Home > Highlighting JAPAN > Highlighting JAPAN 2010年8月号 > APEC: エネルギー大臣会合(仮訳)
6月19日、APECエネルギー大臣会合(EMM9)が、福井で開催された。開会にあたり、議長をつとめた直嶋正行経済産業大臣は「エネルギー安全保障、地球温暖化問題などでAPECが世界の模範となるような具体的解決策を提示できるよう議論してほしい」と語った。このEMM9の議論と成果について、小野洋太・経済産業省資源エネルギー庁国際課長にThe Japan Journalの千葉等が話を聞いた。
──直嶋議長が大臣会合開会の挨拶で語った「エネルギーの安全保障」は、EMM9でどのように議論されたのでしょうか?
小野洋太・資源エネルギー庁国際課長:「エネルギー安全保障」については石油の供給途絶時などの緊急時への対応を中心に議論されました。世界の主要エネルギー消費国は、先進国からインド、中国、ASEANなどアジア太平洋地域に移ってきています。しかしながら現状、APECの21エコノミーで石油備蓄の取り組みは限られています。このような状況を踏まえ、EMM9では、緊急時対応についての経験・ノウハウの蓄積のあるIEA(国際エネルギー機関)と共同して、APECでも緊急時への対応の能力向上を図るべきだという議論がなされました。これを受けて、IEAからは、IEAのノウハウを活用して、想定される危機を洗い出した上での緊急時対応のシナリオ作りなど、緊急時対応訓練などを行うことが提案され、すべてのAPECエコノミーが、このような活動に参加することを決めたのです。これは域内のエネルギー安全保障にとって大きな前進といえます。
──省エネルギー対策はいかがですか?
省エネルギー対策を具体的に進めるAPECプログラムはすでに展開されています。2007年のAPECで日本が提案し採択された「エネルギー効率専門家レビュー/APEC Peer Review on Energy Efficiency (PREE)」制度です。簡単に言えば、APECエコノミーにおけるエネルギー効率向上の政策実施状況を、他のAPECエコノミーの省エネルギー政策専門家が評価し改善提案を行う活動です。2009年からニュージーランド、チリ、ベトナム、タイが参加しており、2010年からは台湾、ペルー、マレーシアの参加が決まっています。これまでの活動が、EMM9に対して大きな成果があったと報告され、制度の継続が求められました。同時に利用エコノミーのキャパシティ・ビルディングのための協力プログラムなど、制度の充実が求められています。
APECがエネルギー効率向上に取り組む背景には、今後、経済成長を背景として、化石燃料を含むエネルギー需要が急増することが見込まれているからです。また、世界全体における石炭依存度は全消費エネルギーの四分の一程度であるのに対し、APEC地域では三分の一を占めており、化石燃料へ依存は高く、エネルギー需給の観点からは、域内の石炭依存度をすぐに下げることは現実的ではありません。そこで日本は、例えば高効率な石炭火力発電所建設技術を域内の各エコノミーで活用するなど、石炭燃料のクリーンな利用の推進を提案しています。
──CO2削減という点ではどのような議論があったのでしょうか?
CO2を排出しない再生可能エネルギーや、原子力発電、carbon Dioxide Capture and Storage(CCS、CO2の地中貯留技術)など、ゼロ・エミッション・エネルギー(Low Emission Energy)の導入促進が話し合われ、先述の成功モデル「PREE」の仕組みにならって、各国が目標行動計画を自主的に作ることが合意されました。
強調すべき点は、CO2排出削減には、各エコノミーが、公に目標を立て評価して行くことの重要性に対する認識を共有したことです。今回の合意は、気候変動に関するアジェンダへの重要なインプットです。
──その他、将来につながる日本の提案はありましたか?
CO2排出削減対策のシンボルプロジェクトとして、直嶋大臣から「APEC低炭素モデル都市プロジェクト」が提案されました。新興国や途上国で次々と新しい都市が誕生していますが、その都市化プロセスで低炭素化を目指そうという提案です。これは、都市の低炭素化の成功事例をAPEC地域で共有するものであり、日本も優れた技術や経験を各国に提供することが期待されています。今後3―4年の間に20程度のモデル都市を決めるため、具体的に検討するタスク・フォースが早々に立ち上がる予定です。
APEC議長国である日本は今後も積極的に様々なプロジェクトを提案し主体的にエネルギー問題への貢献を進めていきます。今回のEMM9における議論と合意の成果は、日本にとっても参加エコノミーにとっても、ひいては世界にとっても大きな意味をもつことになるでしょう。
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