震災の記録・教訓を次世代に伝える 国立国会図書館 東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」

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東日本大震災の記録や教訓を次世代に伝えるために、「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(愛称:ひなぎく)」が平成25年3月から公開されています。この「ひなぎく」は国立国会図書館だけでなく他の公的機関や、報道機関、教育機関、NPO・ボランティア団体、そのほか一般企業といった様々な民間団体が連携し、それらが保有する震災に関する音声・動画、写真、文書などの記録を一元的に検索できるポータルサイトです。令和4年1月現在で、55のデータベースから約488万件のコンテンツが検索可能であり、被災地の復興支援や今後の防災・減災対策、学術研究や防災教育などへの活用が期待されています。ぜひ、皆さんも自身の防災・減災対策として「ひなぎく」をご利用ください。

1「ひなぎく」って何?

未曾有の被害をもたらした東日本大震災。このような大地震は、またいつ発生してもおかしくはありません。そこで、この震災のあらゆる記録・経験を未来に伝え、今後の防災・減災対策や復興・復旧へのまちづくりに生かしていくことが大切です。
政府では「復興構想7原則」[PDF:82.7KB]「東日本大震災からの復興の基本方針」[PDF:348KB]において、「大震災の記録を永遠に残し、広く学術関係者により科学的に分析し、その教訓を次世代に伝承し、国内外に発信する」として、地震・津波災害、原子力災害の記録・教訓の収集・保存・公開体制の整備を図り、国内外を問わず誰もが一元的に活用できる仕組みの構築を掲げています。

こうした方針を踏まえ国立国会図書館でも下記の基本理念の下、国や自治体などの公的機関やNPO・ボランティア関連の民間団体、報道機関といった国内外にわたる様々な団体と協力して、東日本大震災に関する資料を一元的に検索・閲覧できるポータルサイト「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(愛称:ひなぎく)」を平成25年3月から公開しています。

令和3年3月9日に閣議決定された「第2期復興・創生期間」以降における東日本大震災からの復興の基本方針」[PDF:944 KB]では、「(3)復興の姿の発信、東日本大震災の記憶と教訓の後世への継承」において、ひなぎくとの連携等を通じて、効果的な復興の手法・取組や民間のノウハウ等を取りまとめ、幅広く関係機関への普及・啓発を図ることで、各機関における体制構築及び災害対応能力の向上に資するとされているように、ひなぎくは、震災の教訓を次の世代へ伝えていく上で重要な役割を担っています。

「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ」基本理念

  1. 国内外に分散する東日本大震災の記録などを、国全体として収集・保存・提供すること
  2. 関係する官民の機関が、それぞれの強みを生かし、分担・連携・協力し、全体として震災アーカイブとして機能すること
  3. 東日本大震災の記録等を国内外に発信するとともに後世に永続的に伝え、被災地の復興事業、今後の防災・減災対策、学術研究、教育などへの活用に資すること
画像:ひなぎくトップページ

ちなみにこの「ひなぎく」とは、「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(Hybrid Infrastructure for National Archive of the Great East Japan Earthquake and Innovative Knowledge Utilization)」の頭文字をとったもので、花言葉である「未来」「希望」「あなたと同じ気持ちです」に、復興支援という事業の趣旨が込められています。

2どのような記録が収集されているの?

紙媒体・デジタル媒体を問わず、東日本大震災に関連する「音声・動画」「記録文書」「写真」「研究情報、ファクトデータ」「刊行物・出版物」「ウェブ情報」といった様々なコンテンツを対象としています。その中でも特に国立国会図書館が、関係機関と連携・協力しながら優先的に収集しているのは次のような記録です。

収集・保存の対象となる主な「記録」

公的機関が所蔵または作成した記録と基礎的データ(観測・測量データ、アンケート個票など)
NPO、ボランティア団体などの活動および被災地の状況に関する記録(特に他の機関が収集しない動画・画像)
学術機関・団体による調査・研究および基礎的データ
企業における活動の記録
震災による原子力発電所の被害および事故に関する記録
被害に関して学術的・歴史的に価値のある情報を含む動画・画像など

国立国会図書館(写真提供:国立国会図書館)

国内出版物については納本制度(下記コラム参照)によって国立国会図書館に納入されるほか、個人やボランティア団体、NPO、企業などが保有する震災に関する動画や音声、写真、記録文書などについては、被災地の図書館などと連携して協力を呼びかけながら収集に努めています。
なお、収集されたこれらの記録は、長期間の保存・提供を行っています。

コラム1

「納本制度」とは?

