ここにもあります!相談できる窓口が。「いじめ」しない させない 見逃さない

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いま「いじめ」へのこどものかかわり方は、さまざまです。いじめをするこども、いじめを受けるこども、いじめを面白がってはやしたてるこどもや、ただ傍観するだけのこども……。いじめは、一人ひとりが生まれながらに持つ「人権」を侵害する行為です。いじめを「しない」「させない」「見逃さない」ために、こどもと周囲の大人ができることを考えてみましょう。

1さまざまな「いじめ」が問題に

「いじめ」は、相手の体を殴ったり、蹴ったりして身体的に苦痛を与える行為だけではありません。悪口を言ったり、無視したり、相手が嫌がることをしたりして、心に苦痛を与えることも「いじめ」です。

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さまざまな「いじめ」

(1)仲間はずれ・無視(シカト、ハブる)
口をきかない、一緒に遊ばない、いじめの標的にされた子が教室に入ってくると急に話をやめて離れたりするなど、「仲間はずれ」にしていることを強く印象づけるような態度をとることで、心理的なダメージを与えようとする。

(2)身体への直接攻撃
校舎の裏やトイレなどの人目につかない場所で殴ったり蹴ったりする、髪の毛を引っ張る、頭から土や水をかける、掃除用具などでたたく、鉛筆やコンパスの針で突く、濡れた雑巾や黒板消しを投げつけるなど、身体的な苦痛を与える。

(3)相手が嫌がることをする、させる
持ち物を取り上げる、無理やり服を脱がせる、靴やカバンなどを隠す、教科書やノート、机などに落書きしたり汚したりする、お金をたかる、根も葉もないウワサや悪口を言いふらす、しつこく冷やかしたりからかったりする、万引きを強要する、他人の荷物を持たせる、他人をいじめさせる など。

令和3年度(2021年度)に確認された小・中・高等学校や特別支援学校におけるいじめの認知件数は61万5,351件に上ります(※)。その件数を学年別にみると、一番多かったのは小学2年生で、小学1年生、小学3年生と続き、高学年になるにつれて減っていきます。近年、いじめは低年齢化しており注意が必要です。

⽂部科学省「令和3年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果について」[PDF︓1.1MB]

また、いじめの様子をみると、最も多いのは「冷やかしや悪口を言われる」、次いで「遊ぶふりをして軽く叩かれる」「仲間はずれ、集団による無視」が多くなっています。これらは、ケガを負うほどの傷をつけるものではありませんが、心を大きく傷つけることがあります。こうした精神的ないじめが原因で、いじめられたこどもが自殺する事件も発生しています。

このように、不当に人の身体や心を傷つけ、時には死に追いやることは、誰もが生まれながらに持っている「人間が人間らしく生きる権利」つまり「人権」を損なう行為です。いじめを「しない」「させない」ためには、まず、「いじめは人権侵害である」ということを、こどもも大人も認識することが必要です。すなわち、お互いの人権を尊重し合い、認め合うことが人権意識につながり、いじめを減らすことにつながるのです。

2最近の「いじめ」の特徴は?

こどものいじめは昔もありました。現在いじめが問題となっている世代のこどもを持つ親御さんも、かつていじめを経験したり見聞きしたりした人は少なくないでしょう。最近のいじめには、次のような特徴があるといわれています。

あらゆるこどもが「いじめ」の対象になる可能性が

昔のいじめは、「運動が苦手」「性格がおとなしい」など、"弱そうな子"が標的にされる傾向がありましたが、最近のいじめは、「優等生」や「活発で目立つ子」なども対象になっています。最近のいじめは、「気に障ることを言った(した)」など、ささいなきっかけで始まり、あらゆるこどもがその対象となる可能性があります。

いじめの方法や手段が巧妙で陰湿に

他人からは「遊び」や「ゲーム」のように見えても、実はいじめが行われている場合があります。例えば、「プロレスごっこ」や「ふざけっこ」などと称して暴力を振るったり、「いじり」や「シャレ」などと称して悪口を繰り返したりすることがあります。

さらに近年はいじめの方法や手段が巧妙さや陰湿さを増しており、また、そうした行為を遊び感覚で行っていることも特徴です。

インターネットでのいじめ(ネットいじめ)

パソコンや携帯電話、スマートフォンの普及に伴って、インターネットの掲示板やブログ、プロフィールサイト(プロフ)などの場で、匿名性を利用し、特定の個人の誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)を書き込む、本人に無断で写真や名前・住所などの個人情報を掲載する、誹謗中傷のメールを繰り返し送付する、といった「ネットいじめ」が広がっています。

