首都直下地震に備えよう!起こりうる被害、そして被害を抑えるためにできることは?
POINT
我が国の人口の約3割が居住し、政治・行政・経済の中枢機能が集中する東京圏。そんな東京圏で首都直下地震が起きた場合には、多くの犠牲者や被災者が発生するなど、甚大な被害が生じるとともに、社会・経済に多大な影響を及ぼすおそれがあります。それだけでなく、東京圏には近郊から通勤・通学しているかたも多数いることから、地震発生の時間帯によっては帰宅困難者が多数発生し、一時滞在施設に滞在せざるを得ない事態も想定されます。このような事態を最小限に抑えるためには、私たちみんなが自分ごととして捉え、必要な対策を実行することが重要です。この記事では、想定されている被害と、首都直下地震への備えをご紹介します。
1首都直下地震とは
首都直下地震とは、東京圏及びその周辺地域で発生する大規模な地震のことです。首都直下地震といっても、震源の位置としてはこれらエリアの中でも様々な場所で起こりうると考えられており、いつどこで起きても不思議ではありません。例えば文部科学省の地震調査研究推進本部によると、南関東地域を震源とするマグニチュード7クラスの地震は今後30年以内に70%の確率で発生すると見込まれています。
被害想定
東京圏の人口は約3,690万人、建物棟数が約965万棟もあり、大規模地震が発生した場合、建物の倒壊や火災などによる膨大な人的・物的被害が生じるだけでなく、東京圏には中央省庁や企業の本社などが集まっていることから、首都中枢機能にも影響が生じ、国民生活や経済活動にも大きな影響を及ぼすことが想定されています。中央防災会議の「首都直下地震対策検討ワーキンググループ報告書」(令和7年(2025年)12月)における被害想定では、建物倒壊や火災などによる死者が最大約1.8万人、揺れや火災による全壊・焼失棟数が最大約40万棟、経済的被害が約83兆円と想定されています。
注:都心南部直下地震の場合で冬の夕方に発生、風速8m/sでの想定。
なお、発生時の季節や発生時間(早朝か日中か夜か)によっても被害想定の結果が異なってくるため、様々なパターンについてシミュレーションを行っています。
都心南部直下地震(被害想定の対象とする地震)の想定震度分布
出典:中央防災会議「首都直下地震対策検討ワーキンググループ報告書」
2首都直下地震が発生したときの応急活動
首都直下地震が発生した場合に備えて、国や関係機関では、被災地域の自治体と連携しながら救助、消火、医療、物資支援など様々な対応を速やかに実施できるよう、事前に計画を策定し備えを行っています。
救助・消火や医療活動
1都3県の警察・消防機関は、被災地域に対して域内の部隊を最大限動員するほか、全国の警察災害派遣隊、緊急消防援助隊、自衛隊の災害派遣部隊が応援派遣されることになっており、被災地での救助活動や火災の消火などに当たることになっています。また国土交通省のTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)についても同様に動員・派遣され、被災状況の把握や復旧の支援を行います。
また医療については、災害拠点病院(1都3県で168病院)の活用のほか、全国からDMAT(機動性を有する専門的トレーニングを受けた救命治療を目的とする医療チーム)が参集し、被災地内で被災した患者の処置などを行います。被災地での対応が困難な重傷者については消防・海上保安庁・自衛隊の航空機やドクターヘリ等を活用して被災地外へ搬送し治療を行います。
物資の支援
国は、被災自治体からの要請を待たず、必要と見込まれる物資を調達し被災地に緊急輸送します(プッシュ型支援)。このプッシュ型支援では、飲料水や食料のほか、毛布、乳児用ミルク、乳児・小児用及び大人用のおむつ、簡易トイレ/携帯トイレ、トイレットペーパー、生理用品を被災地内の輸送拠点や避難所に輸送することになっています。
避難所の生活環境改善に向けた取組
避難生活に関する取組指針注1やガイドライン注2に基づき、避難所の生活環境をよりよくするための取組が進められています。例えば、災害が発生した直後からスフィア基準注3等に沿って、快適なトイレ、温かい食事の提供、簡易ベッドやパーティションの展開等を通じて、避難時の良好な生活環境の確保が図られているところです。
- 注₁ 避難生活における良好な生活環境の確保にむけた取組指針(令和6年12月改定)(PDF:390KB)
- 注₂ 避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン(チェックリスト)(令和6年12月改定)(PDF:3.2MB)
- 注₃ スフィアハンドブック(PDF:4.1MB)
3一人ひとりがとるべき行動
このように、首都直下地震の発生に備えた取組が進められていますが、一方で、東京圏には極めて多くの人口が集中しているため、首都直下地震が発生した場合、国や自治体等による支援のみでは被災者のニーズに対し大幅に不足すると見込まれています。
このため、「自分の身は自分で守る」という自助の取組が重要となってきます。また、東京圏で発生する膨大な支援ニーズの中で、支援を必要としているかたに支援の手を届けていくためには、一人ひとりが適切な行動をとることが求められることになります。一人ひとりが行うべき取組として、以下のような行動や事前の準備を行うことが推奨されています。
自宅の耐震化や「感震ブレーカー」の設置などによる火災予防
自宅にいる際に首都直下地震が発生した場合、まずは揺れによる被害から身を守る必要があります。倒壊した建物や、倒れてきた家具の下敷きにならないよう、住宅の耐震化や家具の固定に取り組みましょう。
首都直下地震の際に命を守る上で特に注意すべきことは、地震に伴って発生する火災です。首都直下地震の発生想定において、火災は死因で多くの割合を占めており、延焼により被害を拡大するおそれがあるため、火災の予防が被害を抑えるために非常に重要です。火を使っているときに揺れを感じたり、緊急地震速報が発表されたりしたときは、まずは身の安全を最優先に行動し、揺れがおさまってから、慌てずに火の始末をしましょう。出火したときは、落ち着いて消火しましょう。また、自宅が停電から復旧した際に転倒した家電などから発火する事態を防ぐため、揺れに反応して自動的にブレーカーを落とす「感震ブレーカー」の設置が推奨されています。

