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Highlighting JAPAN

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特集アフリカの成長を育む

アフリカの成長を育む(仮訳)

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アフリカ開発会議(TICAD)は、日本とアフリカに加え、アフリカ開発に関心を持つ国際機関、ドナー諸国、民間企業、NGOなどが集まり、経済発展、貧困、紛争など、アフリカの様々な課題について議論する国際的枠組みだ。その第5回アフリカ開発会議(TICAD V)が、2013年6月1日から3日まで、神奈川県横浜市で、日本政府、アフリカ連合委員会(AUC)のもと、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行との共催で開催される。今月の特集記事では、アフリカの成長に向けた日本の活動を紹介する。

アフリカ開発会議(TICAD)は、1993年の第1回会議から、5年に一回首脳級会合を開催し、今年は20周年にあたる。第1回会議開催時の国際情勢について、伊藤誠TICAD V 担当大使はこう振り返る。「1990年代初頭は、冷戦が終了し、国際社会の注目が、民主化する旧ソ連や東欧に集まり、アフリカへの関心は薄れていました。そうした流れに歯止めを掛け、アフリカに対する国際的な関心を高め、アフリカの抱える問題を、アフリカ諸国とともに国際社会が考え、その解決のために具体的な行動を起こすことを目指し、日本はTICADを開催したのです。TICADの開催に加え、日本は長年にわたり、アフリカの経済、社会の発展を支援する政府開発援助(ODA)や民間投資を実施してきました。その分野は、インフラ、教育、保健、農業など幅広くあります」

回を重ねる毎に、TICADに対する国際的な評価も高まっている。2008年に開催されたTICAD IVには、アフリカから51カ国(41名の国家元首・首脳級)、62の国際機関、30以上の民間企業・市民社会、23のドナー諸国から、合計で約3,000名が参加し、日本で開催された最大規模の国際会議となった。

アフリカは近年、年平均5.8%という目覚ましい成長を遂げている。石油、天然ガス、レアメタルなどの豊富な天然資源、そして、2020年半ばには中国を越す見込みである人口の増加は、アフリカのさらなる成長を予感させる。しかし、その一方で、依然として、貧困、感染症、紛争といった深刻な問題も抱えている。

「ミレニアム開発目標の達成、あるいはテロの撲滅といった様々な問題は、アフリカだけの問題ではなく、世界の問題なのです」と伊藤大使は言う。「アフリカのマイナスの面を克服し、プラスの面を更に伸ばすための知恵、資金、技術を国際的につなげるのがTICADの役割なのです」


アフリカの「オーナーシップ」と国際的な「パートナーシップ」

TICADの基本哲学は、アフリカの「オーナーシップ」と、日本を含む国際的な「パートナーシップ」だ。「オーナーシップ」とは、アフリカの開発が、ドナー諸国や国際機関によって一方的に行われるものではなく、あくまでアフリカ自身の自助努力によってなされるものという考え方である。そうした自助努力を国際的なパートナーシップで支えるのだ。

そのため、前回のTICAD IVで導入された、具体的取組の実施状況を確かめるフォローアップメカニズムのもと、TICAD閣僚級フォローアップ会合が毎年開催され、TICADで掲げた目標の進捗状況を確認している。TICAD IVで日本は、2012年までに対アフリカの政府開発援助(ODA)と対アフリカの民間投資を倍増することを公約し、達成している。また、同会議で発表した行動計画において示された、インフラ開発・農業開発・教育・保健等の分野における取組についても様々な成果をあげている。

「TICADで約束したことを、しっかりと守るために、フォローアップは極めて重要です」と伊藤大使は言う。「こうしたフォローアップを含め、『TICADプロセス』と呼ばれるTICADの継続的なプロセスは、アフリカ側からも高い評価を得ています」

今年6月に開催されるTICAD Vでは、「躍動のアフリカと手を携えて」と題し、「強固で持続可能な経済」、「包摂的で強靱な社会」、「平和と安定」という3つのテーマで議論が行われる。そして、日本、アフリカ、国際機関などTICAD Vの参加者全員で取り組む「行動計画」を作成する。アフリカ側からも自らの目標を設定する等、更なるオーナーシップの強化を目指している。

「アフリカの経済成長を加速化させるためには、民間投資が中心的な役割を果たさなければなりません」と伊藤大使は言う。「そうしたことから、TICAD Vで議論する重要なテーマの一つは、民間投資を増やすために、インフラ、人材、法律などの投資環境を、アフリカ側がどのように整備するかということです。より多くの人が経済成長の恩恵を受ける社会の実現を目指し、議論が行われます」

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