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日系四世の長期滞在を認める新受入制度スタート

法務省では、これまで長期滞在が認められていなかった日系四世の受入制度を始めた。日本語能力やサポーターなどの必要条件を満たせば、最長5年にわたって滞在が可能で、就労も自由という受入制度について聞いた。

世界には、日本から移住した日本人及び「日系人」と呼ばれる彼らの子孫が多数暮らしている。南米、北米、オセアニアなどに暮らす日系人は約360万人にも上ると推定され(公益財団法人海外日系人協会調べ。2016年現在)、各地で日系人社会を形成し、助け合いながら活躍している。

日系人が来日する場合、「定住者」などの在留資格による長期滞在が認められていて、自由に働くことができる。定住者の在留資格で日本に長期在留する日系人も多く、日系ブラジル人とペルー人は2017年末時点で6万7千人以上にものぼる。ただし、長期滞在が認められた日系人は三世までで、原則として日系三世に扶養される未成年で未婚の実子に限って四世の長期滞在が認められる。しかし、日本に憧れを抱き、日本で暮らしたいと望む日系四世も少なくない。

法務省では、そうした現状を鑑みて、日系四世でも長期滞在が可能な受入制度をスタートした。2018年7月から始まったこの制度は、18歳以上30歳以下の日系四世を対象としており、通算で最長5年間滞在することが可能で、三世までと同様に自由に働くことができる。ただし、犯罪歴がないこと、健康であること、医療保険に加入していること、帰国旅費を確保していることなどの要件を満たさなければならない。また、来日後の生活が円滑に進むよう、入国時に基本的な日本語を理解することができる能力(日本語能力試験N4程度)を有することも要件の一つとしている。

新受入制度における一番のポイントは、来日した日系四世の生活や活動、就労などを無償でサポートする「日系四世受入れサポーター」を確保する必要があること。サポーターになれるのは日本に住む親族、雇用主などの個人または非営利団体だが、国内に親族や知人がいない人のためのサポーター志望者を募るなど法務省でもバックアップ体制を検討している。

この制度の実施に当たっては、サポーターの存在がカギになると法務省入国管理局入国在留課審査総括係係長の高菅永次さんは話す。「この制度はワーキングホリデー制度を参考にしており、滞在中の活動には制限がなく、就労も自由です。しかし、日本に暮らす日系三世たちの中には日本語が通じないために地域に溶け込めず苦労している人が少なくないと聞きました。そこで、ある程度の日本語能力とサポーターという支援者を設けることで来日後の生活が円滑に進められるようにと考えました。ただし、就労斡旋のように制度を悪用されることがないようサポーターの人選には注意が必要ですし、できるだけ負担がかからないようサポーターを支援する仕組みも整えていきます」

法務省入国管理局入国在留課補佐官の梅原義裕さんは、「日本文化を体験して、日本に対する理解や関心を深めてもらいたい。そして、それぞれの国に帰った時に日本の魅力を伝えて両国の架け橋となってもらえればと思います」と、日系四世への期待を語る。

日本にルーツを持つ若者たちが来日し、日本の文化や社会と触れることは、日本と日系社会双方にとって大きな意味を持つ。多くの日系四世の来日を期待している。

※制度に関する詳しい情報:
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00166.html