周囲の人の“見守り”がカギ!なくそう!高齢者の消費者被害

毎年5月は「消費者月間」です。平成22年度のテーマは「守ろうよ、みんなを!~なくそう!高齢者の消費者被害~」。近年、高齢者をねらった消費者トラブルが増加しており、社会問題にもなっています。平成22年度の消費者月間では、高齢者の消費者被害に焦点を当て、消費者庁では各種の取り組みが実施されます。皆さんもこの機会に、高齢者の消費者被害を未然に防ぐための方法を一緒に考えてみませんか。
70歳以上の消費者被害が増えています
近年、70歳以上の消費者トラブルの被害が目立っています。全国の消費生活センターに寄せられた消費生活相談件数のうち、契約当事者が70歳以上の方の相談は、2004年度以降10万件を超え、2009年度は117,000件と相談全体の約14%を占めています。


内閣府の調査によれば、何らかの消費者トラブルの被害に遭った人で、消費生活センターに相談したという人は約14%にとどまっていますので、相談件数の数字は、実際の被害件数の氷山の一角にすぎないといえるでしょう。一方、被害に遭っても、どこにも相談することも伝えることもしなかったという人は約34%となっています。
被害に遭っても相談しないという傾向は、特に高齢者の被害者に多くみられます。相談しない理由の一つとしては、「だまされたことに気づきにくい」ということがあります。高齢者をねらう悪質業者は、やさしい言葉で高齢者に近づいてきます。悪質商法などの知識や情報がない高齢者などは、相手をいい人だと信じ込み、だまされたことに気づかないまま、高額な契約をしてしまう場合も少なくありません。
また、被害に遭ったことを恥ずかしく思ったり、だまされた自分が悪いと自らを責めたりして、家族などに迷惑をかけたくないとの思いから、被害を訴えない人も多いようです。
日ごろ高齢者と接している周りの人の“気づき”が大事です

このように、被害に遭ってもそれを訴えない高齢者は、悪質業者の格好のターゲットになっています。
被害を防ぐためには、高齢者自身が悪質商法や契約に関する知識を身につけ、注意することが重要であることはもちろんですが、それと同時に、家族や周囲の人たちが、高齢者を見守ることが重要です。最近は、一人暮らし、あるいは高齢者だけで暮らす高齢者世帯が増えています。家族が遠方に住んでいて、ふだん、あまり接することができないというケースも少なくありません。そうした中で、日ごろから身近な場所で、高齢者を見守り、何かあったときに助けられるのは、地域の民生委員やヘルパー、ケアマネージャーの人たちです。
高齢者と日ごろから接している人たちが、高齢者の暮らしの中の変化に気づくことで、消費者トラブルを未然に防いだり、被害の回復を図ったりすることができます。
消費者庁では、高齢者の見守りと消費者トラブルの発見などに役立ててもらうため、『高齢者の消費者トラブル 見守りガイドブック』を作成し、高齢者を見守る立場にある団体や関係者などに配布しています。また、国民生活センターでは、全国の消費生活センターでキャッチした悪質商法の新たな手口などの情報を、民生委員やヘルパー、ケアマネージャーなどの福祉の現場に伝え、被害の予防や拡大防止を図るため、メールマガジン「見守り新鮮情報」を発行しています。
これらの情報を活用して、地域の高齢者を消費者トラブルから守りましょう。
高齢者の被害が目立つ消費者トラブル事例

