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Highlighting JAPAN

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地方の魅力発信

若きアメリカ人写真家が伝える魅力(仮訳)

日本全国で「地域おこし協力隊員」を利用した地方創生への取り組みが盛り上がりを見せる中、香川県小豆島では米国人写真家パトリック・ツァイ氏とともに島の国際化、活性化を目指している。

日本全国で「地域おこし協力隊員」を活用した地方創生への取り組みが盛り上がりを見せる中、瀬戸内海に浮かぶ香川県小豆島町ではアメリカ出身の写真家パトリック・ツァイ氏が隊員に就任した。地域の活性化、国際化のために、外国人の若者が島に居住することが理想的だと考える小豆島町長の塩田幸雄氏。そして現在「地域おこし協力隊員」として小豆島で活動するツァイ氏の両氏にお話をうかがった。

「小豆島の子どもたちの未来を考えた時、国際化は最も大事なキーワードだと思います。世界中の田舎の小さな町村が、ソーシャルメディアを使い直に交流するのが現代のスタンダードです。世界に小豆島の魅力を発信し、この地域を国際化、活性化するには、子どもたちが自然に英語に触れることが必要だと考えていたので、この島で子どもたちにアートや英語を教えたいというパトリックと出会い、この人であればと思いました」と塩田氏は話す。

2010年から始まった「瀬戸内国際芸術祭」により、瀬戸内の島々がアートの島として注目を集める中、小豆島では、アートを島の魅力を高め人々が共同体としての絆を深めるための重要な役割として位置付けている。

大都会と比較して離島では一流のアーティストやモノに接する機会が限られてしまうため、協力隊員の質を高く保つことで島民の潜在的な意欲や能力を引き出し、感性を伸ばすことにつながると塩田氏は考える。

「小豆島を訪れる外国人観光客はたくさんいますが、この島に住み、この島のために活動したいと行政とコンタクトを持った外国人はパトリックが初めてでした。彼は若いけれど既に活動実績があり、これから島の魅力を作品として世界に発信する意欲もある。自らの能力で周囲を刺激し、世界との交流を推し進めるのが協力隊員の役割だと考えています」。

塩田氏の信頼と期待を背負うツァイ氏は、物腰の柔らかい若者だが、テンプル大学ジャパンキャンパスで写真教えつつThe World AboveやModern Timesといった写真集を発表するなど、すでに多くの実績を積んできた。

「アート小豆島・豊島2014への参加を受け、昨年夏に初めてこの島を訪れました。5週間の滞在期間に色々な人と話をし、写真を撮り、児童書にまとめたのが『あるしまに』という作品です。小豆島の真の魅力は自然の豊かさと人の温かさだとわかりました。その夏の経験は人生の大きなターニングポイントでした。それまでは東京で広告写真も多く手がけていましたが、やはり自分はアート写真を手がけたく、商売とは別にしたほうがいいのだと再認識できたんです。この島は自分にたくさんのことを教えてくれたので、小豆島への感謝の気持ちを表したかったんです」とツァイ氏は語る。現在は他の隊員と共に老若男女問わず利用でき、生徒の作品が展示されてあるアートセンターの運営を行っている。

「この地域にはたくさんのアートフェスがありますが、島外のアーティストがメインで、島の人々とのつながりが薄い印象を持っています。そのため、島の人はそれらの作品を難しいアートであると避けることもあり、それは問題だと思っています。アートはパワフルなものであり、誰もが作れるものだと信じています。少しの手助けで、小豆島の人も島外のアーティストと同じくらい素晴らしいアートを作ることができるのです。そうすることにより、さまざまな方法でこの島を国内外に宣伝することができます」。東京に住んでいた頃よりも、島での暮らしの方が忙しいくらいだと冗談交じりに語るツァイ氏の表情はとても満ち足りて見えた。



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