Home > Highlighting JAPAN > Highlighting JAPAN 2010年12月号 > 海外で広がる日本の水ビジネス(仮訳)
日本は世界中に特に、海水の淡水化や上下水道など。この分野の2つの企業を河崎美穂が紹介する。
海水淡水化で広がる逆浸透膜
世界中で年々増加する水の需要に対応するために、1990年代から世界中に、生活用水や工業用水を海水から作り出す膜を使った海水淡水化プラントが建設されるようになってきた。
現在、海水を淡水化する際には「逆浸透膜法」という技術を使うのが一般的だ。くみ上げられた海水を、ナノレベルの穴があいた逆浸透膜を使ったろ過装置に入れて圧力をかけると、海水中の塩分を分離することができる仕組みである。そして、海水淡水化用途での逆浸透膜で、世界第一位(35%)のシェアを誇るのが、大阪に本社がある日東電工株式会社だ。
同社は元々、日本国内の半導体メーカーなどハイテク工業が必要とする超純水を製造するための逆浸透膜を手がけていた。海外には、87年に米国の膜メーカー、ハイドロノーティクス社を買収したことをきっかけに進出し、海水淡水化に向けた技術開発に力を入れるようになった。
同社の理事でメンブレン事業部長兼ハイドロノーティクス社会長兼CEOの菊岡稔氏が語る。
「逆浸透膜の表面のこの穴が大きすぎると塩分は取り除けず、小さいと水が通りにくくなります。そのため、適切な穴の大きさは自ずと決まってきてしまい、1つの膜で濾過できる海水の量も限られてきます。そこで、膜の表面を三次元化し、表面積を広げる技術を開発しました。表面積を大きくすることで、1つの膜で、処理できる海水の量を増加させることができるのです。この技術により他社との差別化が図られるようになりました」
2002年に稼動したスペインの農業用水用の大型海水淡水化プラントに同社の逆浸透膜が採用された。
「当時はまだ海水を加熱して水蒸気を集める蒸発法が盛んでしたが、農業用水の塩害に直面したスペインが、当社の新しい膜を使いながら膜法にチャレンジし始めました。その結果、スペインが海水淡水化の方式で、蒸発法から逆浸透法への転機の一つをもたらしました。そして、現在では世界中で逆浸透膜法が主流になりました。」と菊岡氏は語る。
同社の逆浸透膜は、オーストラリアのメルボルンで2011年に稼働を予定している、1日の処理水量が44万トンに及ぶ世界最大の海水淡水化プラントにも採用された。現在世界中で毎日470万トン以上の水が同社の逆浸透膜によって生み出され、飲料水、工業用水や農業用水に使われている。
菊岡氏は今後の展望について「逆浸透膜の技術深化を中心に、膜の品揃えを強化しながら、アフターサービスなども付加して、事業の幅を広げていきたい」を語っている。
ITを活用した上下水道の管理
国内有数の電機メーカーとして知られる日立製作所は、関連企業の日立プラントテクノロジーとともに、国内を中心に上下水処理システムや監視・制御システムなど水環境ソリューション事業に取り組んできた。2010年3月、インド洋に浮かぶ島国、モルディブの上下水道運営会社の株式を20%取得して、初めて海外での本格的な上下水道運営管理事業に乗り出した。二社の強みは、上下水道の運営に関する情報の全てをコンピューターで制御し、水を一括管理する「インテリジェントウォーターシステムにある。日立製作所が開発してきたITや省エネ技術を生かして、河川や海水などの水源から上水処理、上下水道の運営、排水処理から再生水の活用まで一元的に管理し、都市内の水循環システムの経営効率をアップさせようとする取り組みだ。
日立プラントテクノロジー副社長の上田新次郎氏は「モルディブでは、海水淡水化から上下水道の運営、水道料金の徴収にいたるまで、水道事業に全般的に関わっています。日立グループのインテリジェントウォーターシステムのいち早い適用を進めており、現地では、省エネやコスト削減効果が期待されています。たとえば、海水を淡水化する場合、最もコストがかかるのはプラントの濾過設備を稼働させている電力です。これをどう削っていくかは水道料金にも関わってくる重要な部分です。情報を一元的に管理することで必要な時に必要なだけの量の水を作るなど、大切な水もエネルギーも、ムダが省けるようになるのです。ムダを省き、コストを削減するほどに、多くの人々の生活を潤すことができるのではないでしょうか。水処理システムから情報システムまで一括してできるというのが、当社の最大の強みだと考えています」と話していた。
上田氏は、モルディブでの実績をばねに、中東、東南アジア、中国、インドなどにさらに進出していきたいとしている。
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