見守りガイドブック
資料提供:消費者庁
『見守りガイドブック』やメールマガジン「見守り新鮮情報」の情報の中から、注意すべき事例をいくつか紹介しましょう。
事例1 未公開株トラブル
「近く上場して必ずもうかる」という業者の誘い文句につられて未公開株を購入したが、その後上場しない、株券が届かないといった未公開株トラブルの被害が増えています。
被害を未然に防ぐためには、日ごろから、地域で起こっている最新の被害情報にアンテナを張り、訪問時の話題にすることが大事です。客観的な情報提供で高齢者が被害に気づくことがあります。また、おかしいと思ったときには、家族や地域の消費生活センターに相談するよう勧めましょう。
事例2 電話勧誘販売
業者が消費者に電話をかけ、強引な勧誘や虚偽説明による電話勧誘で契約をさせる手口です。さまざまな手口のパターンがありますが、最近増えているのが、高齢者に「自作の短歌や俳句を新聞(雑誌)に掲載しないか」と電話し、「無料」と思わせておいて、後で高額な掲載料を請求するという手口です。また、断ったにもかかわらず、請求書が送られてきたというケースもあります。
日ごろから、最新の被害事例について情報提供しながら、業者の説明を鵜呑みにしないよう注意を呼びかけ、しつこい勧誘はきっぱりと断るよう助言しましょう。電話に怯えている場合は、トラブルに巻き込まれている可能性があります。
事例3 悪質な訪問販売によるリフォーム工事
販売業者が消費者の自宅を訪問し、商品やサービスを勧誘・販売する訪問販売で、強引な勧誘や長時間に及ぶ勧誘などの問題が指摘されています。「無料点検」といって家に上がり込み、必要のない住宅リフォームの契約を結ばせる手口も問題になっています。
また、最近では、2011年から地上アナログテレビ放送が地上デジタルテレビ放送に完全移行することに便乗し、総務省をかたって信用させ、不要な工事を契約させる訪問販売もみられます。
見慣れない人の出入りがあるときは注意しましょう。高齢者が工事を契約した(しようとしている)場合には、本当に必要か、高齢者の意志を尊重しながら再考を勧めましょう。また、ふだんから、訪問販売ではすぐに契約したり、代金を支払ったりしないよう注意を呼びかけましょう。訪問販売では、工事の開始後でも、クーリングオフ期間であれば解約できるので、早めに気づくことが重要です。
事例4 催眠(SF)商法
「クジにあたった」「新商品を紹介する」などといって閉め切った会場に人を集め、販売員が巧みな話術で場を盛り上げながら、集まった人たちを「もらわなきゃ損」「買わなきゃ損」という気持ちにさせ、最後に高額な商品を売りつける手口です。
高齢者が、いそいそと楽しそうに出かける回数が増えたときは、定期的に業者のところに外出している可能性があります。タイミングをみて「何かあるんですか?」など、声をかけてみましょう。日常的な会話の中で、近所で起こったトラブル事例を紹介しておくと、悪質商法に対して意識するようになります。
事例5 次々販売
認知症などで本人の判断力が不足していることに乗じ、一人の消費者に次から次へと契約させる販売方法です。一人暮らしの高齢者などをねらって、周囲が気付かないうちに訪問販売員が訪れ、同じ商品や異なる複数の商品を次々に契約させ、大きな被害になってしまうケースがあります。また、次々商法ではありませんが、最近では、テレビショッピングを通じて、認知症などの高齢者が、次々と商品を申し込んでしまうケースもあります。
日ごろから、見慣れない商品が大量にないか、不審な契約書類がないか、家の中や生活状況の変化に注意しましょう。認知症で判断能力が低下している場合は、契約を無効にしたり、取り消したりできることがあります。
困ったときは「消費者ホットライン」に相談を
消費者トラブルなどで何か「おかしいな」、「困ったな」と思ったときに、気軽に相談窓口にアクセスできるよう、消費者庁では全国共通の電話番号でつながる「消費者ホットライン」(0570-064-370)を設置しています。
日ごろ接している高齢者にも、「消費者ホットライン」の番号を教えてあげてください。「消費者ホットライン」に電話すると、市区町村の消費生活センターや相談窓口、都道府県の消費生活センターなどの身近な消費生活相談窓口をご案内します。
また、高齢者に接している人たちも、高齢者の消費者トラブルに気づいたけれど、どのように対応したらいいか分からないというときには、最寄りの消費生活センター・消費生活相談窓口に相談してください。

5月は「消費者月間」。全国各地のさまざまな活動にご参加ください。
5月の消費者月間を中心に、消費者庁では、高齢者の消費者被害の防止を呼びかけるさまざまな取り組みを実施します。その一環として、平成22年4月24日(土)、東京・豊島区の巣鴨駅前で、街頭キャンペーンを実施しました。“おばあちゃんの原宿”巣鴨で、当日は、福島みずほ消費者担当大臣も街頭に立ち、高齢者の方々にチラシを手渡しながら、高齢者へ注意を呼びかけました。
また、平成22年5月下旬には、東京・千代田区にて、高齢消費者・障害消費者見守りネットワーク連絡協議会が開催されます。
このほか、全国各地で、地方公共団体や消費者団体などでも、さまざまなイベントや啓発活動が実施されます。これらの情報は、消費者庁ウェブサイトでも紹介していきますので、皆さんもぜひご参加ください。
(取材協力:消費者庁 文責:政府広報オンライン)
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