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Highlighting JAPAN

神戸とルワンダの絆

神戸市とルワンダの首都キガリ市は、神戸情報大学院大学(KIC)を中心に、精力的かつ互恵的な協力関係を構築してきている。

新神戸駅から徒歩わずか10分、フラワーロードにある神戸情報大学院大学(KIC)は、アフリカにおける人材開発の重要な拠点として存在感を強めている。KICには現在約72名の留学生が在籍しているが、その大半は日本の政府機関が提供する修士課程奨学金を利用しているアフリカからの留学生である。

KICとアフリカとの関係は、2012年に国際協力機構(JICA)が実施した研修「ICT活用による開発課題解決」から始まった。

KICはアフリカの人々の能力を高めるICTの研究開発を進めている。それは、真の情報を得るためであり、コミュニケーション能力の改善によって、貧困や、非識字、病気や、紛争、汚職などに対処する強靱性を高めるためでもある。また、このような課題に対応し、和解とコミュニティ形成の方法を見つけ出すプラットフォームを提供するためである。

これらの目標を達成するために、テクノロジー主導、問題解決型のアプローチとして「Tankyu for Africa」が導入された。プログラムの「Tankyu」という名称は、「探究」を意味する。これは、オープンソースソフトウェアの基礎を学び、習得した学生を、社会の新たな概念を生み出すクリエーターにするのが狙いである。2012年のTankyuプログラム参加者の一人に、ルワンダのClarisse Iribagiza 氏がいる。彼女はモバイルアプリケーションの開発者であり、2010年にHeHe Limitedを設立した。同社では「Tankyu Practice」を社員や地元学生向けに実施しており、また、同社の顧客であるGirl Hubという団体は、同社の開発したモバイルアプリケーションを使って、ルワンダの10代の少女たち数千人を対象に就業機会の提供を行っている。HeHe Limitedは、ICT分野におけるルワンダの優れた能力を示す好例となっている。

神戸市はICT分野で最も急速に成長しているアフリカの国の一つとしてのルワンダの可能性を感じ、首都キガリ市と密接に協力し、両者の特別な関係から生まれた最初の芽を育ててきている。2014年にKICとキガリ市の民間セクターとのICT技術開発協力が発表され、同年後半には、2020年までにルワンダで1000人の雇用を生み出すことを目的にした経済連携プロジェクト、K-Initiativeを開始した。

KICの福岡賢二副学長は、「開発指向の学習を実施するために当校が設置したTankyu for AfricaプログラムとICTイノベータコースは、ICT分野におけるアフリカとの協力について、日本で関心が高まるきっかけとなりました。私たちが目指すものは、ABEイニシアティブの目的と一致しています」と述べている。

開発のためのICT

ABEイニシアティブ(アフリカの若者のための産業人材育成)は、2013年に開催された第5回アフリカ開発会議(TICAD V)における安倍総理の提案に基づいて始まった。ABEイニシアティブは、アフリカの若者に対し、特にアフリカの産業界に貢献できる技術を身に付けることを目的として、日本の大学で修士課程を取り、日本企業でインターンシップを経験する機会を提供している。ABEイニシアティブの5年の期間中、KICなど大学が合計1000人の参加者をアフリカ諸国から受け入れることとされている。

Yves Cyuzuzo氏(28)は、「ICT for Development」を学ぶKICの修士課程2年生であり、KICにおけるABEイニシアティブ1期生である。彼は、キガリ市にあるAdventist University of Central Africaを卒業した後、アフリカ全土での厳しい競争を勝ち抜き、KICでの貴重な奨学金を手にした。

「日本は自動化やロボット工学の分野では、世界で最も優れています。ですから、私にとってここで学べることは素晴らしいことです。日本の技術と企業を目の当たりにでき、良い経験になっています。ルワンダに帰国して、学んだことを生かせるのが楽しみです。この技術があれば、どんな分野のシステムも開発できます」とCyuzuzo氏は言う。

5月には、久元喜造市長率いる総勢17名の神戸経済界代表団がキガリ市を訪問し、共同宣言「Joint Declaration of Partnership toward Creating an Innovation Eco System and Bridging Africa and Japan」を発表している。

「今では、ルワンダと日本には強い結びつきがあります。私たちがここ(KIC)で得た知識を実践できれば、日本にも役立ちます」とCyuzuzo氏は述べている。

神戸からキガリ、そしてアフリカへと、フラワーロードは続いている。