本文へ移動

ここから本文です

暮らしに役立つ情報

国の政策・施策・取組の中から、私たちの暮らしに身近な情報や役に立つ情報をまとめました。

記事の二次利用についてはこちら

  • はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
記事を印刷する

平成29年2月8日

組織の不正を未然に防止!
通報者も企業も守る「公益通報者保護制度」

リコール隠しや食品偽装などの企業不祥事が、内部の労働者や取引先などからの通報で明らかになることが少なくありません。このような公益のために通報を行った労働者が、不利益な取り扱いを受けることのないよう、公益通報者保護制度の実効性の向上に向けた取組が図られています。労働者を保護するだけでなく、企業にとっても自浄作用を保つために有用なこの制度の取組を、さらに進めるため、平成28年12月に「民間事業者向けガイドライン」が改正されました。改めてこの制度と改正ガイドラインについて紹介します。

1.「公益通報者保護制度」とは?

公益のために通報を行った労働者を保護するためのルール

「ウチの会社で違法行為が!?」。リコールに相当する不良品が出荷されているのにリコールを行わない、当局への報告が義務付けられているレベルの重大事故が起きたにも関わらず報告を行わない、あるいは扱う産品の産地を偽ってよりブランド力の高い産品に見せかける、そのようなリコール隠しや事故の隠ぺい、産地偽装などの不祥事が起きています。
そうした不祥事が明るみに出たきっかけの多くは、その企業や取引先企業などで働く人から役所、報道機関などへの通報――いわゆる内部告発でした。

こうした、企業による一定の違法行為などを、労働者が企業内の通報窓口や外部のしかるべき機関に通報すること(上記のような内部告発を含む)を「公益通報」といいます。公益通報は、企業の違法行為を明るみに出すことによって、その是正を促し、消費者や社会に利益をもたらすことになりますが、通報した人はそれによって、企業から解雇や降格などの不利益な取扱いを受けるおそれがあります。

そこで、公益のために通報を行った労働者を保護するとともに、国民の生命、身体、財産を保護するために「公益通報者保護法」が設けられ(※)、それを踏まえて「公益通報者保護制度」が整備されました。
※平成16年6月公布、平成18年4月施行。

では、どのような通報が「公益通報」とされるのか、通報した人はどのように守られるのかなどをご紹介します。

2.どんな通報が「公益通報」になるの?

労働者が、勤め先の違法行為などを、適切な通報先に通報すること。

公益通報者保護法では、誰が、どのような事実について、どこに通報するか、など一定の要件を満たすものが公益通報とされて、通報者は保護の対象になります。具体的には次の要件になります。

(1)通報者は「労働者」であること
この法律によって保護される通報者は企業などの「労働者」であることが求められます。
「労働者」には、正社員や公務員、派遣労働者、アルバイト、パートタイマーのほか、取引先の社員・アルバイト等も含まれます。

(2)通報する内容は、特定の法律に違反する犯罪行為などであること(通報対象事実)
通報の対象となる事実(通報対象事実)は、特定の法律に違反する犯罪行為または最終的に刑罰につながる行為であることが求められます。
法律で定める一定の法律違反の行為等についての通報が、公益通報の対象になります。
なお、対象でない法律に違反しても、その通報者はこの法律による保護の対象になりません。

「通報対象事実」とは~公共通報の対象になる事実とは

対象となる法律の例

「通報対象事実」の例

(3)通報先
通報先には次の3つが定められています。この3つには優先順序があるわけではなく、自分の都合で通報先を選ぶことができます。なお、それぞれに保護されるための要件(※)が定められています。

・事業者内部
公益通報者保護制度では、事業者が内部に公益通報に関する相談窓口や担当者を置くことを求めています。そうした事業者内の窓口や担当者、事業者が契約する法律事務所などが通報先の例です。また、管理職や上司も通報先になります。

・行政機関
通報された事実について、勧告、命令できる行政機関が通報先になります。一般には、通報対象事実に関連する行政機関と考えてもよいでしょう。
もし通報しようとした行政機関が適切でなかった場合、その行政機関は適切な通報先を通報者に紹介することになっています。

・その他
一般的には報道機関や消費者団体、労働組合などで、そこへの通報が被害の発生や拡大を予防するために必要であると認められるものです。

※通報先ごとの保護要件について詳しくはこちら
http://www.caa.go.jp/planning/koueki/tsuho-sodan/hitsuyo.html#q4

公益通報は、違法行為などの是正を期待して行われるものです。そのため、通報を受けた事業者や行政機関などは、必要がある場合は適切な措置をとったり、是正措置などについて公益通報者に知らせたりするよう定められています。

3.通報者は、どのように保護されるの?

公益通報を理由とした解雇や降格、減給、退職の強要など、不利益な取扱いが禁止されます。

公益通報者保護制度では、公益通報を理由とした解雇や不利益な取扱いから、通報者を守ります。

【公益通報者の保護の内容】

・解雇の無効
公益通報をしたことを理由とする解雇は無効です。

・不利益な取扱いの禁止
公益通報したことを理由として、事業者が公益通報者に対して不利益な取扱いをすることは禁止されています。具体的には、次のような取り扱いが禁止されます。

○不利益な取扱いの例:

降格 給与上の差別
減給 退職の強要
訓告 もっぱら雑事に従事させる
自宅待機命令 退職金の減額・没収

※通報者が派遣労働者の場合:
公益通報を理由として、派遣契約を解除したり、派遣労働者の交替を求めたりすることはできません。

囲み記事

公益通報をする方へ

通報の際、次のようなことが併せて通報された場合には、他人の正当な利益や公共の利益が害されることも考えられます。

また、報道や公表を通じて通報内容が知られたときに、その内容が真実でなかった場合は個人や事業者が取り返しのつかない損害を受けてしまうこともあります。
通報の際には、他人の正当な利益や公共の利益を害することがないように、十分注意しましょう。

4.事業者にはどんな意義があるの?

