観光立国の早期実現を目指し、10月1日に「観光庁」が設置されます
我が国を訪れる外国人旅行者は、海外へ出かける日本人よりも少なく、日本の国際旅行収支は赤字になっています。そこで、政府では、日本を訪れる外国人旅行者を2010年までに1,000万人にする目標を掲げ、訪日促進キャンペーン「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を展開するなど、観光立国の実現に向けてさまざまな施策を進めています。観光による交流人口の拡大は、地域経済を活性化させる切り札です。今後、10月1日に設置される「観光庁」を中心に、観光立国の早期実現に向けて取り組みを強化していきます。
訪日外国人旅行者の数は、日本人海外旅行者数の約半分
この夏休みに海外旅行に行かれた方もいらっしゃることでしょう。昨年1年間に海外に出かけた日本人旅行者はどれくらいだと思いますか? 約1,730万人(推計値)です。一方、昨年1年間に日本を訪れた外国人旅行者数は約835万人で、その約半分にすぎません。
我が国は、出国旅行者数に比べて入国旅行者数が少ないのが現状です。世界観光機関(UNWTO)による2005年調査によると、出国旅行者数国際ランキングで日本は世界で第12位(アジアで第3位)ですが、外国人旅行者受入数国際ランキングでは日本は世界で第32位(アジアで第7位)に後退しています。
主要国・地域における出入国旅行者数国際ランキング(2005年)

資料提供:国土交通省
観光は経済波及効果の大きな産業
観光には、国際理解を促すだけでなく、経済を活性化させる効果があります。観光産業は、旅行業を中心として、運輸業、宿泊業、飲食業を含む小売業、アミューズメント業、広告業のほか、農林水産業、製造業、建設業など幅広い産業に関連する一大産業であるからです。
国土交通省の「旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究」によると、2006年度の旅行消費額は23.5兆円で、これによる直接の雇用創出効果は215万人、税収効果は2.0兆円と試算されています。さらに、この旅行消費がもたらす生産波及効果は52.9兆円になり、これにより442万人の雇用が創出されると推計されます。これは、総就業者数(6,404万人)の6.9%です。なお、この23.5兆円のうち在日外国人旅行者による旅行消費額は1.4兆円(5.8%)となっています。
観光産業は、まさに21世紀のリーディング産業といえます。
旅行消費が我が国にもたらす経済波及効果

資料提供:国土交通省
「住んでよし、訪れてよしの国づくり」を目指す
このように観光の振興によって、国内外の交流人口が増大すれば、地域経済はより一層活発になることが期待されます。観光立国の実現は、我が国の経済社会の発展に不可欠な国家的な課題です。
では、国内外の交流人口が活発な魅力ある観光地とは、どのようなところなのでしょうか? それは、そこで暮らしている人たちが、地域の美しい自然や景観、歴史、伝統、文化などに誇りと愛着を持てるところです。住んでみたいところ――それが訪れたいところでもあるからです。観光立国の基本理念は、「住んでよし、訪れてよしの国づくり」の実現にあります。
観光立国の意義としては、主に以下のことが挙げられます。
- 国際観光の推進は、国際社会の相互理解を増進します。
- 少子高齢化時代の経済活性化の切り札です。
- 交流人口の拡大によって地域が活性化します。
- 我が国の歴史的・文化的な価値を再認識することができます。
観光立国の実現に向けて「観光立国推進基本計画」を策定
政府は、2006年12月に「観光立国推進基本法」を制定し、観光立国の推進を21世紀における我が国の重要な政策の柱として位置づけました。これを受けて、2007年6月に策定されたのが「観光立国推進基本計画」です。
「観光立国推進基本計画」では、国際相互理解の増進と地域経済の活性化を大きな柱に位置づけるとともに、観光立国の実現に向けて、以下のような具体的な数値目標を定めています。
訪日外国人旅行者数を1,000万人に
訪日外国人旅行者数を2010年までに1,000万人にすることを目標とし、
将来的には、日本人の海外旅行者数と同程度にします。

