ストップエイズ!まずは早めに「HIV検査」を

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HIV検査を受ける女性と血液採取をしている看護師の女性。

以前は不治の病というイメージがあったエイズ。現在では様々な治療薬が開発されたお陰で、適切な治療によって症状をコントロールしながら、普通の生活を送ることができるようになっています。感染予防のために正しい知識を理解することが重要です。また、早期発見と治療のためにも HIV検査が大事です。全国の保健所などでは匿名・無料でHIV検査や相談ができますので、是非、利用してください。

1HIVとエイズってなに?

「AIDS(エイズ)」(※1)とは、「HIV」(※2)というウイルスに感染して免疫力が低下し、決められた様々な疾患を発症した状態を言います。
HIVに感染して数週間後、インフルエンザに似た症状(発熱・筋肉痛・頭痛など)が現れる場合があります。その後、自覚症状のない時期が通常は数年続きますが、その間にも病気と闘う免疫力の低下が進行します。その後、日和見感染症(※3)を発症するようになります。特に「指標疾患」(※4)を発症した場合、エイズと診断されます。
本人がHIV感染に気付かず適切な対応をしないと、他人にHIVを感染させてしまう可能性があります。それを防ぐためにはまず、HIV感染の早期発見が重要です(詳しくは後述)。

  • ※1 AIDS(Acquired Immune Deficiency Syndrome):後天性免疫不全症候群
  • ※2 HIV(Human Immunodeficiency Virus):ヒト免疫不全ウイルス
  • ※3 日和見感染症:本来なら自分の免疫力で抑えられるような肺炎などの病気
  • ※4 指標疾患:カポジ肉腫やカリニ肺炎、悪性リンパ腫など
  • 【参考】厚生労働省「9 後天性免疫不全症候群」

HIV感染からエイズ発症までの流れ。1.HIV感染(無症状または数週間以内に、発熱、喉の痛み、赤い発疹、筋肉痛などインフルエンザに似た症状が出る場合がある)、2.無症状期(数年間)(自覚症状はなく、体内の免疫力低下が進む)、3.エイズ発症(日和見感染症など指標疾患を発症)。

2HIV/エイズは増えているの?

昭和56年(1981年)に最初のエイズ症例が報告されて以来、世界中へHIV感染が急激に広がりました。現在は多少ペースが鈍化したもののHIV感染者数・エイズ患者数は増え続けており、令和3年(2021年)末現在、HIVとともに生きている人は世界で3,840万人となっています。また、令和3年(2021年)に新たにHIVに 感染した人は150万人、エイズ関連疾患によって亡くなった人は65万人となっています(国連エイズ合同計画(UNAIDS)より)。
日本では、令和4年(2022年)の新規HIV感染者/エイズ患者報告数は884件となり、平成28年(2016年)より減少しており、6年連続での減少となりました。そのうち、HIVに感染していたことを知らずに、エイズを発症して初めて気づいたというケースが、新規HIV感染者・エイズ患者数の約3割を占めています。

日本における近年のHIV感染者・エイズ患者の発生動向(新規報告数)

近年のHIV感染者・エイズ患者の新規感染者数のグラフ。エイズ患者報告数とHIV感染者報告数の合計は2016年から6年連続で減少している。

資料:厚生労働省エイズ動向委員会「令和4(2022)年エイズ発生動向―概要ー」より政府広報室作成

3感染を防ぐには?

HIVは血液や精液、膣分泌液などに含まれますが、感染力が弱いため、日常生活(握手・入浴・缶などの回し飲みなど)ではうつりません。感染経路は、主に「性的接触による感染」「血液を介しての感染」「母子感染」の三つに限られているため、正しい知識を持って予防対策をとることで、HIV感染のリスクを減らすことができます。

感染経路と予防対策

感染経路と感染の予防対策。(1)性的接触による感染(HIV感染者の精液や膣分泌液などが、相手の性器や肛門、口などの粘膜や傷口を通って感染)。コンドームの正しい使用や安全な性行為の理解により予防。(2)血液を介しての感染(血液に含まれているHIVが傷口などを通して体内に入り感染)。血液が付着した器具を共用しない、血液に直接触れないことにより予防。(3)母親から赤ちゃんへの母子感染(母親がHIV感染者の場合、妊娠中・出産時や母乳によって赤ちゃんに感染)。母親が投薬治療を受けること、母乳を避け粉ミルクで育てるなどにより予防(詳しくは専門医に相談)。

4感染・発症したら治せるの?

