仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現に向けて
時代の移り変わりとともに変化するライフスタイルの中、私たちはいつも、仕事と、家事・育児・介護などの生活との両立に悩んできました。平成19年12月、関係閣僚、経済界・労働界・地方公共団体の合意により、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」・「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定され、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現に向け官民一体となって取り組み始めました。
両立が困難な私たちの仕事と生活
国内外の企業間競争が激化し、長期的な経済低迷、産業構造の変化が起こり、正社員以外の労働者が増加する一方、正社員の労働時間も高止まりしたままです。また、共働き世帯が過半数となるなど、人々の生き方が多様化している一方、働き方や子育て支援などの社会的基盤はこうした変化に対応したものとなっていません。
そのため、私たちは、結婚や子育てに関する希望がかなわない、「家族団らんの時間」や「地域で過ごす時間」をもつことが難しいなど、仕事と生活の狭間(はざま)で大きなジレンマに陥っています。 以下、詳しくみていきたいと思います。
増えるパートタイム労働者と仕事に忙殺される正社員〜労働時間の二極化
アルバイトや派遣社員などのパートタイム労働者の比率は、平成10年以降一貫して増えていますが、年間総実労働時間の推移をみてみると、正社員を含む一般労働者の労働時間は、この十数年間、高止まりで推移しており、正社員は相変わらず仕事に忙殺されていることが分かります。自己啓発や家族団らん、地域活動へ参加する暇もなく、長時間労働により健康を害する労働者も少なくありません。
就業形態別年間総実労働時間及びパートタイム労働者比率の推移
資料提供:内閣府
共働き世帯の増加と、仕事と育児の二者択一を迫られる女性
女性が社会に進出し、20年ほど前までは少数派だった共働き世帯は年々その数が増え、現在では雇用者世帯の過半数を占めています。しかし、子育て支援などの社会的基盤の整備は不十分で、女性が仕事を続けていくために十分な環境であるとはいえません。出産前に仕事をしていた女性の約7割が出産を機に退職しています。中でも、仕事を辞めた人の24%は、「仕事を続けたかったが仕事と育児の両立の難しさでやめた」としており、出産した女性の4人に一人が仕事と子育ての二者択一を迫られ、続けたかった仕事を断念しています。
共働き世帯数の推移
資料提供:内閣府
| 第1子出産前後の女性の就業状況の変化 | 仕事をやめた理由 |
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| 資料提供:内閣府 | |
環境の変化に対応するためには、多様な人材の就業参加が不可欠
社会的・経済的環境やライフスタイルが変化する中で、私たちがその能力を十分に発揮するためには、性別や年齢、そのおかれている状況にかかわりなく多様な人材が仕事に就ける社会にすることが大切です。特に、平成17年にはじめて出生数が死亡数を下回り、人口減少社会が到来したわが国には、女性や高齢者が仕事を続ける環境は不可欠となっています。
しかし、安定した職を得ることが難しく、また、子どもが産まれれば仕事と育児の二者択一を迫られている現状では、働き方や生き方の選択肢が限られてしまい、多様な人材を生かすことができません。 私たちはなによりもまず、働き方や生き方に関するこれまでの考え方や制度の改革に挑戦し、仕事と生活に関する選択肢の幅を広げていかなくてはなりません。
そこで、多種多様なライフスタイルをもつ個々人の生き方に合わせて、また、子育て期、老親の介護等に追われる中高年期といった人生の各段階におけるニーズにも対応して、多様な働き方を選べる「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」の実現に向け、官民が一体となって取り組むこととなりました。
「仕事と生活の調和」のあるべき姿を提案
平成19年12月18日、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」および「仕事と生活の調和のための行動指針」が、政労使の合意の上、策定されました。
「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」では目指すべき社会の姿として、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」 を掲げ、具体的には、以下のような社会を目指すべきとしています。
(1)就労による経済的自立が可能な社会
経済的自立を必要とする者とりわけ若者がいきいきと働くことでき、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる。
(2)健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間などを持てる豊かな生活ができる。
(3)多様な働き方・生き方が選択できる社会
性や年齢などにかかわらず、誰もが意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている。
「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」より
仕事と生活の調和を実現するためには、個々の企業の実状に合った効果的な進め方を労使で話し合い、自主的に取り組んでいくことが基本ですが、国と地方公共団体も、企業や働く者、国民の取組を積極的に支援するとともに、多様な働き方に対応した子育て支援や介護などのための社会的基盤づくりを積極的に行うこととしています。
行動指針に掲げる具体的な取り組み(企業と働く者)
(総論)
- 経営トップのリーダーシップの発揮による職場風土改革のための意識改革、柔軟な働き方の実現等
- 目標設定、計画的取り組み、点検の仕組み、着実な実行
- 労使で働き方を見直し、業務の見直し等により、時間あたり生産性を向上 (就労による経済的自立)
- 人物本位による正当な評価に基づく採用の推進
- 就業形態にかかわらない公正な処遇等 (健康で豊かな生活のための時間の確保)
- 労働時間関連法令の遵守の徹底
- 労使による長時間労働の抑制等のための労働時間等の設定改善のための業務見直しや要員確保の推進 (多様な働き方の選択)
- 育児・介護休業、短時間勤務、短時間正社員制度、テレワーク、在宅就業など個人のおかれた状況に応じた柔軟な働き方を支える制度整備と利用しやすい職場風土づくりの推進
- 女性や高齢者等への再就職・継続就業機会の提供
「仕事と生活の調和のための行動指針」より抜粋
仕事と生活の調和の実現に向けた取り組みは、企業の福利厚生に終始するような、単なる「コスト」ではありません。企業の活力の源泉となるべき多様な人材の確保・育成・定着の可能性を高める「明日への投資」というべきものです。
私たちがこれからの時代を生き抜き、充実した人生を送っていくためにも「仕事と生活の調和」の実現に積極的に取り組んでいくことが大切です。
5年後は年次有給休暇12日取得が目標〜行動指針に掲げられた数値目標
「仕事と生活の調和のための行動指針」では、5年後(2012年)、10年後(2017年)に向けて数値目標を設定しています。例えば、週労働時間60時間以上の雇用者の割合、年次有給休暇の取得率、第1子出産前後の女性の継続就業率、男性の育児・家事時間などを掲げています。
「仕事と生活の調和のための行動指針」より
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