新しい時代の教育のために。「学校の働き方改革」が進められています!

小学校教員と中学校教員、小学生と中学生たちが学校前で活き活きしている様子のイラスト

POINT

いまのこどもたちが生きていく未来は、IoTやビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットなどの新たな技術の進展により、変化の激しい時代になると予想されています。こどもたちには次の時代を切り拓くために必要な力が求められており、そしてその力を育むために、これまで以上に学校が教育活動に力を注ぐ必要があります。しかし、学校教育を支える教師たちの長時間勤務は依然として厳しい状況にあり、教師の働き方を見直す「学校の働き方改革」が進められています。

1「学校の働き方改革」はなぜ必要なの?

教師が授業などの本来の業務に専念できる環境を作り、未来を担うこどもたちの学びを充実させるため

日本のこどもたちの学力は、OECD(経済協力開発機構)の学力調査で世界トップ水準です。この調査結果が示すように、日本の学校教育は高い成果を上げてきました。教師が学習指導だけでなく、生徒指導などを一体的に行う日本型の学校教育は国際的にも評価されています。しかし今、こうした従来のような教育活動を続けられるかどうかの岐路に立っています。学校で何が起こっているのでしょうか。

文部科学省が令和4年度(2022年度)に実施した教員勤務実態調査によると、前回調査(平成28年度(2016年度))に比べて改善傾向にはあるものの、小中学校の教師が決められた勤務時間を超えて学校などで勤務している時間は、1か月あたり約47時間にのぼるなど、依然として長時間勤務の傾向にあることが明らかとなりました。
また、精神疾患による病気休職者数が、令和5年度(2023年度)に過去最多を更新するなど、教師の勤務実態は依然として厳しい状況にあります。

(注)令和5年度 公立学校教職員の人事行政状況調査

これまでは、「こどものため」という合言葉のもと、学校では、社会の様々な要請を受けながら、熱意や使命感ある教師たちが、こどもに関わる多くの業務を担ってきました。しかし、「こどものため」とはいっても、長時間勤務で疲れている教師ではこどもたちに良い指導はできません。それどころか、過労死に至ってしまうという痛ましい事態も起こっています。

教師の働く環境が厳しいと、意欲・能力のある若者が教師を志さなくなり、学校教育の質の低下を招くことにもなりかねません。そこで、教師のこれまでの働き方を見直し、限られた時間の中で、こどもたちに効果的な教育活動を行えるようにするために、「学校の働き方改革」が求められているのです。

また、人工知能(AI)やロボット技術の発達などにより、どんどん便利になり社会が激しく変化していく中で、次の時代を生きるこどもたちは、きちんと文章を理解する力や、答えのない問題に対し、自分で考え、仲間と協力して取り組む力、知らない人に自分の意見を正確に伝える力など、AIやロボットでは代替できないような力をしっかり身に付ける必要があります。

そして、そのような力をこどもたちに身に付けさせるためには、指導する立場である教師自身が日々の生活の質や教職人生を豊かにし、自らの人間性や創造性を高め、自らの授業を磨かなければなりません。

2どのように働き方を変えていくの?

令和7年(2025年)6月に成立した給特法等改正法注1においては、学校における働き方改革を一層加速させるため、全ての教育委員会において、文部科学大臣が定める指針注2に即して、”働き方改革のための計画”を策定することが義務付けられました。
ここでは、改正法や指針において定められた内容に基づき、取組の方向性についてご紹介します。

(注1)公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律

(注2)公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針(令和7年文部科学省告示第114号)

「勤務時間を意識する」「学校の業務を減らす」

「勤務時間を意識する」

これまで、「こどものため」であれば長時間勤務も良しとしてきた教師の働き方を見直すため、学校現場における勤務時間管理の徹底が求められています。

先述の勤務実態調査の結果によると、校長など管理職がリーダーシップを発揮し、働き方改革を進めていると認識している教師ほど時間管理意識が高く、また、時間管理意識が高い教師ほど、学校などで勤務する時間が短い傾向にあることが明らかとなりました。このことから、こどもたちに向き合う時間を生み出すためには、校長などの管理職のリーダーシップの下で、働き方改革に関する取組を推進し、仕事の優先順位付けや効率化など、時間管理意識の向上を図っていくことも効果的であるといえます。