集団で一人をいじめる

複数のこどもが、集団で一人をいじめるケースが多く見受けられます。いじめる側は、多数の中の一人であることから、良くないことをしているという意識を感じていないことが多くあります。また、いじめを行った側は、教師や親から問い詰められても、口裏を合わせて、いじめの事実を否定したりします。

いじめを止めない「観衆」と「傍観者」が存在

いじめは、「いじめるこども」と「いじめられるこども」の対立構造だけではなく、それらを取り巻く「観衆」や「傍観者」というこどもの集団が存在します。

「観衆」とは、いじめを面白がって見ていたり、はやしたてたりするこどもたちです。観衆の存在によって、いじめをするこどもは自分の行為を支持されていると感じ、いじめをエスカレートさせます。

「傍観者」は、それらを見て見ぬふりをするこどもたちです。多くは「口出しすると今度は自分がいじめのターゲットにされるかもしれない」「かかわりたくない」といった気持ちから無関心な態度をとります。傍観者の行為は、いじめに直接的に加担することではありませんが、いじめをするこどもにとっては暗黙の支持と受け取られ、結果的にいじめを悪化させることにつながります。

被害者の観点から「こどもをいじめから守る」だけでは、いじめをなくすことはできません。いじめをなくすためには、「こどもがいじめる側にならないようにする」こと、さらには「観衆や傍観者にならないようにする」ことが重要です。いじめを「しない」「させない」ために、そして、周囲の大人がいじめを「見逃さない」ために、私たちがすべきことを考えてみましょう。

3大人のみなさんへ~こどもの「いじめ」を見逃さないためには?

いじめにあったときの相談先は?

いじめを受けているこどもは、親や教師にも相談できず、一人で思い悩んでいることが少なくありません。そのため、いじめの発見が遅れてしまうことがあります。しかし、周囲の人がこどもの変化を敏感にとらえれば、いじめを察知できることも多いのです。

いじめを受けているこどもには、無口になったり、学校に行きたがらなくなったりするなど、何らかのサインが現れるものです。また、いじめをするこどもにも、言葉遣いが荒くなるなどのサインが現れることがあります。下に、そうしたサインを見つけるためのチェックシートをご紹介します。いじめ発見のために活用してください。

なお、こどもの性格や環境などによってはこちらに挙げた例と異なるサインを示すことがあります。ふだんからこどもと学校での出来事などを話す時間をつくるよう心がけて、いじめのサインを早めにキャッチし、いじめを見逃さないようにしましょう。

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いじめのサイン発見チェックシート

登校前

下校後

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いじめをしている側のサイン

こどもが学校でいじめにあっていたり、こどものクラスでいじめが起こったりしていることが分かったとき、保護者はこどもの意見を十分に聞いた上で、まず教師などに相談しましょう。いじめの問題を解決するためには、学校と連携を密にして取り組む必要があります。

また、学校の対応などによっては、教育委員会に相談したり、法務省の人権擁護機関に相談したりすることが考えられます。法務省の人権相談窓口は、次のとおりです。相談は無料で(一部電話代などを除く)、個人の秘密は厳守されます。いじめの解決に親が積極的にかかわることは大事ですが、かといって親だけですべてのいじめに対応できるとは限りません。迅速に適切な解決を図るために、相談窓口を活用することをお奨めします。

  • こどもの人権110番(全国共通フリーダイヤル 0120-007-110)
    いじめ、虐待など、こどもの人権問題に関する専用相談電話です。こどもの保護者など大人が利用することもできます。
    https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken112.html

4こどものみなさんへ~「いじめ」で悩んでいるときは?

自分がいじめを受けていたり、いじめを見たり聞いたりしていながら、身近に相談できる大人や友だちがいなくて、だれにも相談できずに悩んでいる人はいませんか。ひとりぼっちで悩みを抱えるのは、とてもつらいことです。

そんなときに、電話や手紙、メールで手軽に相談にのってくれるところが、いくつもあります。どこも相談は無料で、相談した人の秘密はしっかり守られます。どこに相談してもかまいません。一人で苦しまずに、まず相談をしてみてください。
いじめをやめられない自分自身がイヤだ、という人からの相談も受け付けます。

たとえば法務省の人権擁護機関(じんけんようごきかん)では、「人権擁護委員(じんけんようごいいん)」や法務局職員が、いじめや人権にかかわる、こどもからのさまざまな相談にのっています。