在宅避難
人口が多い東京圏で地震が発生した際にみんなが一斉に避難所に向かうと、避難所の定員を超え、避難所に入れない人が生じるおそれがあります。自宅に倒壊などのおそれがなく安全に過ごせる場合は、できる限り「在宅避難」として自宅にとどまるようにしましょう。そのためにも、個々の住宅などの耐震化等とともに、「最低3日間、推奨1週間」の飲料水や食品などを備蓄しておきましょう。


外出先で被災した際の一斉帰宅の抑制
仕事や通学、買い物などでの外出中に首都直下地震が発生した場合、公共交通機関が停止することが想定されます。このようなときに多くの人が帰宅しようとして移動し始めると、道路が帰宅者で溢れ、渋滞が発生して緊急車両などの通行ができなくなるおそれがあります。
このような場合には「むやみに移動しない」ことが重要です。例えば、もし勤務時間帯に被災した場合は、原則3日間は帰宅せずに、会社の中にとどまるようにしましょう。通勤時や買い物などで外出している場合は、「一時滞在施設」を活用し、なるべくとどまることを検討しましょう。
一時滞在施設の開設状況等は各自治体のウェブサイトで確認することができます。また、しばらく帰宅できない場合の対応や安否確認手段などについて日頃から話し合っておきましょう。
デマの拡散に加担しない
スマートフォンなどの普及に伴い、最近はSNSからニュースなどの情報を得ている人も増えていますが、これらは便利な一方で、SNSを通じたデマなどが拡散するおそれもあります。特に災害時にデマなどが発生すると、生活上の混乱や社会不安を招き、救命・救助や復旧復興の活動を妨げる可能性もあります。このため、一人ひとりがデマなどの拡散に加担することがないよう、情報の発信元の確認や、不正確な情報を他人に伝えないなど、デジタルリテラシーの向上に努めましょう。

まとめ
「地震大国」と言われる日本では度々大規模な地震が発生します。災害には、国や自治体などが取り組む「公助」や、地域や身近にいる人同士が助け合って取り組む「共助」に加え、一人ひとりが自ら取り組む「自助」が重要だと言われています。「自助」とは、自らの命は自らが守るという意識を持ち、自分の身の安全を守ることです。平時から家の耐震強化をすることや備蓄を確保しておくことは、自分の命を守るのみならず、避難所や緊急救助活動の負荷を減らすことで共助となり、公助を有効なものとすることへつなげ、結果としてみんなの命を救うことができます。
(取材協力:内閣府 文責:内閣府政府広報室)

