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Highlighting JAPAN

家の中のタイガー

センスが良く良心的な価格の北欧生活雑貨が大人気のFlying Tiger Copenhagenは、日本のビジネススタイルや文化、創造性について吸収し、グローバルな企業への飛躍を目指している。

欧州を中心に雑貨ブランド「Flying Tiger Copenhagen」を展開するデンマークの会社Zebra。2015年11月時点で世界27ヵ国・地域に577店舗にビジネスを広げている。日本には2012年に世界進出の足掛かりとして大阪アメリカ村にアジア第1号店を出店。現在24店舗まで拡大し、順調に進出を続ける。欧州以外の進出先に日本を選んだ理由や、日本でビジネスを展開するメリットについて、Zebra Japan株式会社マーケティング部部長 柘野英樹氏に話をうかがった。

Flying Tiger Copenhagenの商品価格帯は平均200~400円と良心的な設定が特徴だ。デンマーク語のTierは10クローナーのコイン(2015年12月の時点、約180円)を意味し、Tigerとの発音が似ているところからTigerとなった。「安く買える」ことが本国での事業スタート時に強い訴求力を持っていたが、年を重ねるにつれデザイン性も豊かになり、取扱いカテゴリー数もインテリア雑貨からキッチン雑貨、食料品まで幅を広げた。

「北欧デザインであり、手に取りやすく、ユニーク、ポップというポジティブな要素が揃った非常に良い状態で日本に進出できたと思っています。開店当初に連日長蛇の列ができて話題になった東京・表参道店には、今でも開店前には10人以上のお客様が列を作ります。アジア各国からの出店要請も増え、まだ出店していないアジア各国からの訪日観光客がお土産をまとめ買いしていく光景も見られるなど、日本での成功がアジア全体に強いインパクトを与えることができました」と柘野氏は話す。

以前からアジア地域を主要マーケットとして考えていたZebraだが、その中でもリテイラーとして日本は洗練度や多様性、海外ブランド展開などの面で抜きん出ていると判断した。日本は独自のビジネスのやり方やサービスレベルを持ち、成功の難易度が高いイメージがあるが、同社はそれを学ぶべきものであると捉え、日本のいいところを本国に持ち帰ることがグローバル企業への大きな飛躍に役立つと判断した。

「国土の周りに海があることや国民性など、デンマーク人は日本人に共通点を見出しています。同時に日本の文化、デザインへの興味はとても高く、商品にもエッセンスを取り入れていこうとしています。急須型の紅茶ポットや相撲力士が駒の対戦ゲームは世界中の店舗で販売されており、自然にインスパイアされたシンプルさを好むという点が、北欧と日本のデザインがそれぞれの国で受け入れられる土台になっています」。

日本には高機能、高品質な商品が揃う雑貨店が多く、安いだけでは消費者の心をつかむことは難しい。日本のFlying Tiger Copenhagenでは顧客のボリュームゾーンが25~45歳女性ということもあり、ポップでかわいくセンスの良い生活雑貨が最も売れるという。

「使う人の笑顔を増やし、当たり前の毎日が笑顔になるアイディアが詰まった日常使いの商品が主力ですが、オノ・ヨーコとのコラボ写真集など、アートやクリエイティブな活動のための商品も充実させています。日本人はクリエイティブであることを特別なことだと捉える傾向がありますが、本当は日々の生活の中にあるもの。そして日本人は自己評価以上にクリエイティブな国民だと思います」。

グローバルなビジネス展開だけでなく、人々の幸福感と表現の場を増やすこともまた、Flying Tiger Copenhagen日本進出の目標なのだ。