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Highlighting JAPAN

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特集日本の「おもてなし」

日本で広がる医療観光(仮訳)

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「医療観光」の市場が日本で拡大している。河崎美穂が報告する。

米国の国立政策分析センターの調査によれば、世界の医療観光の市場規模は、2006年は600億ドル相当だが、2012年には1000億ドルにもなると予測されている。日本政府も2010年6月に決定した新成長戦略で「2020年までにアジアトップ水準の評価・地位の獲得」という目標を掲げている。

観光庁の医療観光推進室 医療観光推進官北村洋二氏は「日本の医療技術は世界でもトップ水準にあると言われているだけでなく、欧米と比較しても価格は安いです。海外では珍しい粒子線治療の装置や、人間ドックと呼ばれる一泊の検診が、海外の患者のニーズと一致するのかなど、慎重に調査を進めているところです」と話す。

観光庁では海外におけるプロモーション活動をスタートしており、日本の医師を海外に派遣して、日本の医療サービスを説明する「ドクタープロモーション」を行うことになった。

既に人気を集めつつあるのが検診ツアーだ。例えば、日本旅行は、2009 年 4 月より、中国国内の現地の旅行会社および日本国内の医療機関と提携して、1泊2日のPET検診と4〜5日間の国内観光を組み合わせたツアーの販売を開始した。同社広報部によると「ツアーは好評で秋以降も順調に参加者が増えており、年間目標の200人を超えそうな勢いです」という。

一方、地方自治体主導の取り組みも進められている。日本で最も糖尿病死亡率が高い徳島県では、徳島大学を中心にした産学官連携の取り組みにより、世界レベルの糖尿病研究開発臨床拠点の形成を目指してきた。充実した検診設備を活用した医療観光への取り組みを開始し、2010年5月に中国・上海市から、第一弾の医療観光ツアー客を受け入れた。

観光庁の北村氏も「地方自治体は、中国の患者を対象とした検診サービスをきっかけに、医療観光に取り組むケースが多いです。今後はより多くの国の方が、医療サービスを受けるために来日し、また、一緒に観光も楽しんでもらえるのが理想的だと考えています。観光庁としても後押ししていきたい」と展望を語った。

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