら、一般ランナーは完走にトップ選手の3-4倍の時間がかかる場合もあり、風対策よりも紫外線対策を重視します」と山本は言う。
「以前は、サングラスをかけると視界が暗くなるとだけ思っていた人も多かったように思いますが、いまはかけることによって、よりはっきり物が見えるサングラスもあります。また紫外線を防ぐことで、サングラスが眼病予防になるという研究結果もあるのです。もっとサングラスの効用を広め、啓蒙することも、これからはメーカーの責任として負わなければいけないと思っています。そしてサングラスがもっと生活の場に欠かせないものとして広まっていくといいですね」
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