今こそ選ぼう!ASV(先進安全自動車)
今回のテーマは、「今こそ選ぼう!ASV(先進安全自動車)」。
近年、自動車などによる人身事故は減少傾向にありましたが、昨年の交通事故死者数はおよそ2,700人と、8年ぶりに増加しました。車の運転中、どんなに安全運転を心掛けていても、急な飛び出しや、ペダルの踏み間違い、ドライバーの体調異常など、回避できない場合も。そこで注目したいのが、ASVです。ASVとは、最新の先進技術によってドライバーの安全運転を支援してくれる技術や装置を搭載した自動車のことで、ドライバーの運転をサポートしてくれます。
番組では、現在実用化されている51の先進安全技術の中から、「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」や「レーンキープアシスト」など、注目の機能を具体的にご紹介。さらに、車を購入する際などに参考となる「自動車アセスメント」について深堀りしていきます。安全性を高め、運転をサポートしてくれるASV(先進安全自動車)について一緒に学び、快適なドライブを楽しみましょう!
- ゲスト
- 国土交通省 物流・自動車局
技術・環境政策課
技術企画室長 塚田 淳一
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和6年(2024年)9月22日
- 再生時間
- 19分38秒
- 配信終了予定日
- 令和7年(2025年)9月21日
文字で読む
- 杉浦
- 佳菜子ちゃんは車を運転するよね。これまでに、運転していて、ヒヤッとしたことある?
- 村上
- ありますよ!最近、電動キックボードのかたが増えたじゃないですか、あと自転車のかた。電動キックボードって、結構バランス取るの最初難しかったりするじゃないですか、乗り始めのところとか。そこでグラついているかたがいると、何回かヒヤッとしてますね。
- 杉浦
- 倒れてこないかな?急に曲がったりしないかな?とか。
- 村上
- そうそう。不安定な運転をしてるかたのとき、追い越すのも怖いし、まっすぐ行くのか左に曲がるのか、どっちだろう?みたいな。
- 杉浦
- 運転する人なら、安全運転を心掛けていても、ヒヤリとする瞬間はあるんじゃないかなぁ。
- 村上
- ヒヤリで済めばいいですけど、事故は絶対に避けたいですよね。
- 杉浦
- そうだよね。近年、自動車などによる人身事故件数は減少傾向にあったんだけど、昨年の交通事故死者数はおよそ2,700人、8年ぶりに増加したんだって。だから、今こそ「ASV、先進安全自動車」の利用に注目したいんだよ!
- 村上
- 最近の車って安全性能の高い車が多いですよね。いろいろあるイメージがあります。
- 杉浦
- ASVというのは、「Advanced Safety Vehicle(アドバンスド・セーフティ・ビークル)」の頭文字で、最新の先進技術によってドライバーの安全運転を支援してくれる技術や装置を搭載した自動車のことなんですね。佳菜子ちゃんの車にも先進技術、付いてるんじゃないかなぁ?
- 村上
- けっこういろいろと付いてますし、一番助かっているのは、バックの時に上から見せてくれるやつ(駐車支援システム)。あれ、最強ですよ!サイドミラーを確認しながら、まっすぐ停めたと思って、最終確認で映像を確認すると、ゆがんでいたりするんですよ。
- 杉浦
- 僕は免許を取って25年になりますけど、やっぱり変わったもんね、運転が。安心できる。実は、ASVの機能については、よく知らないかたや、知っていても正しく理解していないかたもいるようなので、今日は改めてASVについて学んでいきたいと思います。国土交通省 物流・自動車局技術・環境政策課技術企画室長の塚田 淳一さんです。
- 村上
- 塚田さん、ASVについて、私も少しは知っているつもりなんですけど、詳しくは知らないので、今日はいろいろと教えてください。ちなみにASV、先進安全自動車は、どれくらい普及しているんですか?
- 塚田
- 一口にASVと言っても、ドライバーの運転をサポートする先進安全技術は複数あり、自動車メーカーや車種により、搭載内容は異なります。例えば、「衝突被害軽減ブレーキ」といって、前方の障害物との衝突を予測して警報し、衝突被害を軽減するためにブレーキを作動させる装置があります。この装置は、10年ほど前には新車への搭載率がわずか2割程度でしたが、直近ではほぼ100パーセント搭載されています。
- 村上
- ここ10年で一気に普及してきたっていうことですけども、新車であれば「衝突事故は起こらない」ということなんですか?
- 杉浦
- 佳菜子ちゃん、それは誤解らしいんですよ。たとえですよ、「衝突被害軽減ブレーキ」が搭載されていても、メーカーが設定する速度を超えて運転しているときや、太陽が逆光になる早朝や夕方、周囲や天候の状況によっては、障害物を検知できない場合があるんですよね、塚田さん!
