絶滅の危機にある希少な野生動植物の販売や譲渡、捕獲、採取は、原則として禁止されています
- いま、世界全体では、1万7千種以上の野生動植物が絶滅の危機にさらされています
- 絶滅のおそれのある野生動植物は、ワシントン条約により、国際間の取引が規制されています
- ワシントン条約の規制を受ける国際希少野生動植物種、日本に生息する国内希少野生動植物種は、種の保存法によって、売買や譲渡し、貸借など国内での流通が規制されています
- 一定の要件を満たす国際希少動植物種は、環境省への登録を行うことにより、譲渡し等が可能になります
- 国内希少野生動植物種は、譲渡しだけでなく、捕獲や採取も原則として禁止されています
いま、地球では、開発や環境汚染、野生動植物資源の乱獲といった人間の経済活動を背景に、多くの野生動植物が絶滅の危機にさらされています。絶滅のおそれのある野生動植物は、ワシントン条約や種の保存法などにより、原則として、国際間の取引や国内での流通が禁止されています。希少な野生動植物を守るために、ワシントン条約や種の保存法による取引規制を守りましょう。
絶滅の危機にさらされている野生の動植物が増えています
地球には約3,000万種もの多様な動植物が暮らしていると言われています。そのうち、私たちが知っているのは約175万種にすぎません。地球上では、こうした多種多様な動植物が、食物連鎖でつながり、互いの命を支え合って、生態系を築いています。
私たち人間の生活も、生態系がもたらす様々な恵みによって支えられています。食べ物や木材、薬の原料など、私たちは多くの資源を生態系から得ているのです。
しかし、今、私たちの周りでは、自然環境の破壊等により、生態系のバランスが崩れ、絶滅の危機にさらされている動植物が年々増えてきています。2009年11月に国際自然保護連合(IUCN)が発表したレッドリスト(絶滅のおそれのある野生動植物の種のリスト)によると、絶滅危惧種とされている動植物の数は17,285種で、前年よりも300種以上増えています。
野生の動植物を絶滅の危機に追いやっているのは、私たち人間の経済活動です。開発などによる生息地の破壊、水や土壌の環境汚染、地球温暖化など、野生動植物が生息する自然環境の悪化、そして、野生動植物の過剰な乱獲や密猟などによって、野生動植物の数が大きく減り、生態系のバランスが崩れてきているのです。
絶滅のおそれのある野生動植物種の国際取引を規制する「ワシントン条約」
今、私たちの社会では、水産物や肉などの食料、木材や樹脂などの建築材料、皮革・毛皮・羽毛、薬の原料、ペットなど、様々な目的で野生動植物が利用されており、国際間で取引されています。こうした野生動植物の国際取引が種の存続を脅かすほどに過度に行われると、それらの野生生物を絶滅の危機にさらすことになります。

ワシントン条約附属書I掲載種の例
(アフリカ象、トラ、チンパンジー、オオバタン、アカウミガメ)
そこで、野生動植物種の国際取引がそれらの存続を脅かすことのないよう規制するため、1973年に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)」(ワシントン条約)が採択されました。この条約では、絶滅のおそれの程度によって野生動植物種を条約附属書I~IIIの3段階に分類し、それぞれの輸出入を規制しています。
附属書に記載された希少な動植物の生体はもちろん、そのはく製や羽・牙などの器官、毛皮のコートなどの加工品も規制の対象になります。
日本は1980年にワシントン条約を締結し、条約の附属書に掲載される野生動植物種の輸出入を外国為替及び外国貿易法や関税法に基づいて規制しています。このため、海外では、希少な野生動植物のはく製や加工品などが流通している場合があり、現地で購入できたとしても、附属書に掲載がされている種については、一部を除き原則、日本には持ち込むことができません(許可書があれば持ち込めるものもあります)。
ワシントン条約による輸出入の規制
(2011年4月27日発効)
| 掲載基準・主な掲載種 | 規制の内容 | |
|---|---|---|
| 附属書I | 絶滅のおそれのある種で取引による影響を受けるもの <主な掲載種>チンパンジー、コバタン(オウム)、クモノスガメ、アジアアロワナなど605分類群 |
・商業目的のための国際取引を禁止 ・学術目的(繁殖目的を含む)の取引は可能だが、輸出国、輸入国双方の政府の発行する許可書が必要 |
| 附属書II | 現在は、必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を厳重に規制しなければ絶滅の危機のおそれがある種となり得るもの <主な掲載種>ホッキョクグマ、トモエガモ、カメレオン、ピラルクなど364分類群 |
・商業目的の国際取引も可能 ・輸出国政府の発行する輸出許可書が必要(附属書IIIの場合は、指定国以外は原産地証明が必要) |
| 附属書III | 締約国が自国内の保護のため、他の締約国の協力を必要とするもの <主な掲載種>セイウチ(カナダ)、ハナガメ(中国)など131分類群 |
規制対象種は、2~3年に1度開催されるワシントン条約締約国会議で、更新されます。
ワシントン条約で国際取引が禁止されている主な加工品
| 原則持ち込めないもの (附属書I) |
持ち込みには許可書が必要なもの (附属書II) |
|
|---|---|---|
| 毛皮・敷物 | トラ、ヒョウ、ジャガー、チーター、ヴィクーニャ(ラクダ) | ホッキョクグマ |
| 皮革製品(ハンドバッグ、ベルト、財布等) | アメリカワニ、シャムワニ、アフリカクチナガワニ、クロカイマン、インドニシキヘビ、オーストリッチ(ダチョウ) | ワニ(クロコダイル、アリゲーター)、ヘビ(ニシキヘビ、キングコブラ、アジアコブラ)、トカゲ(オオトカゲ、テグトカゲ) |