診察を受ける男性と診察を行う男性医師。

今のところ、体の中にあるHIVを完全に取り除くことはできません。ただし、医療の進歩によって様々な治療薬が開発されたおかげで、体内にいるHIVの増殖をおさえ、免疫力を維持することが可能になっています。
万一、HIVに感染、又はエイズを発症しても、薬を飲み続けるなど適切な治療を継続することによって、普通の生活を送ることができますし、こどもを安全に出産することも可能です。
なお、エイズ発症後での治療は、発症前と比べて難しくなるため、より高い治療効果を得るためには、HIV感染を早期に発見し、早期治療につなげることが大変重要です。

5HIV検査を受けるには?

HIV検査は、全国各地にある保健所など(匿名・無料)や、病院・クリニックなどの医療機関(原則有料)で受けられます。
HIV検査施設については、下記のホームページから検索できます。

HIV検査施設である病院、クリニック、保健所のイラスト。


(注意!)

HIV検査は、感染後に産生される抗体が血液中にあるかどうかを調べる「抗体検査」が一般的です。しかし、血液中で抗体が検出されるのは、HIV感染後から通常6週間から8週間を要するため、感染が疑われる時期から3か月以上経ってからHIV検査を受けてください。
感染のことがどうしても心配なときは、感染の可能性のある機会から3か月以内であっても、検査・相談を受けることで、一つの目安を得ることができますが、もし陰性と出てもその結果を最終的に確認するためには、感染の機会から3か月以上経ってからの再受検が必要となります。

HIV検査の一般的な流れ(即日検査の場合)

HIV検査の一般的な流れ。①電話受付(予約が必要な場合)。電話やインターネットで、検査受付時間や内容の確認をする。②検査当日受付。窓口にて受付、申込書の記入・提出(保健所では、名前・住所の記入不要)、③検査前の説明。検査に関する説明と相談(不安な点なども相談可能)、④採血(少量の血液(約5CC)を採決、⑤結果報告。約1時間後に検査結果を報告(通常検査の場合は、1から2週間後)。

 

依然として、新規HIV感染者が年間600人超、エイズ発症後に報告される新規エイズ患者数も年間250人超と報告されており、潜在的なHIV感染者の存在が懸念されます。感染しても自覚症状が現れないため、気付かずにほかの人に感染させたりすることがあります。また、気付かずにエイズを発症してしまうと、エイズ発症前よりも治療が難しくなってしまいます。少しでも気になるかたは、早めにHIV検査を受けましょう。

囲み記事1

6月1日から7日は「HIV検査普及週間」

この期間中には、全国各地でHIV/エイズに関する知識・理解を深めてもらうために様々な普及啓発活動が行われるとともに、HIV検査の利用機会を拡大するため、夜間・休日などでも検査を受けられるよう、検査体制の強化を図ります。 詳しくは、下記のホームページをご覧ください。

囲み記事2

12月1日は「世界エイズデー」

世界エイズデーは、世界レベルでのエイズのまん延防止と患者・感染者に対する差別・偏見の解消を目的に、WHO(世界保健機関)が昭和63年(1988年)に制定したものです。我が国においてもその趣旨を踏まえ、エイズに関する正しい知識等についての啓発活動を推進し、エイズまん延防止及び患者・感染者に対する差別・偏見の解消等を図ります。

詳しくは、下記のホームページをご覧ください。

また、HIV/エイズについて聞きたいことや相談したいことがあれば、お近くの保健所又は下記までお気軽に問い合わせください。

囲み記事3

レッドリボンについて

ストップエイズ_レッドリボン

レッドリボンはエイズに苦しむ人々への理解と支援の意思を示すシンボルです。身に付けることで、あなた自身がエイズに関して偏見を持っていない、エイズとともに生きる人々を差別しないというメッセージになります。国連合同エイズ計画(UNAIDS)のシンボルマークにもなっています。

(取材協力:厚生労働省 文責:政府広報オンライン)

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