地球のいのち、つないでいこう。
~「生物多様性」を守るために私たちができること~

環境省
国際生物多様性年国内広報キャラクター
「タヨちゃん・サトくんと仲間たち」
私たちの暮らしは、すべて地球上の生きものとつながっています。水も空気も食べ物も、地球のさまざまな生きものがいなくては得られません。その生きものたちも生態系の中でかかわりあい、支えあいながら生きています。こうした多様な生きもののつながりが「生物多様性」です。今年10月、この生物多様性に関する国際会議「COP10」が名古屋市で開催されます。
地球のいのちにありがとう! 人も生きものもつながりあって生きている
地球上には人間だけでなく、さまざまな生きものが生きています。知られているだけでも約175万種の生きものがいて、未発見の種も含めるとその数は3,000万種を超すとも言われています。これらの生きものは、森、里、川、海などさまざまなタイプの自然の中で、それぞれの環境に適応して多様な進化を遂げてきました。
地球上の生きものはお互いにつながりあって、「いのち」をつないでいます。例えば、里山の田んぼの周りにもたくさんの生きものがいます。田んぼの土壌にはたくさんの微生物やミジンコなどの生きものがいて、オタマジャクシやメダカなどがそれを食べて生きています。稲を食べる害虫は、カエルやクモなどに食べられます。それらの生きものも鳥に食べられることによって他の生きもののいのちを支えています。
このように、さまざまな生きものたちがいて、お互いにつながりあい、支えあっていのちの環(わ)がつくられています。このことを「生物多様性」と言います。
私たち人間も、このような生きものの一つであり、さまざまな生きものとのつながり、支えあいの中で生きています。私たちがふだん当たり前と思っていることも、その多くが、生物多様性がもたらす恵みの上に成り立っています。

生きものが減っている! 生物多様性が直面する4つの危機
生物多様性は、それぞれの地域の環境の中で、生態系のバランスを保ちながらはぐくまれてきました。しかし、いま、日本や世界のさまざまな場所で、その生態系のバランスが崩れています。たくさんの生きものが絶滅寸前になったり、すでに絶滅してしまったりしており、地球上の生きものが絶滅するスピードは、ここ数百年で100倍から1,000倍にも加速しており、かつてない速いスピードで絶滅が進んでいます。
地球上では、過去にも恐竜や三葉虫など多くの生きものが絶滅した時代がありました。その原因は、火山の噴火やいん石の衝突などによる環境変化と考えられています。しかし、今日の生きものの危機を招いた原因は、同じ地球上で生きる私たち人間にあります。私たち人間のさまざまな活動が、生物多様性に影響を与えていることを、もう一度考えてみる必要があります。
(1)開発や乱獲による種の減少・絶滅、生息・生育地の減少
日本では、戦後の経済成長に伴い、干潟の埋め立てなどの開発が行われました。日本全国の干潟の4割が消滅し、そこに棲む多くの動植物の生息・生育地が失われました。こうした開発によって生ものの棲みかがなくなっています。また、鑑賞用や商業利用のための乱獲や過剰な採取などによって絶滅寸前になった生きものや、絶滅に追いやられた生きものもいます。
(2)里地里山などの手入れ不足による自然の荒廃
里地里山の生態系は人の手が入ることによって保たれてきました。しかし今、農業や林業などの担い手が減り、農山村の過疎化が進んだことから、里地や里山の手入れが十分できなくなり、生態系のバランスが崩れてきています。
(3)外来種などの持ち込みによる生態系のかく乱
ブラックバス、マングースなど、ほかの国や地域から、人間によって持ち込まれた動植物(外来種)が、昔からその地域に生息していた在来種を捕食したり、生息場所を奪ったり、交雑して遺伝的なかく乱をもたらしたりしています。
また、私たちの社会活動によって排出される化学物質の中には、動植物への毒性をもつものがあり、生態系に影響を与えています。
(4)地球温暖化による世界的な危機
地球温暖化の進展によって、寒冷地でしか生きられない多くの種が絶滅の危機に瀕しています。また、海水温や気温の上昇は、そのような寒冷地における生態系の崩壊にもつながり、動植物の絶滅のリスクを高める原因となっています。人間活動による影響と地球温暖化による影響を受けて、日本の野生動植物の約3割が絶滅の危機にさらされています。
生物多様性を守りたい! 私たちができる「3つのアクション」
生物多様性が失われることは、私たち人間がこれまで自然から受けていたさまざまな恩恵が失われることにもつながります。一度失われてしまった種は、二度と取り戻すことはできません。今、地球上に棲む生きものを絶滅から守り、生態系のバランスを取り戻すことで、生物多様性を守り、次の世代に引き継いでいくことができます。私たち一人ひとりも、生物多様性を守るためにできることがあります。

生物多様性を守るための国際会議「COP10」が2010年10月に名古屋で開催
生物多様性は日本だけの問題ではなく、世界全体の問題です。日本は外国から食料や木材などさまざまなものを輸入していますが、それは相手国の生物多様性にも影響を与えています。また、渡り鳥やウミガメ、クジラなどの生きものは国境を越えて広い範囲を移動します。遠く離れた地域も、こうした生きものによってつながっています。

そこで、世界の国々がお互いに協力し、地球全体の生物多様性を守っていくための枠組みとして、「生物多様性条約」が1992年に採択されました。現在、約190の国と地域がこの条約を締結しています。
生物多様性条約では、「生物の多様性を守ること」「生物多様性による恵みを持続可能なように利用すること」「遺伝資源の利用から生じる利益を公平にバランスよく配分すること」の3つを目的とし、概ね2年ごとに締約国が集まって、国際的な枠組みを決める生物多様性条約の「締約国会議(COP)」を開催しています。
その10回目にあたる「COP10」が、2010年10月、愛知県名古屋市で開催されます。ホスト国である日本は、「いのちの共生を、未来へ(Life in harmony, into the future)」をスローガンに掲げ、生物多様性の保全に向けたメッセージを発信していきます。
「COP10」の開催前や開催期間には、一般の皆さんが参加できるイベントも多数開催されます。各イベントに関する情報は、生物多様性条約第10回締約国会議支援実行委員会ホームページでお知らせしています。「COP10」をきっかけに、皆さんも生物多様性を守るための行動を始めてみませんか。
100年後も豊かな生物多様性を守り続けるために~生物多様性国家戦略2010
2010年3月、日本政府は生物多様性の保全と持続可能な利用を進めるための国の基本的な計画として、「生物多様性国家戦略2010」を策定しました。これは、2008年6月に施行された「生物多様性基本法」に基づく初めての国家戦略です。
「生物多様性国家戦略2010」では、過去100年の間に破壊してきた国土の生態系を次の100年をかけて回復するという長期目標を掲げ、2050年までの中長期目標、2020年までの短期目標を明確に示しています。また、その目標達成のために、(1)生物多様性の社会への浸透、(2)地域における人と自然の関係の再構築、(3)森・里・川・海のつながりの確保、(4)地球規模の視野を持った行動の4つの基本戦略と具体的な施策を示し、具体的な数値目標を掲げて取り組んでいくこととしています。
(取材協力:環境省 文責:政府広報オンライン)
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