図書などの出版物をその国の責任ある公的機関に納入することを発行者などに義務付ける制度のことです。国立国会図書館法によって、日本国内で発行されたすべての出版物(図書、雑誌、新聞、CD-ROM、ビデオ、DVD、楽譜、地図、マイクロ資料など)は、国立国会図書館に納入しなくてはなりません。なお、納本された出版物の「書誌データ」は、国立国会図書館ホームページにある下記リンクから検索できます。

同制度について詳しくはこちら

3検索できるコンテンツはどのくらいあるの?

「ひなぎく」では国立国会図書館が保有する記録だけでなく、以下のような様々な連携・協力先のデータベースと合わせて、東日本大震災の記録として包括的に検索することができます。

<主な連携・協力先およびデータベース名称>

(1)地方公共団体

福島県郡山市、富岡町、双葉町、川内村「郡山震災アーカイブ」
宮城県及び宮城県内市町村「東日本大震災アーカイブ宮城」
岩手県「いわて震災津波アーカイブ~希望~」

(2)図書館・研究機関

科学技術振興機構「J-STAGE」
神戸大学附属図書館「震災文庫」
国立情報学研究所「IRDB」
東北大学災害科学国際研究所「みちのく震録伝」
日本原子力研究開発機構「JAEA図書館OPAC」「福島原子力事故関連情報アーカイブ(FNAA)」
ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所「日本災害DIGITALアーカイブ」
東北学院「東日本大震災の記録 Remembering 3.11」
医療創生大学「はまどおりのきおく-未来へ伝える震災アーカイブ-」

(3)報道機関

河北新報社「河北新報 震災アーカイブ」
日本放送協会「NHK東日本大震災アーカイブス」
フジテレビジョン・FNN(フジニュースネットワーク)「3.11 忘れない FNN東日本大震災アーカイブ」

(4)企業・各種団体など

グーグル「未来へのキオク」
ヤフー「東日本大震災写真保存プロジェクト」
東日本大震災アーカイブ福島協議会「東日本大震災アーカイブFukushima」
国立女性教育会館「NWEC災害復興支援女性アーカイブ」
せんだいメディアテーク「3がつ11にちをわすれないためにセンター」

(5)閉鎖されたアーカイブの承継

日本赤十字社「赤十字原子力災害情報センターデジタルアーカイブ」
農林中金総合研究所「農林漁業協同組合の復興への取組み記録 東日本大震災アーカイブズ」

上記をはじめ、合計55のデータベースが「ひなぎく」の検索対象となっています。

詳しくはこちら

また、検索可能なコンテンツは次の5種類に分類されています。国立国会図書館が保有する写真や動画は「ひなぎく」上で閲覧できるほか、連携先が保有するものについても連携先のシステム上で原則閲覧可能です。

「ひなぎく」資料種別

(1)文書資料

東日本大震災や過去の災害に関連する図書、雑誌、雑誌記事、文書など
例)公的機関が作成した東日本大震災に関する報告書、過去の災害の文献、国立国会図書館をはじめとする各地の図書館等が収集した地震・津波・防災・復旧復興・原子力災害・電力等の文献の書誌データなど

(2)Webサイト

公的機関のほか、東日本大震災に関する情報を発信している民間団体のウェブサイト
例)震災発生以降の被災地自治体や国の関係機関、東京電力をはじめとする企業、東日本大震災支援全国ネットワークといった支援団体など

(3)写真

被災地の様子を映した報道記者・カメラマンの写真、市民からの提供写真、写真・動画共有サイトに投稿された震災前の美しい風景・懐かしい景色など
例)地震発生直後の被災地の航空写真、被災後に行われた伝統芸能や各種イベントの写真など

(4)動画・音声

被災した人の証言動画・音声、テレビ局が提供する震災時の様子、動画共有サイトに投稿された震災前の風景など
例)震災直後のニュース、三陸鉄道の沿線風景、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)の会議、東京電力が公開した福島第一原子力発電所の様子など

(5)その他

上記以外の資料。(ただし、連携データベースのメタデータの仕様上、収録資料の全てまたは一部が「その他」に分類される場合もあります。)

4どのように活用されるの?

