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特集「「高齢者の消費者トラブル」未然防止」

スケジュール管理と院内協力で時間外労働を大幅に削減

スケジュール管理と院内協力で時間外労働を大幅に削減

平成25年2月14日掲載

医療法人永和会下永病院では、薬剤師の一人が産休に入ったことにより薬局の業務に遅れが生じ、病院全体の時間外労働増加にも影響しました。その状況を改善すべく、職員が自ら工夫して職場内の業務改善を推進した結果、1か月で時間外労働を70時間以上減らしたうえ、その取組が病院全体でも行われて、大きな成果を挙げました。

Outline

自分の部署(薬局)が組織(病院)全体の時間外労働増加の原因であった

専務理事の中田基晴さん

広島県福山市にある医療法人永和会下永病院は、日々の仕事を見直し、業務の効率化を進め、長時間労働の縮減を達成しました。

「薬局から薬が届くのが遅いから、処方箋を出した病棟の職員が、薬を待つために残業させられている」。ある日、病院の経営会議で指摘されました。そこで、同病院専務理事の中田基晴さんが薬局の働き方を調べてみると、常勤薬剤師と非常勤薬剤師の3人の合計で、平成23年12月は74.5時間残業しており、今のままではこれ以上、薬を早く出すよう改善するのは困難だとわかりました。さらに、これが薬局に留まらず、病院職員全体の時間外労働増加の原因の一つにもなっていたのです。

そこで、中田さんは、薬剤師と一緒に薬局の働き方を見直し、残業時間を減らすための取組を開始しました。業務の遅れの背景の一つ目に、薬剤師の一人が産休に入り、補充がないまま人数減になってしまったことがわかりました。そのため、薬剤師からは、「少ない人数でやっているのはわかっているのに、なんで私たちだけが責められなければならないの」、「病棟はいっぱい人がいていいけど、私たちは限られた人数でやっているんだから」といった反発の声がありました。

これでは何も始まらないと感じた中田さんは薬剤師たちに対して、「まずは騙されたと思って、指示通りにやってください」と説得し、病院全体のためにまずは薬局の改善活動を行うことを理解してもらった上で、業務改善を始めました。

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取組(1)職員全員の業務内容を共有化し、協力して課題に取り組む

最初に取り組んだのは、薬剤師全員の一日の業務計画、スケジュール、そしてその結果を、一覧表として書き出し、全体の作業内容や状況を誰でも分かるように共有化したことです。その際、中田さんはまず定時に仕事を終えることを決め、時間内に終わるために業務の進行について、何をどう見直せばよいのかを薬剤師に問うために、「過去の業務の進め方については、一切責任を問わないので、質問には正直に答えるようにしてください」と話しました。 一人ひとりが何をやっているのか、何時までにどのような作業が必要なのかが明確になり、解決すべき課題が見えてきました。

例えば、「午前9時から午後5時までの勤務時間の中で、この時間は空いているとか、あそこの病棟は処方箋を出すのが遅いといった課題に対し、病棟ごとに処方箋を出す時間を指定したり、薬剤師全員が薬の処方を集中して行う時間帯を決めたりして、少しずつ改善されていきました」と中田さんは言います。

これまでも少ない人数でがんばっていたのに、残業の原因として責められ、業務改善を指示された薬剤師は、これまでのがんばりや仕事を否定されたように感じて、初めのうちはとまどいました。しかし、次第に「みんな忙しくて当たり前だと思っていたけど、同じ薬局の中で、お互いの仕事がよく分かっていなかった」という声が聞かれるようになっていき、業務改善が円滑に進むようになりました。

そして、一人ひとりが定時の5時に仕事を終えて帰ると決めた結果、取組を始めた平成24年1月には、薬局の時間外労働時間は4時間になり、一気に70時間以上も減らすことができました。

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取組(2)無理なく定時帰宅が続けられる様、業務量の見直しを工夫

しかし、喜んだのもつかの間、今度は「仕事で疲れ過ぎて、家に帰ってから何もできない」という声が出てきました。5時までに仕事を終えるために、全員が心身ともに無理を重ねていることがわかりました。

薬局での調剤作業中

業務改善により、薬局では調剤業務に
集中できるようになりました。

そこで、薬局が定時に終わる、みんな5時に帰ることを、長続きさせるためにどうすればいいのか考えました。中田さんは「次は、仕事のあり方、業務量を見直す必要を感じました」と言います。

