Home > Highlighting JAPAN > Highlighting Japan January 2017 > 世界の安全・安心を守る日本の技術

Highlighting JAPAN

偽造から通貨を守る

日本の高い偽造防止技術が世界各国の注目を集めている。

日本の銀行券には、4種類の異なる方法(「さわる」「すかす」「傾ける」「道具を使う」)で確認できる、様々な偽造防止技術が搭載されている。

第一に、触ってわかる技術。インキを高く盛り上げる凹版印刷は、ざらつきがあり、超細密な画線で印刷されるため、通常の印刷やカラーコピー装置による再現は困難を極める。

第二に、透かしてわかる技術。すかしは、光に透かすと、紙の厚さの違いによって、中央やサイドに模様がくっきりと浮かび上がる。

第三に、傾けてわかる技術。ホログラムや潜像模様は、傾けると角度によって色や模様が変化する。

第四に、道具で分かる技術。紫外線を当てると模様の一部が発光する特殊発光インキを使った技術である。また、顕微鏡を使えば、0.2mm程度の微小なマイクロ文字が確認できる。

この他にも、進歩したデジタル画像処理技術による偽造に加えて、自動販売機など現金取扱機器を狙った偽造にも対抗するための特別な技術が盛り込まれている。

これらの技術により、日本では過去数年にわたり、毎年数千枚しか偽造券は見つかっていない。

日本では、銀行券は国立印刷局により製造されている。国立印刷局は、銀行券印刷に係るノウハウを活用し、JICAの「ベトナム国家銀行通貨発券機能強化プロジェクト」の実行に協力している。このプロジェクトに基づき、2014年11月には職員1名をJICA専門家として、長期にわたり派遣した。

貨幣を製造

貨幣を製造する造幣局も、国立印刷局と同様に、独自の高度な技術を持っている。

例えば、500円硬貨(約4ドル)を例にとると、4つの際立った特徴がある。

第一に、側面に刻まれた「斜めギザ」で、大量生産型貨幣では世界初導入となる加工技術だ。通常の垂直ギザとは異なって、プレス時の金型からの取り出しが困難であり、また、金型に特殊な技術が必要となるため、偽造が極めて難しい。

第二は、貨幣に刻まれた「潜像」で、光に対する貨幣の角度によって「500円」という文字や「縦棒」が浮かび上がる。この技術はイギリスの2ポンド貨など諸外国の貨幣に使用されている例もあるが、潜像が使われた貨幣の発行は現在でも、世界的に極めて珍しい。

第三は、扇状に髪の毛よりも細い「微細線」を施す加工技術である。また、「微細点」も、高度な微細加工技術を要する。これらの技術により、貨幣の偽造は極めて困難になっている。

世界約190カ国・地域のうち、自前で貨幣を製造しているのは約60ヵ国・地域ほどで、残りは必要に応じて他国に製造を委託している。造幣局は、2012年にバングラデシュの2タカ貨幣(約1セント)5億枚の製造を受注し、2013年11月から現地での流通が始まった。2016年には東欧のジョージアの貨幣の製造も発注している。また、バングラデシュ、ニュージーランド、スリランカなど9ヵ国の記念貨幣も製造している。

バングラデシュからは、「大変美しい貨幣を納品していただき、造幣局の皆様のご尽力がうかがえる」とのコメントが寄せられている。