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特集「「高齢者の消費者トラブル」未然防止」

多様な勤務制度による資格取得、大学院進学の増加 福井県済生会病院

子育てと仕事が両立でき、資格取得や大学院進学が増加

平成25年3月14日掲載

福井県済生会病院では結婚や子育てを機に看護師が辞めていく状況を改善するために、職員たちの実情に合わせた極め細やかな勤務制度を看護部に導入。その結果、短時間勤務制度や夜勤免除制度などを利用して子育てと仕事を両立する職員が増え、離職率が以前の半分以下になっただけでなく、大学院進学や資格取得に励む職員も増え、看護の質や病院全体の雰囲気向上にもつながっています。

Outline

育児を理由にした中堅看護師の離職の申し出がきっかけ

大久保清子さん

大久保清子さん

「子どもを育てながら仕事を続けることが難しいので、(看護師の仕事を)辞めたいです」

福井県済生会病院で一人の主任看護師が切り出したことが、勤務体系を見直すきっかけとなりました。

副院長の大久保清子さん(写真)は「仕事のできる彼女には辞めてもらいたくありませんでした。彼女にどうすれば(看護師を)続けてもらえるのか」。それを真っ先に考えたそうです。

そこで、貴重な戦力である中堅看護師が結婚や育児を理由に離職する状況を防ぐために、この病院ではワーク・ライフ・バランスの取組を始めました。

 

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取組(1)子育て中でも看護師を続けられるよう極め細やかな勤務制度を導入

子育てを機に離職を考える看護師に何が(離職する)理由なのか聞いたところ、勤務の時間帯が長いこと、夜勤を続けることが難しいこと、という問題が浮かび上がってきました。そこで、子育てしながらでも、仕事が続けられるような勤務制度や勤務時間帯を検討し、下記のような制度化を進めていきました。

  • 看護師が自分の事情に合わせて働ける制度を新たに導入

    勤務時間を短くする制度(短時間勤務制度)、夜勤が免除される制度(夜勤免除制度)、夜勤のみを専門に勤務する制度(夜勤専従制度)など

  • 1日の勤務時間を細分化

    入院患者のいる病棟での看護師の勤務には日勤と夜勤の時間帯があります。日勤は、従来3交代制であったものを何度も検討を重ねて、半日勤務(午前)、半日勤務(午後)などの区分で、勤務形態を6つに細分化したほか、夜勤でも、深夜、準夜などの区分で8つの勤務形態を設定しました。そのほか、早出勤務、早出半日勤務などの区分を5つ設け、自分の働きやすい時間帯で勤務ができるように改善を進めました。

看護職の主な勤務時間割の多様化

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取組(2)引継がスムーズにいくようなルール作りで、残業を削減

畑中美智子さん

畑中美智子さん

看護師の勤務シフトは、それぞれの部署ごとに、看護師長が決定しています。看護師長は23人いて、自分の部署の多忙な時間帯をみながら看護師の希望を聞いて、人員配置を行っています。

現場の責任者は看護師長ですが、看護部には全体を統括する副部長が3人います。副部長は働きやすい職場づくりを現場に指示し、また勤務シフトの組み方など個別の相談に応じてアドバイスして現場が円滑に働くことができるようにバックアップしています。

看護部副部長の畑中美智子さん(写真)は、日勤の看護師が残業しがちであったため、「業務を引き継ぐときに、日勤の看護師が時間通りにきちんと帰ることができる。そのことに注意を払っています」と話します。そのために、帰る看護師に対して、他の看護師が引継ぎを補助したり、医師の指示も配慮したりといったルールを設けるなど工夫をすることで、夜勤シフトの看護師への引継ぎがスムーズにいくようになりました。

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成果(1)多様な勤務制度の導入により離職率が低下し、有給休暇取得率も上昇

ワーク・ライフ・バランスに取り組むきっかけとなった前述の主任看護師も、これらの制度によって仕事を辞めずに続けられただけでなく、他の看護師にも仕事を続けていく考えが少しずつ浸透していきました。その結果、短時間勤務制度を利用した看護師の数は、制度導入後(平成19年)はわずか4人でしたが、翌年には5倍に急増。それ以降も毎年35人前後で推移しています。

それに伴い、以前は毎年10%を超えていた看護師の離職率も制度導入以降減り続け、平成23年には以前の半分以下(4.8%)にまでなり、全国平均と比べても大幅に低くなりました。

また有給休暇の取得率も増加しています。

副院長の大久保さんは「以前なら子育てを理由に辞めていた看護師が、短時間勤務制度や夜勤免除制度などを利用して、仕事を続けてくれるようになりました。病院としても、仕事のできる中堅看護師が残ってくれて助かるうえに、人材育成にも力を入れることができるようになりました」と話します。

 

※離職率については平成17年度から23年度まで(全国平均は22年度まで)。看護職正職員の短時間勤務職員・常勤職員推移については平成19年度から24年度まで。

 

※平成17年から23年まで。

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成果(2)働きながらキャリアアップを目指す看護師が増加

もともと同病院では、看護師のキャリアアップ支援にも力を入れており、働きながら、大学院進学や認定看護師(※)の資格取得に励む看護師が多いことが特徴でした。それが今回の取組によって、さらにキャリアアップを目指す看護師が増えて、部署全体にも好影響を及ぼすという嬉しい成果が現れました。

