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Highlighting JAPAN

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海外で活躍する日本人

セブ島のタンポポ: 山田貴子さん (仮訳)



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山田貴子さんは若くして自分の会社を立ち上げ、フィリピン一帯での、その献身的(人道的)な活動により、スイスに本部がある世界経済フォーラム (WEF) のグローバルシェーパーズの一員にも選ばれており、日本でも彼女に対する賞賛の声が上がっている。山田さんは、困難をものともしない忍耐力と独創性を備えた日本の前途有望な若手指導者の一人だ。

7年前にフィリピンのセブ市に滞在していた山田貴子さんは、豊かさにおいても社会的チャンスの有無においても自分の出身地と比べると大きな差があることに心を痛めた一人の若者に過ぎなかった。しかしながら、共感できるただ一つの大切なこともあった。それはフィリピンにおいても家族の絆や地域社会、信頼関係が重視されていることにある。彼女は他でもないまさにこの点に惹きつけられて、この南の島で新たな人生をスタートさせることにしたのだ。

山田さんは、神奈川県湯河原の出身である。彼女は、並々ならぬ志を追求することを応援してくれる協力的な家族、学校、地域社会環境の中で育った。彼女の初めての海外渡航である交換留学生としてオーストラリアを訪れた経験は忘れられなく、旅行に対する彼女の熱意がかき立てられた。やがて彼女は、大学を卒業し、フィリピンに住んでそこの貧困層を支援することを決意した。

彼女は、将来性豊かな才能はあるが恵まれた環境にない若者に仕事を与える活動として、4年前に「ワクワーク」を設立した。彼女は、社会での将来の活動機会を追求し社会に関与していく意欲のある者を雇い、英語講師としてインターネットを通してパートナーに組み入れた。ワクワークは、30社以上の企業及び3校の大学と提携関係にあり、個人でもこのプログラムに登録することができる。

大学との提携による交換留学生制度も設けられている。日本の大学生には、セブで生活をしながら、市内や郊外を訪れるという、フィリピンに1週間滞在する機会が与えられる。「ワクワークのラーニングジャーニー」と呼ばれるこのコースでは、学生は個々のコミュニケーションに重点を置いたセミナーを受講し、地元のプロジェクトに参加し、フィリピン人のホストとの人間的繋がりを確かなものにする。山田さんは、「ほとんどの参加者が、効果的なコミュニケーションの基盤となるもの、即ち信頼、愛情、社会について学習することになる」と言う。

将来的には、山田さんは若年層、特に恵まれない子供たちに対してさらに大きな社会的チャンスを提供することを目指している。「都市出身か地方出身か、また日本出身かフィリピン出身かに関わらず、私たちの子供たちがより大きな社会的チャンスを得られる世界を作るりたい」。WEFグローバルシェーパーズの一員となったことにより、彼女はそのような協力関係の大切さと、人々の社会的地位を向上させる志を将来にわたって実現する手法を学んだ。「ちょうど渋谷の都市環境の真ん中でも舗道の割れ目から伸びるタンポポを見ることができるように、打ち勝つことは不可能と思われる困難があっても人間の精神は生き延びることができる。将来世代に活力と希望を適時与えることができるのはまさにこの精神です」。



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