「夜間中学」を知っていますか?

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夜間中学とは、公立の中学校の夜間学級のことをいいます。戦後の混乱期の中で義務教育を修了できなかった人や、様々な理由から本国で義務教育を修了せずに日本で生活を始めることになった外国籍の人など、多様な背景を持った人たちが一生懸命学んでいます。最近では、形としては中学校を卒業していても不登校などの理由で十分に通うことができなかった人たちの“学び直しの場”としての役割も期待されるようになりました。そんな夜間中学について、ご紹介します。

◆義務教育(ぎむきょういく)を修了(しゅうりょう)していない人(ひと)や、卒業(そつぎょう)はしていても不登校(ふとうこう)などのために十分(じゅうぶん)に通(かよ)えなかった人(ひと)へ

公立中学校(こうりつちゅうがっこう)には、いろいろな理由(りゆう)で義務教育(ぎむきょういく)を修了(しゅうりょう)できなかった人(ひと)たちのために、仕事(しごと)や家(いえ)の用事(ようじ)をおわらせてからでもかよえるように、夜(よる)に授業(じゅぎょう)がおこなわれる学級(がっきゅう)があります。

いま、全国(ぜんこく)で34の中学校(ちゅうがっこう)に夜間学級(やかんがっきゅう)があり、生徒(せいと)には、若(わか)い人(ひと)から年配(ねんぱい)の人(ひと)まで、いろいろな国(くに)の人(ひと)がいます。

夜間学級(やかんがっきゅう)では、週(しゅう)に五日(いつか)、ひるまの学校(がっこう)と同(おな)じ教科書(きょうかしょ)をつかって、それぞれの状況(じょうきょう)にあわせて勉強(べんきょう)します。うんどう会(かい)や修学旅行(しゅうがくりょこう)などもあります。給食(きゅうしょく)がある学校(がっこう)もあります。

しっかり勉強(べんきょう)すれば、ひるまの中学校(ちゅうがっこう)と同(おな)じように、中学校(ちゅうがっこう)の卒業証書(そつぎょうしょうしょ)をもらうことができます。

中学校(ちゅうがっこう)の夜間学級(やかんがっきゅう)に通(かよ)ってみたい、というばあいは、ちかくの役所(やくしょ)に、「夜間中学(やかんちゅうがく)についておしえてください」といったようにといあわせてみてください。

このほかにも、政府広報オンラインやラジオ、文部科学省(もんぶかがくしょう)のホームページでも、夜間中学(やかんちゅうがく)についてせつめいしていますので、ぜひごらんください。

動画

いまからでも、まなぼう! 公立中学校の夜間学級(こうりつちゅうがっこうのやかんがっきゅう)
(8分30秒)

義務教育未終了者は少なくとも12万人以上いるといわれており、夜間中学は義務教育未修了の学齢超過者等の就学機会の確保に重要な役割を果たしています。様々な事情からほとんど学校に通えず、実質的に十分な教育を受けられないまま卒業した方や外国籍の方など。今回は都内のある中学の夜間学級を訪ね、その教育現場の様子と生徒の皆さんの生の声をお伝えします。

文部科学省ホームページ

1「夜間中学」とは?公立の中学校で、夜の時間帯に授業が行われる学級のことをいいます。

夜間中学という学びの場があることをご存じですか。
公立中学校の夜間学級、いわゆる「夜間中学」は、中学校のうち、夜の時間帯に授業が行われる学級のことをいいます。
戦後の混乱期には生活が大変で、中学校に通う年齢の人の中には、昼間は仕事をしたり、家事手伝いをしたりと、昼間に中学校へ通うことができなかった人がいました。そこで、昭和20年代初頭、そういった人たちに義務教育の機会を提供できるように、仕事などが終わった後、公立中学校の二部授業という形で、夜に授業が受けられる夜間学級を設置したのが夜間中学の始まりです。昭和30年頃には、設置中学校の数は80校以上を数えましたが、就学援助策の充実や社会情勢の変化に伴って減少し、現在では10都府県28市区に34校が設置されています。

