Home > Highlighting JAPAN > Highlighting JAPAN 2010年6月号 > ハードロック工業(仮訳)
さまざまな機器が支える現代社会で、ナットは安全を支える基本中の基本といってもいい。革新的技術で開発された半永久的に緩まないナットがある。1974年、東大阪市のハードロック工業が開発した「ハードロックナット」だ。世界で受け入れられる同社の緩まないナットに、柳澤美帆が迫る。
アイディアで起業へ
ハードロック工業の創業社長である若林克彦は、大学卒業後、バルブ製造会社に設計師として勤務していた。1961年のある日、国際見本市で戻りを防ぐ工夫を施したナットを目にし、改良のアイデアを思いついた。そのナットはステンレス製針金を留め金にして戻りを防いでいたが、若林は「板バネ(リーフ・スプリング)」を使ってネジ山を挟みつけた。この改良で緩み止め機能を施した“U-ナット”を完成させた。
若林は会社を辞めて起業、メーカーにU-ナットを試供品として使ってもらううちに「緩みにくい」と評判になり、順調に売り上げを伸ばした。
緩まないナット
しかし、販売が増え使われる場が広がると「緩みが出た」というクレームが入るようになった。それは削岩、杭打ちのような、強い衝撃が長く続く重機などで発生した。
「なんとか解決したい」
来る日も来る日もそのことばかり考え続けていた若林が近隣の神社を通りかかったときのこと、ふと見上げた鳥居を見てひらめいた。鳥居の柱と柱の間に渡した木には、補強のための楔が打ちこまれている。
「この原理が利用できるはずだ」
1973年、ハードロックナットが誕生する一年前のことだった。
ボルトとナットの間に楔をはめこめばストッパーになるが、顧客にハンマーで楔を打ってくれというわけにはいかない。楔機能を内蔵したナットを生み出す必要があった。
試作を重ねた末、凹凸型のナットを組み合わせた。それぞれのナットの内側に傾斜があり、凹型の上ナットで締めた後に凸型の下ナットをはめ込むように締めることで、ハンマーを使うことなく、楔を打ち込んだ機能を発揮させる。“緩まないナット”「ハードロックナット」が完成した。
「これでクレームがなくなる」
嬉しさとともにホッとした瞬間だった。
安全を支える
ハードロックナットの開発から2年、大阪と神戸を結ぶ大手私鉄の阪神電鉄(Hanshin Electric Railway Co., Ltd.)から大型発注があった。阪神電鉄では、カーブしたレール同士を締結する部分に緩みが出やすく、毎日、保安作業員による確認が必要だった。ハードロックナットの導入によって、安全性を維持しながらその作業とコストを省くことができるようになった。これを機に、高速道路・橋梁、鉄塔・高層ビル、産業機械分野にもハードロック工業は販路を広げ、2003年には台湾で高速鉄道のレール締結、イギリスとオーストラリアではレールポイント用にハードロックナットが採用された。こうして世界のオンリーワン「ハードロック工業」の名は国内外に轟くようになった。
誕生から現在まで36年間、ハードロックナットは「緩む」という事故を起こしていない。
「ものづくりはまず使う人を喜ばせること」
若林はそう信じ、いまもよりよい製品、高品質で高機能の製品開発に挑み続けている。
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