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Highlighting JAPAN

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リーニングイン ーザ・パワー・オブ・ウィメノミクスー

Mo-House

快適な母乳育児をサポートする、実用的な授乳服(仮訳)



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茨城県つくば市にあるモーハウスのオフィスは、典型的な日本の会社のイメージとはちょっと違う。オフィス内では、抱っこ紐で赤ちゃんを胸に抱く女性たちが仕事をしていて、隅には子供のおもちゃや絵本のあるお昼寝部屋がある。しかし、母乳育児をする母親をサポートすることに特化した会社には当たり前のことかもしれない。

モーハウスは、1997年に光畑由佳氏が生後1ヶ月の娘がお腹を空かせたため電車の中で授乳をはじめた時の出来事がきっかけで設立された。他の乗客から驚きのまなざしで見られ、彼女は公共の場でも人目をはばからずに授乳できる服の必要性を痛感した。

2ヶ月後、光畑氏の作った最初の授乳用シャツが完成した。ところが彼女は周囲の無関心さに驚いたという。「母乳をあげているお母さんたちは家にいるものだというのが、当時はまだ常識だったのです」と言う。「それでまず、人の考え方から変えてみようと思いました。」

光畑氏は、今ではロングランとなっている最初のイベントを始めた。母乳をあげている母親たちを自宅に招き、彼女が作った授乳用の服を着てもらい、“友達とおしゃべりしたり、お茶を飲んだりしながらでも授乳ができること”を体験してもらった。この「授乳ショー」は評判になり、間もなく彼女の授乳服に興味を持つ人や、買いたいという人がたくさん現れるようになった。

15年以上たった今、モーハウスは母乳育児をする母親を機能的な授乳下着や授乳服でサポートするだけでなく、彼女たちに働く場をも提供している。実際、スタッフのほとんどが
子育て中の女性で、その中には授乳中の母親も少なくない。つくば市の事務所だけでなく、東京青山にあるモーハウスの店舗でも、子連れで出勤して子どもを抱っこしながら接客するスタッフもいる。

光畑氏は2009年に内閣府男女共同参画局が主催する平成21年度「女性のチャレンジ賞」を受賞した。受賞理由は、光畑氏が子育て中の母親の雇用や女性の社会進出に積極的に取り組んだことが評価されたためだ。また2010年にはモーハウス商品の優れたデザイン性が評価され、グッドデザイン賞を受賞した。2013年4月に行われた安倍首相の成長戦略スピーチの中では、子育てを経験した女性の活躍事例としてモーハウスが登場した。「もう、びっくり!」と光畑氏は語る。

モーハウスの商品は、ターゲットとなる授乳中の母親以外にも、意外なところで人気がある。「私たちの作るブラジャーは、高齢女性や乳がんの患者さんにもとても人気があります」と光畑氏は語る。快適さに対して敏感な女性たちの支持を得ているのだろう。

モーハウスの商品が、授乳という女性の自然な生活の一部を快適に行えるようにしたように、光畑氏は、「職場の門戸を子育て中のお母さんたちにも開くことは、同時に、障害のある人や男性、高齢者の方たちにもよりよい社会をはぐくむことにつながる」と信じる。そしてもちろん赤ちゃんたちもその恩恵にあずかるだろう。



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