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Highlighting JAPAN

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日本の秋

文化祭(仮訳)

生徒たちの創造性を発表する秋の伝統行事・文化祭は、何ヵ月もかけて準備され、すべて生徒たち自身の手によって企画・運営される。

日本の学生たちにとって、秋の始まりとともにやってくるのは、衣替えや紅葉の美しい色彩だけではない。文化祭として知られる、学校全体をあげた文化的な祭典のための準備もそのひとつだ。運動会が陸上競技に重きを置いているのとは対照的に、文化祭はパフォーマンスを行ったり、芸術品や工芸品を発表したり、その他の文化的・創造的な活動に従事させるために、あらゆる層の学生たちを一時的に勉強机から開放する。

Highlighting Japanは、日本の学校生活におけるこの特徴的な行事をじかに体験するため、神奈川県立神奈川総合高等学校の第21回文化祭を見に横浜市へ向かった。学校に着くと、学校長の市川陽一先生が校門の近くに立ち、幅広い層の訪問客たちを迎えていた。その中には、生徒の友人の他校生たちや、本校への入学を考えている中学生たち、懐かしの母校を見に来た卒業生たち、生徒の両親、そして一般の人々――とりわけ近所に住んでいる人々が含まれていた。

他の多くの高校や大学と同様、神奈川総合高校の文化祭も生徒主導で行われている。今年の運営委員を務めた2年生の鈴木夢彩さんに、この行事の準備の仕方について話を聞かせてもらった。「私たちは3ヵ月前から準備を始めます」と語る鈴木さんは、続けて彼女や運営委員である他の生徒たちがどのようにプログラムテーマを決め、スケジュールを作成し、小委員会に仕事を委ねるのか、という詳細を語ってくれた。教師たちはサポートを行い、鈴木さんや彼女の仲間をはじめとした数百人の生徒たちが、この行事の準備・設営・運営・撤収の責任を負っている。

神奈川総合高校の文化祭は、自由参加となっている。教頭の中島良光先生は、約800人の生徒のうちのほとんどが、部活動や有志グループなどの形で参加していると見込んでいる。この点に関しては、クラス単位で文化祭の活動を行うなど、別の方法を取っている学校もある。とはいえ、役割を担っていない生徒たちも、同級生を応援するために参加していると中島教頭は話す。

開会式は5名のダンスグループによる軽快なヒップホップで幕を開けた。中庭の中央では、ジャズバンドがカメラを持ったファンたちに向かってグレン・ミラーの『イン・ザ・ムード』を演奏している。武道場では弓道部が一般客に弓道を指導し、20分待ちの賑わいを見せている。多目的ホールや野外ステージでは途絶えることなく様々なグループがパフォーマンスを披露している。

運動場付近では、美味しそうな食べ物の匂いに誘われた訪問客たちが屋台を覗いている。生徒たちは、リーズナブルな価格のご馳走を作って販売しており、その中には、食欲をそそるお好み焼きや、綿菓子、水泳部が販売する「すいませんべい」(とろけたチーズを餅ではさんだサンドイッチ状の食べ物。神奈川総合高校でしか食べられないという) などがあった。文化祭は金儲けのための事業ではなく、鈴木さんの話によると、売上金は費用をまかなうために使われた後、寄付されるという。

中島教頭は、当校のメイン校舎である10階建ての建物を案内してくれた。各階の教室は、美術展の会場や、リラックスした雰囲気の喫茶店、文芸品の展示室、そしてお化け屋敷ならぬお化け「教室」などになっていた。神奈川総合高校のサポートティーチャーであり卒業生でもある男性 (17年前に文化祭の運営委員を務めていた) は、長い年月にわたりこの文化祭の変遷を見てきた。「いまはずいぶん本格的になりました」と彼は語る。「訪問客の数も激増しました。3000人だったのが少なくとも6000人ほどになりました」。

あっという間にランチタイムとなった。建物を出た訪問客たちの多くは、水泳部の屋台に寄って人気の「すいませんべい」を買い求めていた。このお腹をすかせた訪問客たちが作る長い列が示すように、今年の文化祭は大成功となった。




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