- 塚田
- はい。また、下り坂や路面凍結など、道路の状態によっては「衝突被害軽減ブレーキ」が作動しても衝突を回避できない場合もありますので、ドライバーはASVだからといって技術を過信せずに、十分注意しながら運転する必要があります。
- 杉浦
- 様々な先進安全技術は、あくまでも、ドライバーの疲労を軽減したり、ドライバーが、ついうっかりしたときなどにサポートしてくれる補助的な機能と思って、運転することが大切なんですね。
- 村上
- ちなみに先ほど、「ドライバーの運転をサポートする先進安全技術は複数ある」とおっしゃっていましたけど、実際どれくらいあるんでしょうか?
- 塚田
- 現在、乗用車、トラック、バスにおいて、実用化されている先進安全技術は合計で51あります!
- 村上
- 51も!結構たくさんあるんですね。では、主なものだけでも教えてもらいたいです。
- 杉浦
- 佳菜子ちゃん。ここは僕に任せてもらってもいいですか?予習してきましたんで!では、ここからは「杉浦太陽が気になる、先進安全技術3選」を発表してまいりましょう!
- 村上
- コーナーになってる!急に(笑)
- 杉浦
- その1、「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」!これはですね、駐車場などでの発進時や、低速走行している時に、前方や後方に障害物があるにもかかわらず、アクセルペダルを強く踏み込んでしまった時、急発進や急加速を抑制してくれる機能なんです。
- 村上
- そういうのがあるんですね!知らなかったです。でも、最近、高齢のかたとか、アクセルとブレーキを踏み間違えたというニュースを耳にしますから、この機能はありがたいですよね。
- 杉浦
- そうなんですよ。だからこの機能は、新車の乗用車ならば搭載率9割以上なんだよ。
- 村上
- こちらも普及が進んでいるんですね、塚田さん。
- 塚田
- はい。ただし、世の中にはこうした装置が搭載されていない既存の車も大量に走っています。
- 杉浦
- 新車への買換えが進めば良いですけども、そういうわけにもいきませんよね。
- 塚田
- はい。そのため、実は後付けの「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」が販売されておりまして、国土交通省では、一定の性能を有する後付け装置の認定を行っています。ですから、今乗っている車にこうした装置が搭載されていないかたは、是非、認定されている装置を選んで取り付けていただければなと思います。
- 杉浦
- ペダルの踏み間違えは、高齢者に限らず起こり得ることですから、今すぐには難しくても、車検の時とかね、検討していただけるといいですよね。では、引き続き「杉浦太陽が気になる、先進安全技術3選」の発表です。気になる先進安全技術、その2、「レーンキープアシスト」!これは、走行している車線の中央付近を維持するようアシストしてくれる機能なんです。
- 村上
- これは、私の車にもあります!「レーンキープアシスト」と聞くとなんだろう?って思うけど、この機能を聞いていくと、これ私の車にも付いてる!と分かりますね。
- 杉浦
- 高速道路とか、長距離を移動する際、ずっとハンドルを握って運転していると疲れてくるけど、このシステムがあれば車線の中央を維持するようにハンドル操作を支援してくれて、負担が軽減されるんだよね。それから車線から外れそうになった時とかさ、ドライバーに対して警報を鳴らして知らせたり、車線中央付近に戻るようにハンドル操作をアシストしてくれたりもするんですよね、塚田さん。
- 塚田
- はい、そのとおりです。さらにこの「レーンキープアシスト」と、前方車両の速度に合わせて一定の車間距離を確保しながら走行してくれる機能とを組み合わせることで、高速道路でハンドルから手を離すことを許容している車種も一部出てきています。ただし、このような「ハンズオフ」と呼ばれる機能は、「自動運転」ではなく、あくまでも「運転支援」で機能の限界がありますので、即座にハンドルを握れる状態を保ち、従来の運転と同じように、「よそ見をしてはいけない」ということに注意してもらいたいです。
- 杉浦
- ここは注意していきましょう!では、「杉浦太陽が気になる、先進安全技術3選」、最後。「EDSS」!
- 村上
- 「EDSS」?なんだろう?
- 杉浦
- これはですね、「Emergency Driving Stop System(エマージェンシー・ドライビング・ストップ・システム)」の頭文字ね、EDSS。「ドライバー異常時対応システム」っていうことなんですよ。ドライバーさんが体調の変化などによって運転の継続が困難になったときとかに、ハザードやホーンを鳴らしながら車外に知らせてくれて、可能な限り安全に減速・停止させてくれる機能なの。
- 村上
- うわー、すごい!ありがたい機能ですね。ドライバーのかたが意識を失ったことによる事故って時々聞くじゃないですか、だから、「EDSS」が搭載されていると、もしもの時にとっても安心ですね。
- 塚田
- そうですね。一方で、「EDSS」には皆さんに注意喚起したいことがあります。それは、「作動時にハザードやホーンを鳴らして周囲の車に異常を知らせながら緊急停止する」ということです。もし、走行中にこのような車を見かけたら、「車間距離を開ける」などの対応をとるようにしてください。
- 村上
- 先進安全技術の中にこういうシステムがあることを、全てのドライバーが知っておかないと、せっかくのシステムをいかせないですもんね。
- 杉浦
- そう。もしもの時に適切に対応できるためにも、「EDSS」は多くのかたに知っておいてもらいたいシステムですね。ちなみに、この「EDSS」の中には、走行中にドライバーの異常を感知すると、徐々に減速して路肩とかに寄せて停止する機能があるものもあるんだって。すごくない!?