法務省の人権擁護機関では、皆さんの悩みをじっくり聞いて、解決するためにはどうしたらよいかを一緒に考えます。
相談の内容によっては、関係するこどもたちや保護者の意見を確認したうえで、事実を調査し、人権が十分に守られていないと認められた場合には、いじめられている被害者を助け、いじめを解決するためにいろいろな手立てが行われます。これまでに、法務省の人権擁護機関が関与して、いじめを解決できたケースがいくつもあります。

いじめについて悩んでいて、身近に相談できる大人がいない場合は、下にあげた電話や手紙、メールなどを使って相談してみてください。

いろいろな相談先があります

こどもの人権110番

フリーダイヤル 0120-007-110(ぜろぜろななのひゃくとおばん)
受付時間 平日 午前8時30分から午後5時15分まで(土曜・日曜・休日は受け付けていません)
全国共通の番号で、どこからかけても近くの法務局・地方法務局につながり、担当者が相談にのってくれます。電話料金はかかりません。

こどもの人権SOSミニレター

法務省の人権擁護機関(じんけんようごきかん)では、学校などを通じて小・中学生に「こどもの人権SOSミニレター」を配っています。受け取ったら捨てたりしないで、とっておいてください。
そしてもし、いじめや人権にかかわる悩みごとがあれば、このミニレターの便せん部分に書いて、うら面から切り取った封筒部分に入れて封をし、ポストに入れてください。切手は貼らなくて大丈夫です。そのまま近くの法務局・地方法務局に届き、担当者が手紙や電話などで相談にのります。

こどもの人権SOSミニレターには、小学生用と中学生用があります。
なお、「こどもの人権110番」に電話して送ってもらうこともできます。

  • 小学生用(おもて)
    小学生用(おもて)
  • (うら)
    小学生用(うら)
  • 中学生用(おもて)
    中学生用(おもて)
  • (うら)
    中学生用(うら)

上に紹介した法務省の相談窓口のほかにも、相談先があります。

  • 24時間(じかん)子供(こども)SOSダイヤル (文部科学省)
    0120-0-78310(なやみ言(い)おう) 

いじめで困ったり、自分や友だちの安全に不安があったりしたときに、全国どこからでも、24時間いつでも、電話で相談できる窓口です。
このダイヤルに電話をすれば、電話をかけた所在地の教育委員会(※)の相談機関につながります。こども自身のほかに、保護者などからの相談にも応じます。

※教育委員会:
都道府県や市町村ごとに置かれて、学校や公民館、図書館などを管理します。

5「いじめ」を「しない」「させない」ためには?

いじめをする側は、なぜいじめを行うのでしょうか。いじめをする側の問題は、次のように整理できると考えられます。
例えば、一人のこどもを「運動が苦手」ということを理由にいじめている場合、いじめを行うこどもには、相手の立場や気持ちを思いやるという意識がありません。また、いじめは「運動が苦手」「口下手」「背が低い」など、他の多くのこどもと異なるささいな点を捉えてそれに勝手な理由を付けて行われることが多くあります。それは、そのまま放置すれば、差別の芽となる危険をはらんでいます。

このように、いじめをするこどもには、他人への思いやりや弱者に対するいたわりが欠けており、一人ひとりが人間として尊重されるべきなどといった人権意識について、未熟さや希薄さが見られる傾向があります。
また、いじめをするこどもの多くは、家庭や学校などでの自分のさまざまな不安や不満、劣等感を抱えています。彼らはそうした問題に対する欲求不満のはけ口として他のこどもを攻撃・支配しようとしていることがあります。

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いじめをするこどもの特徴

「人権」とは、誰もが生まれながらに持っている「人間が人間らしく生きる権利」です。みんなが持っている人権を尊重し合い、認め合うことが人権意識につながります。それは難しいものではなく、「思いやり」や「いたわり」など、心で感じ、理解できるものです。

いじめを「しない」「させない」ためにこどもの人権意識を養っていくには、認められたい、尊重されたいというこどもの欲求を満たすようにコミュニケーションを深め、こどもの悩みを解消していくことも必要です。できるだけこどもと過ごす時間をつくって、次のようなことを、こどもと話し合いましょう。

こどもの人権意識を養うために

  • こどもと話す時間をもち、こどもの悩みを解消する
  • お互いの異なる点を個性として尊重することの大切さを伝える
  • 他人に対する思いやり、いたわりの心を育む
  • いじめを受けた子の心の痛みを考えさせる
  • いじめをした場合には、こどもでも法的・社会的責任を負うことを自覚させる

(取材協力:法務省 文責:政府広報オンライン)

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