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Highlighting JAPAN

温泉天国、九州

2014年に環境省が発表した「温泉利用状況」によれば、全国約27,000本の源泉のうち、約9,500本(約35%)が九州7県にある。しかも、全国で最も源泉数が多いのは大分県の4381本、2位が鹿児島の2771本と、いずれも九州である。九州には、海沿い、川沿い、山間など、地理や気候も異なった地域に温泉があるので、九州を旅すれば様々な温泉を楽しめることができる。その中でも特徴的な温泉を、各県から紹介する。

志賀島温泉(福岡)
志賀島は博多湾に浮かぶ、砂州によって陸続きになっている島、志賀島に湧く温泉である。湯は塩分を多く含むため体がよく温まる。
志賀島へは道の両側は海という「砂州」の上に設けられた一本道を辿って行ける。志賀島温泉では、潮風を感じ、海に沈む夕日を眺め、湯に浸かることを楽しめる。

嬉野温泉(佐賀)
嬉野温泉の温泉は肌に良いとされることで知られている。ぬるぬるとした感触の湯に浸かると、温泉成分の作用によって皮脂や分泌物が洗い流され、湯上りはつるつるの滑らかな肌になるという。名物は当地で摘まれる嬉野茶と、温泉水で煮た湯豆腐。嬉野の温泉水は豆腐のたんぱく質を分解するため、とろけるような湯豆腐ができるのだ。湯豆腐は旅館や食事処で味わうことができる。

雲仙温泉(長崎)
雲仙温泉は「世界ジオパーク」に日本で初めて認定された島原半島の中央に聳える火山、雲仙岳の中腹の原生林に囲まれている。温泉街の中心には、雲仙地獄と呼ばれる地熱地帯があり、硫黄の臭いが立ち込めるなか、噴気孔から真っ白い水蒸気が間断なく噴出している。明治時代(1868-1912)・大正時代(1912-1926)には外国人の保養地として栄え、パール・バックやヘレン・ケラーも滞在した。

黒川温泉(熊本)
黒川温泉は「街全体が一つの宿、通りは廊下、旅館は客室」が謳い文句である。山あいの渓流沿いに風情ある宿が20数軒ほど建ち並び、落ち着いた趣きを保っている。自然と調和する街並みや人情味あるもてなしなど、温泉地として人気が高い。3軒の旅館の露天風呂を巡ることができる「入湯手形」や温泉街を飲み歩きできる「かっぽ手形」が好評を博している。

長湯温泉(大分)
大分県では別府や由布院温泉が大変有名だが、「日本一の炭酸泉」と謳う竹田市の長湯温泉は歴史も古く、名湯百選に選ばれるなど温泉の効能が高い湯として知られる。その湯は「飲んで効き 長湯して利く 長湯のお湯は 心臓胃腸に血の薬」といわれるほどだ。長湯温泉では、長期間滞在して病を治す「湯治」を行う人も多い。

青島温泉(宮崎)
青島温泉は日本を代表するビーチリゾートの青島海岸に湧く温泉。リゾートホテルではオーシャンビューの露天風呂などが整い、太平洋の青い海原を眺めながら湯に浸かることができる。青島温泉では、肌をきれいにする働きを持つ炭酸水素塩泉の湯が湧出する。

指宿温泉(鹿児島)
指宿温泉は砂むし温泉で有名である。砂むし風呂では、湯に浸かるのではなく、海岸で砂浜の砂に埋もれる。裸の上に浴衣を着て、砂の上に仰向けになる。係りの人が体の上に砂を掛けていく。普通の砂なのに温かいのは一帯で湧出する温泉が砂を温めているからだ。頭以外すっぽり砂を被ると、全身に汗が吹き出し、血の巡りが促される。砂むしは、いわば天然のサウナである。