| 象牙製品 | インドゾウ、アフリカゾウ | |
| はく製・標本 | オジロワシ、ハヤブサ、ウミガメ | フクロウ、キシタアゲハ、シャコ貝、石サンゴ、角サンゴ |
| アクセサリー | トラ・ヒョウの爪、サイの角 | ピラルクのウロコ、クジャクの羽うちわ |
| その他 | 漢方薬(虎骨、麝香(じゃこう)、木香を含むもの) | 胡弓(ニシキヘビの皮を使ったもの) |
日本でも、国際希少野生動植物種の流通は規制されています
また、日本では、国内外の絶滅のおそれのある野生動植物の種を保存するために、平成5年4月に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」が施行されました。この法律によって、ワシントン条約の附属書Iに記載された動植物種が日本に入った場合は、「国際希少野生動植物種」に指定され、国内での流通が規制されます。(※1)
国際希少野生動植物種の販売や頒布目的の陳列、譲渡し(あげる、売る、貸す、もらう、買う、借りる)は、原則として禁止されています。違反した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課されます。
ただし、以下の登録の要件を満たす場合は、環境大臣(登録機関)に登録することにより、譲渡し等をすることが可能になります。
(※1)規制の対象は、個体(生体、はく製)だけではなく、種によって器官(羽、牙など)や加工品(毛皮のコートなど)も対象となります。
登録の要件
- 国内で繁殖させた個体やその個体の器官等
- ワシントン条約適用前に国内で取得した個体、または加工品
- 関税法による許可を受けて輸入された個体、器官、または加工品
登録を受けた個体には登録票が交付され、登録個体等の譲渡しをするときには、次のような取扱いをすることが義務づけられます。
登録票の取扱い
- 登録個体等を販売・頒布目的で陳列する際は、登録票を備え付けておかなければならない
- 登録個体等の譲渡しは、その個体等に係る登録票とともにしなければならない
- 譲受けまたは引取りをした者は、30日以内にその旨を届け出なければならない
登録の手続きは、財団法人自然環境研究センターが行っています。登録の手続きに関する詳しい情報は、下記にお問い合わせください。
問い合わせ先
財団法人自然環境研究センター CITES管理事業部
- 住所:東京都台東区下谷3-10-10
- 電話:03-5824-0953(平日10時~17時)
国際希少野生動植物を飼育・販売する方は、忘れずに登録を
最近は、希少な野生動物をペットとして飼育する方も少なくありません。ペットとして販売されている生き物でも、ヘサキリクガメやマダガスカルホシガメ、スローロリスなどは、現在、ワシントン条約や種の保存法により、商業目的での輸入や販売は原則として禁止されており、登録票がなければ国内での売り買いできない種もいます。
希少な野生動植物を販売等をする方は、ワシントン条約の附属書Iに掲載されている種かどうかを確認し、該当する場合は、国際希少野生動植物種の登録を行い、ルールに基づいた譲渡しなどを行いましょう。ワシントン条約の附属書掲載種は2~3年に1度、更新されますので、最新情報をご確認ください。
また、希少野生動植物を購入・飼育を希望する方は、これらの種が本来の生息・生育地で存続できることの重要性を十分に考えて購入を検討するとともに、登録票がない個体等を購入しないように注意しましょう。
スローロリス ![]() |
マダガスカルホシガメ ![]() |
写真提供:いずれも(財)自然環境研究センター
日本に生息・生育する国内希少野生動植物種は、捕獲・採取も禁止されています

国内希少野生動植物種の例
(ヤンバルクイナ、オガサワラシジミ、アツモリソウ)
日本に生息・生育する野生動植物の中にも、絶滅の危機に直面している種が数多くあります。環境省では、絶滅のおそれのある日本の野生動植物の現状を的確に把握するため、レッドデータブックやレッドリストを作成しています。
このレッドデータブックやレッドリストで「絶滅危惧種」とされたもののうち、人為の影響により生息・生育状況に支障を来す事情が生じているものの中から、種の保存法により、「国内希少野生動植物種」に指定され、原則として、個体や標本などの譲渡し(売買や譲渡、貸借など)が禁止されるほか、野生の生きている個体の捕獲や採取なども禁止されています。ただし、学術研究や繁殖、教育、個体の生息状況・生育状況の調査などの目的で捕獲する場合は、環境大臣の許可を得た上で捕獲することができます。
平成23年3月に、新たに昆虫5種が「国内希少野生動植物種」に指定され、「国内希少野生動植物種」は87種(※2)となりました。新たに指定された昆虫は、平成23年4月以降、生体の捕獲や標本の売り買い、贈与は禁止されています。
希少な野生動植物の種を守るため、皆さんの理解とご協力をお願いします。
(※2)国内希少野生動植物種は鳥類38種、哺乳類5種、は虫類1種、両生類1種、魚類4種、昆虫類15種、植物23種。
平成23年に新たに指定された昆虫5種
マルコガタノゲンゴロウ ![]() |
フチトリゲンゴロウ ![]() |
シャープゲンゴロウモドキ ![]() |
ヨナグニマルバネクワガタ ![]() |
ヒョウモンモドキ ![]() |
写真提供:いずれも環境省
<取材協力:環境省 文責:政府広報オンライン>
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