現在、夜間中学に通っている人たちは、例えば、戦後の混乱期に学齢期を迎えたために学校に通えなかった人や、いわゆる中国残留孤児(※1)の人、親の仕事や結婚などに合わせて来日したものの日本の学齢を経過していた人、昼間の中学校で不登校となって中学校を卒業しなかった人、不登校等のためにほとんど学校に通えないまま、学校の教育的配慮により中学校を卒業した人(※2)など様々ですが、いずれも、何らかの事情で学齢期に義務教育の機会を十分に得られなかった人たちです。夜間中学では、このような多様な背景を持った人たちの学びたいという願いに対応して幅広い教育を行うなど、学びの機会の確保に重要な役割を果たしています。
また、昼間の中学校で不登校となっている生徒が希望する場合には、夜間中学で受け入れ、支援を行うことも可能となっています。現在のところ、このような生徒を受け入れている夜間中学はありませんが、今後、夜間中学によって受け入れが行われるようになることも考えられます。

平成28年12月に「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が成立し、同法第14条において、全ての地方公共団体に、夜間中学における就学機会の提供等の措置を講ずることが義務付けられました。今後、自治体においては、夜間中学の新たな設置や、いわゆる自主夜間中学等における学習活動への支援などに取り組むことが求められます。
このことを踏まえ、文部科学省では、少なくとも各都道府県に1校は夜間中学が設置されるよう、また、既存の夜間中学において多様な生徒の受入れ拡大が図られるよう、様々な支援を行っています。

※1:厚生労働省「中国残留邦人等への支援」
※2:文部科学省「義務教育修了者が中学校夜間学級への再入学を希望した場合の対応に関する考え方について(通知)」

2どんな人が学んでいるの?様々な年齢、国籍の生徒が、中学校の卒業資格や読み書きの習得を目指して学んでいます。

いま夜間中学では、どのような人たちが学んでいるのでしょうか。
全国の夜間中学で学ぶ1,687人(平成29年(2017年)7月時点)を年齢別でみると、すべて、通常の学齢を過ぎた人で、60歳以上の生徒が456人(27.0%)、15~19歳の生徒が342人(20.3%)です。

入学した理由別でみると、高等学校入学や中学校教育の修了を目指すほか、中学校程度の学力や読み書きの習得など、多様な入学理由を持った生徒が在籍していることがわかります。
学校によって違いがありますが、多くの学校が進路説明会や、就労支援などを行っており、働きながら通っている生徒もたくさんいます。

卒業後の進路は「高等学校への進学」が最多で約45%のほか、「就職(従来からの就業者を含む)」が約17%となっており、進学や就職の道が開かれています。
中には、高等学校に進学し、さらには大学等の高等教育機関に進学する人もいます。また、中学校卒業資格を得れば、職業訓練校に入って就職に役立つ知識や技術を学んだり、調理師や介護福祉士などの国家資格の取得を目指したりすることも可能となります。

グラフ:夜間中学の年齢別生徒数と入学理由

文部科学省「平成29年度夜間中学等に関する実態調査」(平成29年7月)[PDF:430KB]より作成

3どんな授業や学校生活なの?生徒の状況に合わせた授業が行われています。運動会などの行事も行います。

夜間中学に通う生徒は、それぞれ背景が異なり、年齢・国籍等による生活経験や学力も一人一人異なることから、その実態に合わせた様々な工夫をこらした教育が行われています。原則週5日間、3年間通うことになりますが、中学校の途中まで学習していた場合には、2年生以上の学年に入学する場合もあります。
一般的な授業時間は、平日の夕方から夜にかけての1日4時間程度で、授業以外に学級活動、掃除などの時間もあり、運動会や文化祭、遠足、修学旅行など様々な行事も行われています。給食がある学校もあります。

例えば、ある学校では、学級活動(学活)で始まり、給食を挟んで4校時の授業が行われ、終わりの学級活動(終学活)で、学校での1日が終わります。定期試験などの年間行事のために時間割が変わることもあります。

夜間中学の時間割の例

夜間中学でも昼間の学校と同様に、様々な年間行事が行われています。

主な年間行事の例

教科書も昼間の学校と同じ国の検定に合格した教科書を使っており、卒業の際には、中学校の卒業証書をもらうことができます。

夜間中学で学んでいる人たちには、小学校も休みがちで、夜間中学での勉強についていけるか不安を持っている人や、日本での生活を始めたばかりの人など、それぞれ背景が異なり、学力も一人一人違いますので、様々な工夫をこらした教育が行われています。
例えば、現在運営されている夜間中学では、年齢で授業の内容を分けるのではなく、習熟度によるクラス編成や、複数の教員によるチーム・ティーチングなど、生徒たちの状況に合わせた指導を行っています。実際に、生徒の中には小学校の内容にさかのぼって勉強している人もいます。また、先生が生徒の学力に応じた教材を準備したり、補習を行ったりするなど、様々な工夫をして授業に取り組んでいます。
また、夜間中学は公立中学校の夜間学級ですので、先生は昼間の学級と同じ教員免許を持った公立中学校の教員ですが、日本語指導の先生や通訳の人に協力してもらうなど、より充実した取組を行っている学校もあります。
費用についても、昼の公立中学校と同様に、授業料や教科書代は不要です。ただし、一部の教材費や給食費、遠足や修学旅行等の費用が必要になる場合があります。

