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Highlighting JAPAN

 

ハワイ日系移民150周年

2018年はホノルルに日本人移民が到着して150周年である。これを記念した様々なイベントが1年を通しハワイで行われている。

1868年の明治元年に約150名の日本人移民がハワイ・ホノルルに到着した。彼らは「元年者(もの)」と呼ばれている。移民150周年を記念し、『絆グループ』と呼ばれる20の団体が一体となって、ハワイの日系アメリカ人コミュニティーを代表する『元年者委員会』を2017年に結成した。

移民の当時は明治政府が海外渡航を禁止していたため、元年者は厳密には「違法渡航者」であった。彼らは「違法渡航者」として扱われ、日本では高い評価を得られることがなかった。しかし、ハワイの地元民とは良好な関係を地道に築き、1871年に日布修好通商条約が締結されて以降、移民が本格化した1885年から米国への日本人移民が禁止される1924年まで、約20万人が移民を果たした。

元年者委員会の母体となる絆グループのメンバーは、本来では別々の団体に所属する、異なる目的と使命を持った個人の集まりだが、「一つだけ共通して持っている理念がある」と、元年者150周年記念実行委員会議長の一人でありハワイ日米協会会長を務める三輪久雄さんは語る。
「最大時はハワイ人口の約43%を占めていた日系人も、現在は約14%にまで減少し、しかもその14%の人たちは、大半が日本語も話せず、『ラストネームが日本人だから』という理由のみで日系人を辛うじて自覚しているのが実状です。しかし、日系ハワイ人は今でも成功者が多く、例えば州・市議会議員のうち37%はラストネームが日本人です。真面目で勤勉、威張ったり、差別も他人を虐めたりもしないから、ねたまれもしない。そうした日本人の長所を活かし、ハワイに溶け込んできた先人たちが積み重ねてきた努力を後世に引き継ぎ、記憶に残したい、それが我々の一番の願いです」

「元年者エキシビション」「盆踊り大会」など日系レガシーにスポットを照らした数々の催しが開催された。メインイベントとなったのは、シェラトン・ワイキキ・ホテルで6月7日に開催された「元年者150周年記念シンポジウム」である。記念セレモニーや、在ホノルル日本国総領事や多くの有識者を迎えた講演が行われ、シンポジウムのチケットは開催前に完売し、最終的には約500を超える人が集まる盛況ぶりであった。

元年者委員会が抱える目下の問題は、若い世代日本に対する関心が薄くなっていることと中心メンバーの高齢化だと三輪さんは言う。一方で、正月や七五三といった日本の行事を重んじる日系ハワイ人もおり、そうした人たちが若い世代やその子孫たちに祖先がハワイに残してきた業績と日本人としての誇りを伝承してくれるに違いないと三輪さんは期待を寄せる。

日本の素晴らしさに目覚めた日系ハワイの若者たちがいずれ核となり、50年後の200周年記念を盛り上げてくれることが、元年者委員会が掲げる次の目標である。