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Highlighting JAPAN

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特集「伝統」と「現代」の融合~Cool!Japanを担う人々

世界を魅了する飴細工(仮訳)

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「トリケラトプス!」

男の子が、3本の角を持つ恐竜をリクエストすると、石割定治さんは、熱した傍らの鍋から、柔らかくなった飴をピンポン球ほどの大きさにして取り出し、指でこね始める。途中、黄色の食用色素を入れて練ると、透明だった飴が黄色へと変わった。はさみで切り込みを入れ、指で引っ張ると、すーっと飴が延び、恐竜の角や足に形を変えていく。子どもも大人も、その様子をじっと眺めている。

「はい、出来上がり」

リクエストを受けてからわずか1分ほど、体長10cmほどの「トリケラトプス」を石割さんが差し出すと、子どもは満面の笑みを浮かべた。

大阪府の大阪港に隣接する大型商業施設「天保山マーケットプレース」の一画に、石割さんが出している飴細工の屋台がある。

飴細工は平安時代(794-1192)に京都のお寺のお供え物として作られたのが始まりと言われている。かつては、日本各地のお祭りで飴細工の屋台を見かけることが出来たが、現在では、プロの飴細工職人は全国で20名ほどだ。しかも、そのほとんどは、石割さんの弟子である。

海外からの問い合わせも多く、昨年は、オーストリア、オーストラリア、アメリカから技術を学ぶために計5人が訪れ、1〜2ヶ月かけて、石割さんから飴細工を学んだ。

石割氏は、これまでにアメリカ、オーストラリア、ドイツ、タイ、サウジアラビアなど世界各国のお祭りやイベントに呼ばれ、飴細工を実演している。2010年1月、日本の食の魅力を紹介するために開催されたダボス会議のサイドイベント「ジャパン・ナイト2010」でも、その妙技を披露した。

「飴細工は伝統的な技で、作り方は昔からずっと変わっていません。ですが、職人が作るモチーフは、時代によって変わってきます。最近はアイドルグループの『AKB48』を作ってほしいとういうリクエストが多いんですよ」石割さんは言う「だから私も、常に流行に常に気を配っていないといけませんね」

石割氏は、基本的に、リクエストは断らないのだ。

日本が世界に発信するアートやファッション、製品には、日本ならではの伝統を活かしながらも、現代に合わせてアレンジしている例が多くみられる。そしてそれらは、世界中で「cool Japan」として注目されている。今月の特集記事では、伝統と現代を融合させ、世界を魅了する「cool Japan」を担う人々を紹介する。

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