Home > Highlighting JAPAN > Highlighting JAPAN 2010年6月号 > 日本人の健康を守る人間ドック(仮訳)
日本では「人間ドック」と呼ばれる健康診断システムが広く普及している。また、近年は海外から日本の人間ドックを受診するために来日する人も増えている。人間ドックの内容、意義について、河崎美穂が山門実日本人間ドック学会理事に聞く。
──人間ドックとはどのようなものでしょうか。また、いつ始まったのでしょうか。
山門実:人間ドックは日本独自の健康診断システムです。まず、1〜2日間をかけて、血液検査、尿・便検査、X線検査、超音波検査などの様々な検査と医師の問診を行います。そして、検査が終わったその日のうちに医師から受診者に対して面談形式で検査結果を説明し、健康維持のための生活指導を行います。人間ドックは、この問診と検査後の面談の双方を重視している点が特長です。
1954年に、国立東京第一病院(現・国立国際医療センター)で「短期間入院健康精査室」として始まったのがきっかけです。当時の検査は5泊6日。人気が出始めると、読売新聞が、航海を終えた船がドックでメンテナンスを行うことに例えて「人間ドック」と紹介し、現在の名称が定着しました。
現在、人間ドックを実施している医療機関は全国で約1500か所、年間の受診者は約300万人と、日本人の健康維持には欠かせない存在になっています。1950年代半ば以降の高度成長期、国民に経済的余裕ができて健康に気を配るようになったことや、企業が社員の健康維持のために人間ドック受診を支援したことが普及の要因と言えます。
──人間ドックの目的はどのようなものでしょうか。また、日本人の健康維持にどのような役割を果たしていますか。
人間ドックでは、様々な病気を発見できますが、中でも日本人の死因第1位であるがんの早期発見は、その大きな目的の一つとなっています。また、各種検査を通じて受診者の健康状態を詳細に把握し、問診で近親者の病歴を確認することで、受診者が抱える病気のリスクを洗い出し、生活習慣の指導につなげるという点も重視しています。
私が勤務する病院で人間ドックを受診している最高齢の方は現在90歳ですが、毎年、全く数値の悪化が見られず、非常に健康です。70代、80代でも毎年必ず受診する方は、年齢よりも若く見えることが多いですね。定期受診して自らの体の状態を常に意識することが、健康維持、そして、老化の抑制につながるのだと感じています。人間ドックは、健康維持のための投資だと言えるでしょう。
──人間ドックの技術はどのくらい進歩しましたか。
一般的なX線撮影にCTを組み合わせることで、早期の小さながんも発見できるようになりました。X線撮影だけの検査に比べ、がんの発見率は2倍になっています。さらに近年は、PETも注目されています。PETを受けた人の0.24%から、がんが見つかったというデータもあります。
脳ドックではMR(磁気共鳴撮影)を行いますが、受診者の約2%に脳疾患の前兆が見つかっています。脳の病気は自覚症状がないまま突然発症することも多いのですが、前兆の段階で発見できれば、きちんと予防できます。
また、私が医師として技術の進歩を実感するのは、検査で得られる画像の質が非常に良くなったことです。かつてX線撮影は、画像をフィルムに現像しなければなりませんでしたが、今ではデジタル処理された鮮明な画像をコンピュータのスクリーン上で見て診断することができます。医療知識のない受診者が見てもどこが悪いか一目で分かるので、検査後の面談の際にも役立っています。
──国際化社会における人間ドックの可能性についてお聞かせ下さい。
「人間ドックを世界の共通語に」を目標に、2006年、国際人間ドック学会が設立され、第一回国際人間ドック会議が沖縄で開催されました。学会には台湾、中国、韓国など、東アジアを中心に海外の医師も多く参加しています。
また、近年は医療ツーリズムの一環として、人間ドック受診を目的とした海外からの旅行客も増えています。温泉滞在や名所めぐりなど、日本での観光と、医療サービスの享受を組み合わせたこうした需要は今後さらに増えるかもしれません。
外国人、特に欧米人と日本人では血中の中性脂肪やコレステロールなどの正常値に差があります。私たちは、そうした体質の違いを十分に理解した上で健診を行う必要があります。さらに「問診と面談」という人間ドックの特長を活かすためにも、外国人受診者ときちんとコミュニケーションが取れる体制作りをさらに進めていきたいと考えています。
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