Home > Highlighting JAPAN > Highlighting JAPAN 2010年8月号 > ケータイ小説(仮訳)
日本で人気を集めているケータイ小説。その現状と可能性を柳澤美帆が報告する。
日本で携帯電話という新しいツールが普及したことによって生まれた、新しいカルチャーの1つが、「ケータイ小説」だ。ケータイ小説は、文章の全てが携帯電話のプッシュボタンを用いて書かれ、そしてケータイ小説向けのサイトに投稿されたそれらの小説を、読者もまた同じく携帯電話を通して読んでいるところに大きな特徴がある。そして、その文体は従来の「小説」と比べて、携帯電話の小さな画面で読みやすいように1行ごとの文字数が少なく、会話文が多い。また携帯電話独自の絵文字が多用されているといった特徴がある。
日本最大級の携帯電話向けポータルサイト「モバゲータウン」は、2007年にケータイ小説のサイトを開設。そこでは1分に1タイトルの小説がアップされ、2秒に1ページがアップされるほどの賑わいをみせている。それらの大半は、これまで全く小説を書いたことがない、10〜20代の若者を中心とした一般の人による投稿作品だ。内容は、学校を舞台にした作品やファンタジーが多い。
一般の人がこれほどまで「ケータイ小説」を執筆する背景には、「ケータイ小説が従来の紙媒体の小説に比べ“自分でも小説が書けそうだ”と、読み手に感じさせる平易な文章で書かれていることにある」と、モバゲータウンを運営する株式会社ディー・エヌ・エーの金子哲宏広報部部長は話す。
一方で、ケータイ小説やコミック、イラスト、写真など様々なジャンルの作品の投稿を受け付けるユーザー作成コンテンツ専門サイト「E☆エブリスタ」は、ケータイ小説を一過性のブームに終わらせないために、ユーザー投票により人気作品を決め、人気ランクの高い作家には報酬が支払われるシステムを2010年より始めた。
「ケータイ小説は、書籍の小説とは全く違うと批判する人もいますが、そこに集まる人の多さが、可能性の大きさを示しています。報酬のシステムを作ることで、個々の作家がさらに良い作品を作りだし、全体がレベルアップしていくと思います」と、「E☆エブリスタ」を運営する株式会社エブリスタの池上真之サービス企画チームチームリーダーは言う。
特に人気を集めたケータイ小説は、書籍化、さらには映画化やテレビドラマ化をされている。昼間は会社員として働く26歳の女性であるケータイ小説家の咲良色(さくらいろ)さんの作品もその一つ。2008年にケータイ小説サイトに投稿した恋愛小説「君のせい」が人気を集め、同年に書籍として発行された。さらに、2009年にはマンガ化、ドラマ化もされている。
「書くことが好きで、ケータイ小説に投稿する前は、ノートやPCに書いていたのですが、途中で話が進まなくなって止めてしまっていました。でも覚え書きをする感覚で、ケータイ小説に書き出したら「面白い」「続きはどうなるの?」といった反応が返ってきて、続きを考えないわけにはいかなくなりました。」
咲良色さんは夜、仕事が終わった後にケータイ小説を書いている。
「今後も仕事を続けながら、ケータイ小説の執筆をしていきたいです」
前出の池上氏は、現代の日本の若者心理として、「自分の思い描いた作品を発表することで、身近にいる誰かではなく、不特定多数の誰かに評価されたいという気持ちがある」とも分析している。
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