問題の早期発見、被害の発生・拡大の防止に活用できます。

公益通報者保護法は、規模や営利、非営利を問わずすべての事業者に適用されるものであり、事業者はこの法律を踏まえて、「内部通報制度」の仕組みを整備するとともに、これを適切に運用することが重要です。
内部通報制度とは、従業員から通報を受け付け、通報者の保護を図りながら、適切な調査や是正、再発防止策などを行う事業者内の仕組みをいいます。具体的には、通報窓口を設置したり、内部規程を整備・運用したりすることなどです。
事業者自身が、内部通報制度を整備し、内部通報者を保護することには、以下のように様々な意義があります。

(1)内部の問題を早期発見し、被害の発生・拡大の防止

組織内の一部関係者のみが情報を持っているような違法行為などは、なかなか発見しにくく、多くはそうした行為に疑問を持つ関係者からの通報により発覚します。問題が大きくなる前に発見・解決して、組織の自浄作用を高めることができます。

内部通報制度を導入した効果
(複数回答:単位%)

内部通報の導入の効果として、違法行為抑止や自浄作用の向上を挙げる企業が多くなっており、内部通報制度が、組織の自浄作用を高め、コンプライアンス経営を促進していくための重要なツールとなっていることがうかがわれます。

事業者が不正を発見する端緒

事業者における不正発覚の端緒として、内部通報がダントツ。内部通報がリスクの早期発見に非常に有効なツールとなっています。

(資料:消費者庁)

(2)リスクの抑制と企業価値の向上

違法行為の発見が遅れると、事業者の処罰や行政措置などによる損失のほかに、拡大した被害の補償コスト、消費者や取引先からの信頼の低下や従業員の士気へのダメージなどが加わります。
リスクを最小限に抑えるためには、もし違法行為があれば、事業者自らが速やかに発見し自浄作用を発揮していくための仕組みが必要です。内部通報制度を整備し運用することで、事業者のリスクを減らすことができます。
また、そうして経営上のリスクを抑えることで、消費者、取引先、株主、投資家などからの信頼を高め、企業価値の向上につなげることができます。

内部通報制度の実効性に対する利害関係者の関心度

多くの消費者・事業者・労働者が、自らと関係を有する事業者の内部通報制度の実効性に高い関心を持っており、通報制度が整備されている会社の製品等を買いたい、そのような会社に就職・転職したいという人が8割以上となっています。

(資料:消費者庁)

※資料:「民間事業者における内部通報制度の実態調査」(平成28年度消費者庁)および「労働者における公益通報者保護制度に関する意識等のインターネット調査」(平成28年度消費者庁)

内部通報制度の導入・運用を適切に行う事業者が増えると・・・

囲み記事

内部通報制度の整備・運用に、新しい「民間事業者向けガイドライン」を

消費者庁が平成28年に行った「民間事業者における内部通報制度の実態調査」によると、内部通報制度を導入している企業は大企業で99.2%、中小企業では40.2%となっており、中小企業では導入が十分とはいえない状況にあります。また、内部通報制度が導入されている企業でも、従業員の多くが「勤務先内部に通報しても十分に対応してくれない」「不利益な取扱いを受けるおそれがある」と思い、勤務先以外に通報するなど、内部通報制度が機能していないために、企業不祥事が発生するケースも見受けられます。
消費者庁では、これまでも事業者が内部からの通報に適切に対応するための指針として「民間事業者向けガイドライン」の普及・促進に努めてきましたが、このような状況を踏まえ、平成28年12月に本ガイドラインを改正し、内部通報制度の整備・改善を進めるため、事業者が自主的に取り組むことが推奨される事項を具体化・明確化しました。

改正ガイドラインは、通報者保護と法令遵守を図るため、下の4つの視点で改正しています。

(1)通報者の視点:安心して通報ができる環境の整備

(2)経営者の視点:経営幹部の主導による実効性の高い内部通報制度の整備・運用

(3)中小事業者の視点:中小事業者の取組の促進

(4)国民・消費者の視点:制度の適切な運用を通じた企業の社会的責任の実践

詳しくはこちら
「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」[PDF]

内部通報制度を整備することは、企業にとってもメリットが大きいものです。これから内部通報制度を整備する事業者はもちろん、既に内部通報制度を整備している事業者の皆さんも、ぜひ、大幅に内容が拡充された新しいガイドラインを踏まえて、内部通報制度の整備とその運用の更なる改善に取り組みましょう。内部通報制度を真に機能させ、組織の自浄作用を発揮するためには、経営トップが積極的に取り組むことが不可欠です。ひいてはそれが企業価値の維持向上にもつながります。

<取材協力:消費者庁 文責:政府広報オンライン>

みなさまのご意見をお聞かせください。

みなさまのご意見をお聞かせください。(政府広報オンライン特集・お役立ち記事)

Q1.この記事はわかりやすかった(理解しやすかった)ですか?
(50文字以内)
Q2.この記事は役に立つ情報だと思いましたか?
(50文字以内)
Q3.この記事で取り上げたテーマについて関心が深まりましたか?
(50文字以内)


ページトップ
へ戻る