そして、業務量の削減のために、下記のように在庫管理の方法を見直しました。

  • 薬にバーコードシールを貼り付け、何が、どこで、いくつ消費されたかを正確に把握し、在庫を補充するシステムを導入。
  • 一部の業務を外部委託し、薬局の業務量を従来と比べて20%削減。

「これにより、薬剤師には本来の調剤業務に集中してもらえるようになりました」と中田さんは言います。これらの業務削減が開始された6月以降は、9月までの4か月間合計で、薬局全体の時間外労働はわずか1.5時間という、驚くべき改善を達成したのです。

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成果(1)仕事への意識が変わり、生活上のゆとりや満足感が向上

下永病院では、薬局の薬剤師は、院内で使用する薬剤の調剤、病棟へ行っての患者への服薬指導、外来日には外来患者の薬剤の調剤などの業務をしています。

業務改善に取り組んだ薬剤師からは「今までは、目の前にやって来る業務を正確に確実に行うことばかりに目を奪われていました」という声がありました。しかし、

  • 「仕事の優先順位を付ける。その日のスケジューリングを行う」
  • 「チーム内での役割分担を明確化して効率化を図る」
  • 「他部署とのコミュニケーションを活発に行って業務の平準化を図る」

といった取組の結果、「私たちの業務の遅れが、他の部署の人たちの残業にもつながることを実感して、仕事の仕方、考え方が変わった」ということです。

また、生活面にもプラスの効果が生じています。実践者の一人である中辻ノリ子さんは、「退社後の予定が立てやすくなり、院外の勉強会へも遅れることなく参加できるようになりました」と話します。以前は仕事が終わるのが遅く、午後6時ごろから始まる勉強会には参加することができなかったそうです。

また、ほかにも次のような声があがっています。

  • 「以前は夕食時間が遅くなったり不規則だったりしたが、今では休日と同じ時間帯に家族団らんで夕食をとれるようになり、規則正しい生活になった」
  • 「仕事で学んだ方法で、その日の家族のスケジュールを把握するようになって、以前より合理的に動けるようになった」

このように、仕事の改善によって、生活上でのゆとりや満足感が生まれて、一人ひとりの生活の向上にもつながっているのです。

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成果(2)一つの部署から組織全体の風土改善へと波及

「カエルの星」の認定書とともに、左から中田さん、薬剤師の柳田玲子さん、中辻ノリ子さん、石井由美子さん。

「カエルの星」の認定書とともに、左から中田さん
薬剤師の柳田玲子さん、中辻ノリ子さん、石井由美子さん。

薬局での時間外労働削減の効果は、病院全体にも及んでいます。平成24年の上半期(4月~9月)では、病院全体の時間外労働時間が前年と比べて21%削減されました。

中田さんは「取組を始めてすぐに、薬が出るのが遅いと不満を持っていた他の部署は、薬局の業務の進め方を知らなかっただけだと分かりました。薬局から調剤がはかどる時間帯を病棟に発信して、処方箋を出してもらう時間を調整したら、病院全体の協力体制ができました」と言います。

また、それぞれの部署では、業務が滞ると「薬が出るのが遅い」ことを理由に挙げていましたが、薬局が業務改善に取り組んで薬を時間通りに出すようになると、各部署でも改善に取り組むようになりました。「一つの部署の業務改善が、病院全体の風土改善につながる。そのことを実感しました。ある部署の問題点は、病院全体の問題点でもある。このことを全員が認識して行動する組織風土をつくっていく。今はその過程にあります。これからは働きがいのある職場をつくるとともに、問題にスピード感を持って取り組める人材を育成していきます」と中田さんは話します。毎週、全施設を巡回し、それぞれの職場の問題点を聞いてまわり、「その場で解決」することを心がけています。

下永病院における事例チャート

 

医療法人永和会下永病院における、専務理事と薬剤師6人のチームによる調剤薬局での業務改善の取り組みは、平成24年12月に第1回「カエルの星」として認定されました。
「カエルの星」は、企業や団体内の部・課・班・チームなどの単位で、日々の仕事を見直し、業務の効率化を図るなど、働き方を変えて成果をあげた取組を広く公募し、好事例を「カエルの星」と認定するものです。認定されたチームの取組については広く周知し、企業などの具体的な取組推進を支援していきます。

詳しくはこちら

「カエルの星について」(内閣府・仕事と生活の調和推進ホームページ)

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