資料提供:国土交通省
国際会議の開催件数を5割増に
我が国における国際会議の開催件数を2011年までに5割以上増やすことを目標とし、
アジアにおける最大の開催国にします。

資料提供:国土交通省
日本人一人当たりの年間平均宿泊数を4泊に
日本人の国内観光旅行による一人当たりの宿泊数を2010年度までにもう1泊増やし、年間4泊にします。

資料提供:国土交通省
日本人海外旅行者数を2,000万人に
日本人の海外旅行者数を2010年までに2,000万人にすることを目標とし、国際相互交流を拡大させます。

資料提供:国土交通省
国内旅行消費額を30兆円に
旅行を促す環境整備や観光産業の生産性向上による多様なサービスの提供を通じて
新たな需要を創出することで、
国内における観光旅行消費額を2010年度までに30兆円にします。

資料提供:国土交通省
観光立国を総合的・計画的に推進する「観光庁」を設置
「観光立国推進基本計画」に盛り込まれた数値目標などを実現するためには、国全体として、官民を挙げて観光立国の実現に取り組む体制が必要です。そこで、今後、観光立国の実現をさらに加速させるために、本年10月1日に、国土交通省の外局として、新たに観光庁を設置することになりました(観光庁の設置は、観光立国推進基本法が制定されたときの国会決議・附帯決議において明記されていました)。
観光庁では、これまでに引き続き、以下のことを行っていきます。
- 魅力ある観光地づくりを主体的に行う地域を強力に支援します。
- 観光産業の国際競争力の強化を支援します。
- 外国人旅行者の来訪を促進するなど、国際観光を振興します。
- 観光旅行を促進するための環境を整備します。
1.観光庁設置のメリット
観光庁が設置されると、何が変わるのでしょうか?
- 諸外国に対する情報発信力が強化されます
対外関係において、国際的な交渉を強力に推進できる体制が整います。我が国が、国を挙げて観光立国を推進していることを世界に発信するとともに、観光庁が我が国の政府を代表し、観光交流の拡大に関する外国政府とのハイレベルな交渉を行うことができるようになります。
- 関係省庁に対し、リーダーシップが発揮されます
観光施策に関し、政府部内で強力な調整・推進機能を発揮できる体制が整います。具体的には、観光庁長官のリーダーシップにより、これまでの省庁間の縦割りをなくし、政府を挙げての観光振興に向けての取組みが強化されます。これにより、観光立国に関する数値目標の実現に向けて、関係省庁への調整・働きかけを強力に行うことができるようになります。
- 地域・国民に対し、観光に関するワンストップ的な窓口が実現します
政府部門の相談窓口が一元化されます。これにより、政府が一体となって「住んでよし、訪れてよしの国づくり」に取り組んでいることを発信できるようになるだけでなく、地方公共団体や民間の観光地づくりを強力に支援することができるようになります。
2.観光庁の組織
観光庁長官は、大臣に準じた、局長より一段上の位置づけになります。長官をヘッドにリーダーシップを発揮できる体制が構築されます。また、観光庁は、地方運輸局などの地方組織を活用することで、観光振興の施策を的確に推進していきます。
なお、観光庁の組織・定員の確保は、すべて国土交通省内のスクラップ・アンド・ビルド(既存の機構の改廃)によって行われます。
観光庁の内部組織の業務分担

資料提供:国土交通省

観光庁では、それぞれの地域の特色を生かした魅力ある観光地づくりを推進するとともに、各地域の伝統・文化などの魅力を国内外に発信して、国際・国内観光を振興するなど、観光立国の実現に関する施策を総合的・計画的に推進していきます。また、国を挙げた取り組みを促進するため、民間や地域の皆さんとの連携を大いに重視して、「開かれた観光庁」を目指していく考えです。
観光立国を実現する上で何よりも大切なのは、すべての人が日本を訪れる外国人旅行者を温かく迎え入れる心を持つことです。それは、観光の原点でもあります。私たち一人一人が、外国人をもてなす心、「ようこそ」という気持ちを忘れずに、観光立国を実現していくことが大切です。
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