- 村上
- すごいですね。今のASVの機能って本当に進んでると思うんですけど。でも、何度も言いますけど、先進安全技術はあくまでも人間の運転操作をサポートするものであって、頼りきってはいけないんですよね。
- 杉浦
- そういうことだよね。ただ、システムがあるのと、無いのとでは大違いなので、最初に紹介した「衝突被害軽減ブレーキ」。
- 村上
- これは、前方の障害物に衝突しそうになった時に警報して、ブレーキを作動させる装置でしたよね。
- 杉浦
- そうだね。その機能が搭載されるようになってから追突事故件数は減少傾向にあって、2023年には、2014年と比較しておよそ6割も追突事故件数が減ったんだって。
- 村上
- 6割も!これから車を購入する時は、先進安全技術は必須ですね。でも、先進安全技術といってもいろいろなものがありますし、装置の性能も違うと思うので、どのように安全・安心な車を選べばいいか、迷っちゃいそうな気がします。
- 杉浦
- そんなかたにおすすめなのが、「自動車アセスメント」!
- 村上
- 「アセスメント」って「評価」や「査定」って意味ですよね、塚田さん。
- 塚田
- はい。「自動車アセスメント」とは、国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構・通称ナスバが共同で実施しているもので、市販されている自動車を対象に「衝突安全性能」、「予防安全性能」、「事故後被害軽減性能」、この三つの観点から安全性能を評価して点数を公表するものです。
- 杉浦
- 「衝突安全性能」は衝突時の乗員や歩行者の安全性を評価するもので、実際に、試験車を壁に衝突させたり、人の頭部を模擬したダミーをボンネットなどに衝突させて、いろんな試験で評価してるんですね。「予防安全性能」は事故を未然に防ぐ技術を評価するもので、様々なシナリオで実際に試験車を走行させて、先進安全技術の性能を評価しているそうです。また、「事故後被害軽減性能」は事故の発生を自動的にコールセンターへ通報する装置の有無に対する評価を行っているそうです。
- 塚田
- これら、それぞれの評価の得点を全て合計した総合評価において最高評価を受けた車種には「ファイブスター賞」が与えられていて、その最高評価を受けた車種の中で最も高い得点を得た車種には「ファイブスター大賞」が与えられています。
- 村上
- すごーい!!どんな車種がファイブスター賞とか大賞なのか、知りたくなっちゃいますね。
- 杉浦
- 「自動車アセスメント」で検索しますと、自動車事故対策機構ナスバの「守る」というページがすぐに見つかります。是非、いつも乗っている車や購入を検討している車の安全性を確認してみてください。
- 塚田
- クルマの先進安全技術は、自分と周りの人たちの安全性を高めてくれる素晴らしいものですので、皆さんに、是非、最新の技術について関心を持ってもらいたいと考えています。しかし、あくまでも運転をサポートするものですので、限界があるということを理解した上で、常に安全運転を心掛けてください。ASV、先進安全自動車で快適なドライブを楽しみましょう!
- 村上
- 私が今日の話の中で特に注目したのは「車を選ぶ時は、自動車アセスメントを参考に!!」です。検索して、ASVがしっかり搭載されている車を選んでほしいなと思います。
- 杉浦
- 僕は、「進化してます 先進安全自動車」です。やっぱり機能を理解しておかないとダメだよね。
- 村上
- そうですね。自分たちの車に付いていない機能でも、理解しておかないといけないんだなと、今回すごい学びました。
ラジオCM
令和6年秋の全国交通安全運動(CM)
9月21日から30日までの間、
秋の全国交通安全運動が実施され、
9月30日は、「交通事故死ゼロ」を目指す日です。
今回の運動は、
「反射材用品の着用推進や、安全な横断方法の実践」
「夕暮れ時以降の早目のライト点灯やハイビームの活用促進と飲酒運転の根絶」
「自転車や特定小型原動機付自転車の利用時のヘルメット着用と交通ルール遵守」
この3つを重点に呼びかけます。
こどもから高齢者までみんなで交通ルールをしっかり守って
交通事故のない社会を目指しましょう。
明日のくらしをわかりやすく
♪政府広報♪