「ひなぎく」はパソコンやスマートフォンから誰でも無料で利用可能(※)です。検索画面上でキーワードを入力すれば、連携先のデータベースを一括で検索することができます(下記(2)(3)参照)。また、動画や写真などの資料種別でも検索できます。
※連携しているデータベースには有料のものもあります。

利用方法

(1)国立国会図書館のトップページから「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ」にアクセス

(2)調べたいキーワードを入力

(3)検索結果の表示

(4)報告書、写真、動画などが閲覧可能(一部は目録情報のみ)

これらのコンテンツを一括検索できることによって、今後の防災・減災対策や被災地の復興支援、学術研究や防災教育といった様々な目的のための活用が期待されています。

主な活用例

自治体 震災の被害状況などを参考に、新たな防災計画を作成
NPO 被災地支援活動の記録を参考に、将来の震災時における活動内容を検討
報道機関 福島第一原子力発電所事故に関するテレビの特集番組を制作するために、事故の報告書や過去の原発行政に関する資料を使用
教育機関 写真・報告書等を用いて、防災教育教材を作成
地震学・防災科学研究者 津波映像や過去の古文書を利用して、今後起こり得る津波被害をシミュレーション
IT技術者 他のAPI(※1)とマッシュアップ(※2)し、防災に役立つWebサービスやアプリの開発・提供

※1)アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)の略。オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトが、他のアプリケーションソフトに対し、機能の一部を利用できるよう提供するインターフェース。
※2)インターネットを通じて提供される複数のウェブサービスやコンテンツを組み合わせて、あたかも単一のウェブサービスのように提供すること。

また、いざというときの避難経路や備蓄品、安否確認の方法など、皆さん自身の防災・減災対策をもう一度見直すきっかけとしても、「ひなぎく」で検索できる様々なコンテンツをぜひ参考にしてみてください。

5ジェネリック医薬品の普及に向けて

国立国会図書館および協力・連携機関では、引き続き東日本大震災に関連する記録を収集しています。
国立国会図書館では、震災の記録を収集する多くのプロジェクトと共同で、被災や復興に関わる写真や動画の投稿の呼び掛けを行っています。投稿された写真・動画は、各サイトに掲載されるだけでなく、「ひなぎく」からも検索できるようになります。詳しくは次のページをご参照ください。
「写真・動画の投稿、ウェブサイトの発見にご協力ください」
自治体や報道機関・研究機関などが所有する記録だけではなく、被災した方々や被災地支援に携わった方々が個人的に保有している写真や動画、チラシやフリーペーパー、文集などの紙媒体も保存すべき大切な記録です。さらに、震災以降のものだけでなく、発災前の様子を収めた写真や映像なども大変価値のある情報になります。
東日本大震災に関する記憶を風化させないために、記録の収集・保存活動にご協力ください。

なお、岩手・宮城・福島・山形・茨城・千葉各県の県立図書館などでは、特に下記のような震災記録の提供をお願いしていますので、記録をお持ちの方はぜひご連絡ください。

震災記録とは

調査報告書、復旧・復興計画書など
フリーペーパー、ミニコミ誌、チラシなど
イベント・セミナー・相談会等のチラシや資料など
各種活動記録(ボランティア記録、避難所だよりなど)
学校だより、会報、広報誌など
個人・団体が作成した文集・体験記・手記など

<記録の収集・保存に関する問い合わせ先>

(取材協力:国立国会図書館 文責:政府広報オンライン)

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