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Highlighting JAPAN

  • 世界が認めるパントマイム

    愛すべき可笑しな「が~まるちょば」にジョージアから…ペルーまでが笑い転げる?

    サイレントコメディー・デュオ、が~まるちょばのお笑いネタが世界中の多くのファンに受けている。二人による身体を駆使したショーは、二人の発する声や音、音響効果を中心に展開されるが、言葉は一切使わないため、本国日本よりも先に世界で名声と称賛を得た。

    二人のショーは、スタント、マジックのパロディ、お笑いパントマイムをふんだんに取り入れて構成され、激しいパフォーマンスをエネルギッシュに演じる。二人はいつも揃いのスーツにサングラス姿できめており、彼らを見分ける簡単な方法は、特徴的なモヒカンヘアの色。赤はケッチ!、黄色はHIRO-PONである。

    「僕は長いことパントマイムをやっていました。ほとんどがまじめなものですが、おもしろいネタをやると、お客さんのリアクションがすぐに返ってきて、楽しかったです」とHIRO-PONは言う。「チャーリー・チャップリンのファンなので、それも影響しています。ただ、日本でパントマイムは非常にマイナーで、観る人はかなり少ないのが現状です。それで、自分のショーを<サイレントコメディー>として宣伝するようにしたら、お客さんが増えました」

    ソロ活動を数年続けた後、二人は1999年にデュオを組み、すぐにヨーロッパ遠征に挑んだ。

    「海外でパフォーマンスをすることはそれほど考えていませんでしたが、ショーでは言葉を使わないので、どこでもウケるだろうと、自然な流れでこうなりました」と、ケッチ!はその理由を説明する。「海外からのオファーはたくさんありました。ただ、ストリーもの、いわゆる演劇ものはありませんでした。フェスでパフォーマンスしたかったので、自腹で現地に行きました。劇場で演劇物のショーを行う場合はクルーが必要です。最初は僕たち二人だけで出かけて、フェスでストリートパフォーマンスをやりました」

    二人は2000年からエジンバラ・フェスティバル・フリンジでストリートショーを始めた。これは、スコットランドで開催され様々なジャンルのパフォーマーが集う有名な祭典である。

    「シアターショーの動画を持ち込みましたが、どこからも招待されませんでした。2004年、自費でシアターショーをエジンバラに持ち込んで、ダブルアクトアワードを受賞しました」とケッチ!は過去を振り返る。「ショーは大入り満員となり、翌年のいいプロモーションとなりました」

    「成田空港に到着すると、マスコミが待っていて写真を撮られるかと思っていたのですが、誰もいませんでした。」とケッチ!は笑う。

    が~まるちょばは、2005年エジンバラで別の賞を受賞し、その後2年続けてイギリス南部の町で開かれたブライトン・フェスティバル・フリンジで賞を受賞。エジンバラで成功したことで、2011年イギリスのコメディ番組『コメディ・ロックス・ウィズ・ジェイソン・マンフォード』に出演することができるようになった。

    が~まるちょばの独特で馬鹿げたユーモアは、アメリカよりヨーロッパでウケると二人は知った。

    「ヨーロッパとアメリカでは好まれるものが違います」とHIRO-PONは言う。「イギリスとアメリカの大きな違いはタブーに関するものです。イギリスそしてヨーロッパでは、エロ寄りのきわどいネタはOKですが、激しい暴力はダメ。アメリカではその逆です」

    「ニューヨークのショーでは、<ロボットハンド>で中指を立てたら注意を受けました」とケッチ!は語る。「しかし、イギリスの人たちはブラックユーモアやそういったジョークが好きですね」

    しかし、彼らはヨーロッパのどこででも諸手を挙げて歓迎された訳ではない。

    「10年くらい前、数回ショーをするためノルウェーの劇場に行きました。400席ある会場には30人ほどしかお客さんがいませんでした。ステージに上がると僕たちは笑ってしまい、お客さんも同じくおかしいと思ったようです。2日目の観客数は35人くらい。初日に来て友達を連れてきたお客さんがいたのです」とHIRO-PONは語った。

    日本に帰国しても、彼らがブレイクするのはまだ先のことだった。

    「2007年、横浜で行った800人規模のライブでは、ソールドアウトになりました。遂に観客のほぼ全員からスタンディングオベーションを受けたのです。それも日本人からです」とケッチ!は語った。「やった、とうとう日本でやったぞ、と思いました」

    現在日本で毎年ツアーを行う傍ら、海外ではさらに多くの公演をこなす二人。

    「旅が好きなので、行ったことのないところでショーをやりたいです、例えばペルーとか」とケッチ!。

    「これまで35か国でパフォーマンスを行ってきました。未踏の地はまだまだあります」とHIRO-PONも言葉を続けた。