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メディア別の政府広報

内閣府大臣官房政府広報室が企画・制作した各種広報をメディア別に紹介しています。

音声広報CD「明日への声」

vol.57(平成29年9月発行)

音声広報CD「明日への声」のHTML版をトラックナンバーごとにご覧いただけます。こちらから移動できます。
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トラックナンバー6

(タイトル)
小倉百人一首を楽しむ

(イントロダクション)
このコーナーでは、かるたとして古くから親しまれ、学校の教材としても使われることが多い「小倉百人一首」について、毎回2首ご紹介しています。
「小倉百人一首」は、鎌倉時代の歌人、藤原定家によってまとめられた歌集で、飛鳥時代後期から鎌倉時代初期、7世紀から13世紀までの100人の有名な歌人の歌が一首ずつ選ばれています。そこには、美しい日本の四季、人の喜びや悲しみ、恋する気持ちなどが歌われています。

(本文)
今回は、人の世のはかなさを詠んだ歌を紹介します。

まずは、小野小町です。日本を代表する美女として伝説の人です。

はなのいろは うつりにけりな いたづらに
わがみよにふる ながめせしまに

花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに

この歌は、「桜の花はすっかり色あせてしまった。むなしく、もの思いにふけっていた長雨の間に、私の美貌も桜の花と同じように衰えてしまった」という意味です。「いたづらに」とは、「むなしい」という意味です。
小野小町は六歌仙の一人で、多くの優れた歌を残していますが、その生涯ははっきりとしていません。この歌は、頼るべき後ろ盾のない女性が、わが身の行く末をぼんやりと案じているうちに、中年に差し掛かってしまったということでしょう。人生を季節になぞらえ、若く輝く季節を春として、その終わりを実感した嘆きが感じられます。
わかりやすい歌ですが、技巧的にも優れているとして評価の高い歌です。「わが身世にふる」の「ふる」は、雨が「降る」と「時を経る」の掛詞です。また、「ながめせしまに」は「長雨」と、もの思いにふけりながら見つめるという意味の「眺め」を掛けています。
それでは、もう一度聞いてみましょう。

はなのいろは うつりにけりな いたづらに
わがみよにふる ながめせしまに

続いては、鎌倉右大臣の歌です。鎌倉右大臣は源頼朝の息子で、鎌倉幕府3代目の将軍・源実朝のことです。

よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ
あまのおぶねの つなでかなしも

世の中は 常にもがもな 渚こぐ
あまの小舟の 綱手かなしも

 この歌は、「世の中よ、どうか変わらずにいてほしい。海辺を漕ぐ漁師の小舟が、引き網で引かれている様子は、しみじみと心動かされるいい眺めだ」という意味です。「かなし」には、「悲しい」とともに、「愛しい」という意味も含まれます。
鎌倉右大臣は、8歳で父・頼朝を亡くし、後を継いだ兄・頼家とその子・一幡が暗殺されると12歳で征夷大将軍に即位します。当時は権力争いが激しく、自身が病弱であったこともあり、鎌倉右大臣の心は憂鬱に支配されがちでした。そんなとき、輝く海辺、漁師の掛け声などの生命力あふれる風景に出会い、素朴な庶民生活を愛しく思ったのでしょう。その反面、それが永遠ではないと知っている悲しみも、歌ににじみでています。

それでは、もう一度聞いてみましょう。

よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ
あまのおぶねの つなでかなしも

(エンディング)
いかがでしたか? 私たちは幸福を感じたとき、不可能であることを知っていながら、「この時間、この瞬間がずっと続いてほしい」と願わずにはいられません。それは1000年前の人たちも同じでした。秋の訪れを感じる今日この頃、人の世の無常と、だからこそ愛しい人生の輝きに思いを馳せてみませんか。

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