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Highlighting JAPAN

高く飛び立つ

中国内陸部まで網羅した国内線と、短時間のフライトエリアに限定した国際線。ポイントを絞ったビジネス展開と、きめ細かなサービスの提供により、上海吉祥航空は訪日中国人観光客の増加にも支えられ、急速に成長を遂げている。

中国の上海吉祥航空は、上海をハブとした国内線と、アジア各地域への国際線就航を早いピッチで拡大している。最長約6時間という短時間のフライト圏内での路線拡大だからこそ可能なビジネス戦略と、大手航空会社と多数のLCCが競合する日本というマーケットについて、日本支店長の董蔚(とう・い)氏に話をうかがった。

「上海吉祥航空は、その若さからLCCと誤解されることもありますが、フルサービスを提供するエアラインです。国内線約80路線、国際線11路線で就航し、上海を発着する便が1日200以上、本年の輸送人員数は1千万人を突破する見込みです。2007年にはわずか5機だった所有機も、来月には50機目が入ってくる予定です。とても速いスピードで成長を続ける会社であることが、お分かりいただけると思います」。

日本へは2014年1月の沖縄便正式就航を皮切りに、同年4月に大阪、翌年6月に福岡、8月に東京、9月に名古屋と、短期間で就航エリアと便数を増やしている。

「それだけ多くの中国人が日本を訪れているということです。2016年1月には北海道便も就航予定です。中国人観光客にとって北海道はスキーリゾートとして人気があり、それが背景にあります」。

現在日本路線の8割が中国からのインバウンドであり、残り2割が日本からのアウトバウンドである。上海吉祥航空は日本からのアウトバウンドを3割程度まで増やすことと、主要大都市以外に興味を持つ観光客の利便性を満たすために、日本の内陸部や小規模な空港にも就航したい考えだ。

中国だけでも競合エアラインが複数ある中で、上海吉祥航空は第一に安全性に力を注いでおり、購入機体は全てフランスのエアバス社から新品で納品される。また機内サービスにおいては、ビジネスとエコノミーのどちらでもミールサービスが提供され、インバウンド便は自社経営のケータリング会社が調理運搬するが、アウトバウント便はそれぞれ現地のケータリング会社に業務委託して地場の食材をふんだんに使っており、日本発着の便については日本人の口に合う食事を提供している。

飛行時間が短いエリアが多いので、映画などの機内エンターテイメントはないが、そのかわり安全性と食事にプライオリティを置いたサービスをポリシーとしているのだ。就航便がある土地には必ず事務所を構え、日中2カ国語が堪能な優秀なスタッフが対応にあたるのも、利便性はもちろん、言語や国民性にギャップを感じさせないことが利用者の信頼を得るとの考えに基づいている。

「我が社の場合、メイド・イン・チャイナというネガティブなイメージや、日中関係が悪化している時期に参入しようとしたこともあり、私たちがお客様の信用の土台を築くのは簡単ではありませんでした。しかし、約束は必ず守る、広告や宣伝で存在を知ってもらう、そして上海吉祥航空を利用した全ての人に安心感を与えるサービスクオリティ。これら全てを継続させることにより、日本でもさらに飛躍することが十分可能になるのです。」と語る董氏。新しい会社だからこそ持てる柔軟性や顧客中心という考え方が、これからも上海吉祥航空の翼としてその飛躍を支えるのだろう。