〜開発途上国と連携して気候の安定に取り組む〜 「クールアース・パートナーシップ」
わが国は世界経済フォーラム年次総会・ダボス会議で、温室効果ガスの排出削減と経済成長を両立させ、気候の安定に貢献しようとする開発途上国に対する支援策として、新たな支援のメカニズム「クール・アース・パートナーシップ」を発表しました。これまでも、開発途上国のクリーンエネルギー、植林などへの支援を行ってきましたが、今後も「クールアース・パートナーシップ」により、さらなる貢献に努めます。
人為的原因により起こる気候変動が深刻な問題に
「気候変動」とは、気候(平均的な気象)が急激に変化することです。気候変動の原因としては、自然によるものと人間活動によるものの二つがあります。
近年、地球表面の温度が上がり、海水面の上昇や異常気象の増加、感染症の増加など、気象変動による影響と考えられる現象が各地で見られます。そのため、石油や石炭の消費による二酸化炭素などのGHG(温室効果ガス)の排出増加など、人間活動が原因とされる気候変動への問題意識が強まっています。
気候変動問題は、世界各国に影響が及ぶものです。国境を超えて、すべての国が地球規模の問題として取り組む必要があります。
「ポスト京都」をめぐる議論が活発
こうした背景のもと、世界的な取り組みとして、二酸化炭素などのGHGを削減し、温暖化を防ぐことを目的に、京都議定書が1997年12月11日に採択され、2005年2月16日に発効しました。京都議定書において、2008年から2012年の「第1約束期間」内に、先進国全体のGHGの合計排出量を1990年に比べ5%以上削減するという数値目標(日本は-6%)が定められました。しかし、世界で最も多く温室効果ガスを排出している米国の不参加、中国やインドなど削減義務を負っていない途上国にも大量にGHGを排出する国が存在するといった多くの問題が指摘されています。
そこで現在、京都議定書の「第1約束期間」以降について、世界のすべての国が「共通だが差異ある責任」のもと、GHG削減を目指す国際的枠組み「ポスト京都フレームワーク(以下、「ポスト京都」)」について議論されています。しかし、開発途上国の多くは、貧困対策を重視し、現在の生活改善や経済成長を優先させ、さらに先進国のこれまでの排出責任への対応に不満をもっている傾向があります。また、GHG削減に対応するための技術・資金などが不足しています。排出削減と経済成長を両立させ、気候の安定化に貢献していこうとする開発途上国の努力を積極的に支援する枠組みをつくる必要があるのです。
新たな資金メカニズム「クールアース・パートナーシップ」
わが国では、2007年に「ポスト京都」の方向性を示した「クールアース50」を提案しました。その実現のため、福田総理は2008年1月26日、ダボス会議で「クールアース推進構想」を発表。国際環境協力について、世界全体で2020年までにエネルギー効率を30%改善する目標を提案しました。これを支える方策の一つが、開発途上国に対する新たな資金メカニズム「クールアース・パートナーシップ」です。
気候の安定のため温室効果ガスの削減に真剣に取り組む意思があり、政策協議を経た開発途上国に対し、省エネ技術、防災技術など環境関連技術を積極的に協力します。
「クールアース・パートナーシップ」は、2008年から5年間で1兆2,500億円規模の資金供給を可能とします。その内訳は、「適応策およびクリーンエネルギーアクセス支援」に約2,500億円、「緩和策」支援に約1兆円とされています。
ODAを利用して開発途上国を支援
「適応策」とは、アフリカなど気候変動に弱い開発途上国が地球温暖化に「適応」するための支援策です。具体的には、防災適応計画立案に対する支援、干ばつ・洪水などの災害対策支援など気候変動に関する環境被害への対策が対象となります。「クリーンエネルギーアクセス支援」とは、近代的なエネルギー・サービスを受けられない開発途上国が太陽光や風力発電などのクリーンエネルギーを活用しながら経済成長をするための支援です。「適応策」および「クリーンエネルギーアクセス支援」は、ODA※の無償資金協力、技術協力、国連開発計画(UNDP)など国際機関を通じた援助などの資金により行われます。
「緩和策」とは、開発途上国が温室効果ガスの排出を少なくすることにより、気候変動を「緩和」するための支援策です。具体的にはODAの円借款※供与適格国を対象に、発電設備のエネルギー効率の向上やクリーンエネルギーアクセス支援等気候変動緩和のための政策実施やプロジェクトを支援します。「緩和策」支援の約1兆円のうち、約5,000億円については新たに「気候変動対策円借款」を創設して支援することとしており、これまでの円借款による気候変動対策への貢献が更に推進されることとなります。
そのほか、CDM (クリーン開発メカニズム)を含む気候変動対策事業への民間投資を促します。CDM は、先進国と開発途上国が共同で温室効果ガス排出削減プロジェクトを実施し、途上国の持続可能な開発への貢献を図るとともに、達成された温室効果ガス削減分の一部を先進国が自国の削減量とすることを認める制度です。これまでのCDMは比較的民間投資が行われやすい中国やインドに集中し、民間投資が行われにくい国でのCDMは限定的です。これまでにエジプト等で円借款を通じた支援事例が出てきていますが、こうした民間投資が行われにくい国でのCDMを円滑に実施できる環境づくりをODAを活用して支援します。
ODAに豊富な支援実績がある日本が気候変動の安定化へ向け、「クール・パートナーシップ」により、これからの国際協力をリードしていきます。
※ODA(Official Development Assistance):政府開発援助。開発途上国に対し、他国の政府または政府系機関が行う援助。主に、「技術協力」「無償資金協力」「多国間援助」「円借款」の四つの形態により行われています。
※円借款:経済協力の一環として主に開発途上国に対し、電力、ガス、運輸、通信、農業などの経済基盤や地球規模問題、環境保全などの開発資金を低利で長期の緩やかな条件にて円貨で貸し付けること。
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