「勤務時間管理の徹底」に向けて、文部科学省は、指針の中で、教師が学校内外で勤務する時間をICTなどの客観的な方法で把握することを促すとともに、教師が決められた勤務時間を超えて学校などで勤務する時間について、1か月45時間、1年間360時間以内などの上限を定めています。

また、全ての教育委員会において、全ての教師が上限時間の範囲内となるための数値目標を設定することや、その達成に向けて、学校・教育委員会が、教師の勤務時間を踏まえて適切な登下校時間を設定すること、緊急時の連絡方法を確保した上で留守番電話の設置やメールによる連絡対応を可能とすること、部活動について適切な活動時間や休養日を設定することなどに取り組むことも示しています。

学校の業務を減らす

こどもたちの成長のために何を重視し、限られた時間をどのように配分するか、各学校や教育委員会は、これまで慣習的に行われてきた業務であっても、優先順位をつけ、思い切って廃止することも考えていく必要があります。

教師が本来の業務に専念できるようにするため、指針では、中央教育審議会における議論を踏まえ、業務量の縮減や役割分担の見直しを進めるための考え方である「学校と教師の業務の3分類」((1)【学校以外が担うべき業務】(2)【教師以外が積極的に参画すべき業務】(3)【教師の業務だが、負担軽減を促進すべき業務】)を示しています。

(1)【学校以外が担うべき業務】
  1. 登下校時の通学路における日常的な見守り活動等
  2. 放課後から夜間などにおける校外の見回り、児童生徒が補導された時の対応
  3. 学校徴収金の徴収・管理(公会計化等)
  4. 地域学校協働活動の関係者間の連絡調整等
  5. 保護者等からの過剰な苦情や不当な要求等の学校では対応が困難な事案への対応

これらについては、「学校以外が担うべき業務」であり、業務内容に応じて、地方公共団体や教育委員会、保護者や地域住民などが担うべきとしています。

(2)【教師以外が積極的に参画すべき業務】
  1. 調査・統計等への回答
  2. 学校の広報資料・ウェブサイトの作成・管理
  3. ICT機器・ネットワーク設備の日常的な保守・管理
  4. 学校プールや体育館等の施設・設備の管理
  5. 校舎の開錠・施錠
  6. 児童生徒の休み時間における安全への配慮
  7. 校内清掃
  8. 部活動

これらについては、学校の業務となりますが、事務職員や支援スタッフの参画や外部委託の活用等の積極的な検討が求められています。

(3)【教師の業務だが、負担軽減を促進すべき業務】
  1. 給食の時間における対応
  2. 授業準備
  3. 学習評価や成績処理
  4. 学校行事の準備・運営
  5. 進路指導の準備
  6. 支援が必要な児童生徒・家庭への対応

これらについては、教師の業務ではありますが、その上で、それぞれの業務について、デジタル技術の活用や、教員業務支援員(スクールサポートスタッフ)等の教師を支援するスタッフや事務職員等との効果的な連携・協働を図るべきとされています。

このほか、学校ごとの授業時数や放課後の時間の使い方などを見直すことも重要です。こうした業務の見直しを実行するためには、地域や家庭などを含め、地域全体でこどもたちを育む体制を整備することが重要であり、そのためには、社会全体の理解・協力が不可欠です。学校運営協議会で地域のかたとともに働き方改革に関する方針を議論したり、総合教育会議などで広く計画の実施状況や今後必要となる取組を共有したりしながら取り組んでいくことが期待されます。

生徒二人と教員二人、その周りに部活動や掃除、横断歩道の見守りなどのボランティアたちが囲んでいる様子のイラスト

3家庭や地域の役割は?

家庭や地域も一体となってこどもが育つ環境を支えていくため、ご理解・ご協力を

こどもたちの未来のために質の高い教育を実現するには、教師がこどもたち一人ひとりと向き合う時間を確保し、家庭や地域も一体となってこどもが育つ環境を支えていくことが求められています。
例えば、教師たちが行っていた夜間パトロールをPTAと地域住民が行ったり、給食、昼休み、掃除の対応を地域のかたにお願いしたりするケースがあります。さらに、部活動については、地域との連携や地域クラブ活動への展開が本格化していくこととなります。
家庭や地域の皆様には、日頃から学校運営へのご理解、ご協力をいただいているところですが、質の高い教育を実現するために、学校の働き方改革の必要性をご理解いただき、引き続きのご協力をお願いします。

(取材協力:文部科学省 文責:内閣府政府広報室)

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