4どんな人が入学を申し込めるの?不登校などの理由で十分に通うことができなかった人たちも申し込むことができます。

中学校を卒業していない人で、学びたいという強い気持ちがある人なら、何歳でも入学を申し込むことができます。昼間の中学校同様、外国籍の人も日本人と同じように入学を申し込むことが可能です。
また、不登校や虐待など様々な事情から実質的に十分な教育を受けられないまま学校の配慮などにより卒業した人が中学校で学び直すことを希望した場合には、ほとんどの夜間中学で入学することが可能です。
既に中学校を卒業した人が入学を希望する場合、市区町村の教育委員会が、記録などから出席状況を確認するなどして、個々の事情に応じて柔軟に再入学の判断をすることとされていますので、お近くの夜間中学やお住まいの自治体に相談してください。

5入学を希望する場合は?お住まいの自治体に問い合わせ、説明会や見学会に参加してみましょう。

夜間中学への入学を希望する人は、まず、各夜間中学やお住まいの自治体に問い合わせてください。
新入生の入学時期や人数はそれぞれの学校で異なりますが、年度の途中から入学できる場合もあります。
また、夜間中学の中には、学校説明会や授業見学、体験入学などを行っている学校もあります。入学をお考えの人は、まずはそれらに参加して実際に学校生活の様子を見たり、夜間中学で学んだ人の体験を聞いたりすることをおすすめします。
夜間学級が設置されている公立中学校は、以下のとおりです(令和2年(2020年)6月現在)。

設置主体 学校名
茨城県 常総市 水海道(みつかいどう)中学校
埼玉県 川口市 芝西(しばにし)中学校陽春(ようしゅん)分校
千葉県 市川市 大洲(おおす)中学校
  松戸市 第一(だいいち)中学校みらい分校
東京都 墨田区 文花(ぶんか)中学校
  大田区 糀谷(こうじや)中学校
  世田谷区 三宿(みしゅく)中学校
  荒川区 第九(だいきゅう)中学校
  足立区 第四(だいよん)中学校
  江戸川区 小松川(こまつがわ)第二中学校
  葛飾区 双葉(ふたば)中学校
  八王子市 第五(だいご)中学校
神奈川県 川崎市 西中原(にしなかはら)中学校
  横浜市 蒔田(まいた)中学校
京都府 京都市 洛友(らくゆう)中学校
大阪府 大阪市 天満(てんま)中学校
  大阪市 東生野(ひがしいくの)中学校
  大阪市 天王寺(てんのうじ)中学校
  大阪市 文(ふみ)の里(さと)中学校
  堺市 殿馬場(とのばば)中学校
  岸和田市 岸城(きしき)中学校
  東大阪市 布施(ふせ)中学校
  東大阪市 意岐部(おきべ)中学校
  八尾市 八尾(やお)中学校
  守口市 さつき学園
  豊中市 第四(だいよん)中学校
兵庫県 神戸市 兵庫(ひょうご)中学校北分校
  神戸市 丸山(まるやま)中学校西野(にしの)分校
  尼崎市 成良(せいりょう)中学校琴城(きんじょう)分校
奈良県 奈良市 春日(かすが)中学校
  天理市 北(きた)中学校
  橿原市 畝傍(うねび)中学校
広島県 広島市 二葉(ふたば)中学校
  広島市 観音(かんおん)中学校

自主夜間中学などもあります

公立の夜間中学のほかに、民間ボランティアの人たちの協力を得て、教育委員会や任意団体などが実施する自主夜間中学や識字講座などの取組もあります。中学校の卒業証書はもらえませんが、161の市区町村で1,533件の取組が行われています(※)。
文部科学省「平成29年度夜間中学等に関する実態調査」(平成29年7月)[PDF:430KB]

(取材協力:文部科学省 文責:政府広報オンライン)

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