副院長の大久保さんは「認定看護師に合格する人が出ると、その人が手本となって、部署全体の看護の質が上がっていきます。当院では、ワーク・ライフ・バランスの実現に取り組んだことで、毎年、大学院の修士課程や認定看護師に挑戦する職員が続いています」と話します。

※認定看護師・・・日本看護協会の認定看護師認定審査に合格し、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することを認められた者のこと。水準の高い看護実践を通して、看護師に対する指導や相談活動を行う。

看護師の声

仕事を続けながら資格取得の勉強も子育てもできたことに感謝
川瀬佳津子さん
川瀬佳津子さん

川瀬佳津子さん

新たに開設されたホスピス(※1)病棟で勤務していたところ、当時の看護部長に「緩和ケア(※2)認定看護師を目指したらどうか」と勧められたことがきっかけで緩和ケア認定看護師資格を取得しました。患者、家族と関わる中で、緩和ケアの意味を模索していたときに、学びたいという気持ちを病院が後押ししてくれました。

また、資格取得後、結婚と出産を経験。職場復帰後は短時間勤務制度を4年間利用しました。その間も資格を活かせる業務から離れることなく、仕事を続けられていることに感謝の気持ちでいっぱいです。

※1 ホスピス・・・末期癌(がん)患者など死期の近い病人を対象に、延命処置を行わず、身体的苦痛を和らげ、精神的援助をして生を全うできるように医療を行う施設。
※2 緩和ケア・・・完全な治癒の望めない患者に対し、生命の持続よりも、その身体的痛みや精神的苦痛を取り除くことに重点をおいた介護・看護。末期癌(がん)患者などに対して行われる。

職場の後押しで、子育てしながら資格を取得
鍋島美鶴さん
鍋島美鶴さん

鍋島美鶴さん

就職して16年。家事や子育てと仕事を両立させながら、仕事も私生活も安定している中、周囲で生き生きと働く認定看護師の姿から刺激を受け、私ももっとキャリアアップしたいという気持ちが強くなってきました。職場の後押しもあって、認定看護師に挑戦し、平成24年5月に慢性呼吸器疾患(※)認定看護師に合格しました。

私のように子育てしながらでも資格を取れます。これから後輩が続いてくれることを願っています。

※慢性呼吸器疾患・・・気道およびその他の肺組織の非感染性慢性疾患

働きながら大学院に進学し、仕事に活かす
看護部副部長 土橋佐百合さん
土橋佐百合さん

看護部副部長 土橋佐百合さん

病棟の責任者である看護師長のとき、看護部の教育委員を務める中で、自身の指導力のなさを実感し、勉強の必要性を感じていました。そんなとき、職場の勧めもあって大学院修士課程に社会人枠で入学しました。管理職として勤務する一方、部下の主任看護師をはじめとした職場の協力によって、2年間の修士課程を無事修了することができました。

大学院で学んだことが物事を判断するときの根拠となり、今でも自身の支えとなっています。若い看護師にも、臨床の場だけでなく、進学や資格に挑戦し、視野を広げてもらいたいです。

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成果(3)病院全体に活気が出て、さらに地域の医療向上にも貢献

認定看護師は病院内で部署の中心として活躍するだけでなく、地域の医療の発展にも貢献しています。例えば、他の病院を訪れて専門分野の教育や講習、事例研究などを行っています。

「地域の方々から期待され、要望を受けると、職員のやる気も上がります。患者様や地域の期待にこたえようとする中で、努力をし、看護の質も高まっていきます。患者様の身近にいる看護師が、やりがいを持って元気に働いている姿は、患者様にも良い影響を与えています」(副院長の大久保さん)。

結婚・出産を経た看護師が職場復帰して活躍する姿は若い看護師たちにも刺激となっていて、大久保さんは、「(貴重な戦力の)中堅職員に辞めてほしくないと始めた制度が定着し、離職率の低下や資格取得による看護の質の向上などの成果がありました。そういう先輩の姿や病院の雰囲気を目にした若い看護師たちが、自分もこうなれるんだと思って、将来のビジョンをきちんと描くようになっています。職員の満足度が上がって、病院全体が明るくなったことが一番の成果だと感じています」と話してくれました。

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福井県済生会における事例

 

福井県済生会病院の看護部による、多様な勤務体系による仕事と生活の調和、認定看護師の資格取得や大学院進学の支援の取組は、平成24年12月に第1回「カエルの星」として認定されました。同病院は22科10病棟の総合病院であり、看護部は正職員553名とパート職員57名の610名で構成されています。(平成25年2月時点)

「カエルの星」は、企業や団体内の部・課・班・チームなどの単位で、日々の仕事を見直し、業務の効率化を図るなど、働き方を変えて成果をあげた取組を広く公募し、好事例を「カエルの星」と認定するものです。認定されたチームの取組については広く周知し、企業などの具体的な取組推進を支援していきます。

詳しくはこちら

「カエルの星について」(内閣府・仕事と生活の調和推進ホームページ)

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