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平成20年6月掲載

 


日本の通貨偽造防止技術は世界トップクラス

通貨(紙幣と貨幣)の偽造・変造の増加は、国民の通貨に対する信頼を失わせ、経済社会に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。

日本の通貨は、国立印刷局と造幣局の高度な偽造防止技術により製造されています。また、偽造防止技術の中には、目の不自由な方が触れただけで通貨を認識するための識別対策も施されています。

 

日本の通貨は偽造が少ない

日本の通貨には、さまざまな偽造防止技術が施されており、主要国の通貨と比較しても偽造が少なくなっています。

しかし近年、パソコンやスキャナーの普及、カラーコピーなど印刷技術の高性能化など、複写、印刷技術が大幅な進化を遂げているところです。

ここでは、これらの環境変化に対応するため、平成16年に新しく発行された紙幣の偽造防止技術を見てみましょう。

 

紙幣に施された新たな偽造防止技術

現在、国内に4種類の紙幣が流通しています。平成12年7月19日に新しく2千円札が発行され、平成16年11月1日には1万円札、5千円札、千円札が新しい様式で発行されました。

これまでも、独自の技術を用いた精巧な「すかし」や、カラーコピー機や通常の印刷などでは再現不可能な「超細密画線」「凹版印刷」などの偽造防止技術が使われていましたが、4種類の紙幣にはさらに高度な技術が導入されています。

以下では1万円札を例に、偽造防止技術を紹介します。

すかし、超細密画像

 

1万円札:表面

1万円札:表面

1万円札:裏面

1万円札:裏面
(1)ホログラム

角度を変えると、画像の色や模様が変化して見えます。

桜の模様 額面金額 日本銀行の「日」の文字を図案化したマーク
桜の模様 額面金額 日本銀行の「日」の文字を図案化したマーク

 

(2)すき入れバーパターン

光に透かすと、すき入れられた3本の縦棒が見えます。従来のすかしよりも、パソコンやカラーコピー機などで再現しにくいものです。

すき入れバーパターン

 

(3)潜像模様

紙幣を傾けると、表面左下に「10000」、裏面右上に「NIPPON」の文字が浮び上がります。

  • 潜像模様・表面 潜像模様・裏面
    1万円札:表面 1万円札:裏面
(4)パールインキ

紙幣を傾けると、左右の余白部にピンク色を帯びたパール光沢のある半透明な模様が浮び上がります。

パールインキ

 

(5)マイクロ文字

「NIPPON GINKO」と書かれた小さな文字が印刷されています。従来の文字よりも小さい文字を取り入れているほか、新たに地紋(細かい曲線などで描かれた紙幣の地模様)にも大小取り混ぜた文字がデザインされています。

マイクロ文字

 

(6)特殊発光インキ

表の印章(日本銀行総裁印)に紫外線をあてるとオレンジ色に光るほか、地紋の一部が黄緑色に発光します。

特殊発光インキ

 

(7)深凹版印刷

新券の図柄は、従来の紙幣よりもインキが表面に盛り上がるように印刷されています。

深凹版印刷

 

(8)識別マーク(深凹版印刷)

目の不自由な方が指で触って識別できるように、従来の「すかし」に代えて一層ざらつきのある「深凹版印刷」によるマークを導入しています。

識別マーク

写真提供:日本銀行

 

5千円札にも、上記(1)から(8)までと同じ技術が使われています。 千円札には「ホログラム」、2千円札には「ホログラム」と「すき入れバーパターン」の技術が使われていません。その代わり、千円札には傾けると色の違う文字や数字が現れる「潜像パール模様」、2千円札には角度を変えると色が変わる「光学的変化インキ」といった独自の技術が使われています。

また、貨幣についても、偽造・変造対策として、さまざまな偽造防止技術が採用されています。5百円貨幣には、見る角度によって数字などが見え隠れする「潜像加工」、貨幣側面のギザを斜めに入れる「斜めギザ」、貨幣模様の中央部(桐部)に微細な穴加工をした「微細点加工」、扇状に微細な線模様を施した「微細線加工」などの技術が使われています。

 

「さわって」「透かして」「傾けて」偽造通貨を見破る

日本の通貨には、偽造を防止するため多くの技術が使われています。しかし、紙幣や貨幣の受け渡しの際、偽造防止技術を確認している人は少ないのではないでしょうか。通貨の偽造・変造などのトラブルに巻き込まれる可能性はゼロではありません。偽造券や偽造・変造貨幣の増加は、通貨に対する信用を失わせ、経済社会に深刻な影響を及ぼします。通貨を安心して使っていくために、私たち一人一人が偽造防止技術について正しい知識をもち、日ごろから意識的に紙幣や紙幣に触れ、偽造券や偽造・変造貨幣を流通させないという心がけが大切です。

紙幣の場合は、「さわって」インキの盛り上がりがあるか、光に「透かして」鮮明な肖像や線などがあるか、「傾けて」数字や文字が浮かび上がるか、貨幣の場合は、「さわって」斜めギザがあるか、「傾けて」それぞれ異なる角度で異なる模様が見えるか、本物と偽物を見分けるポイントを覚えておきましょう。

 

偽造券や偽造・変造貨幣は作っても使っても罪になります

偽造券や偽造貨幣は、作っても、偽造・変造と知りながら使っても大変重い罪になります。海外で作られた偽造券などを国内に持ち込むことも、同様に重い罪になります。本物の紙幣の額面を書き換えたり、切ったりして変造することも、同じように法律で罰せられます。

偽造や変造の疑いのある紙幣や貨幣を手にしたら、絶対に使用せず、必ずお近くの警察または日本銀行まで知らせましょう。

 

目の不自由な方にもやさしい技術「識別マーク」

紙幣には、目が不自由な方にも安心して使えるためのさまざまな仕組みがあります。

平成16年に発行された1万円札、5千円札、千円札および平成12年に発行された2千円札には、目の不自由な方がより識別しやすいように、それまで用いていた「すかし」に変えて、インキを厚く盛り上げて印刷する深凹版印刷を用いた「識別マーク」が施されています。これらの識別マークはそれぞれ紙幣の表面左右の下側にあり、1万円札は「かぎ型(L字)」、5千円札は「八角形」、千円札は「横棒」、2千円札は点字の「点が縦に3つ(点字の「に」)」をそれぞれ表しており、丸形と線形、縦方向と横方向とお札ごとに特色があり、紙幣の表面を触れることで、他の券種と判別することができます。

 

 

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