クマに出会わないために。知っておきたい対策

POINT
近年、クマが市街地など、私たちの生活圏に出没し、人身被害が発生するケースが増えています。クマによる被害を防ぐためには、まず「クマに出会わないこと」が重要です。この記事では、日頃から実践できる対策や、万が一遭遇してしまったときの対処法、そしてクマと人のすみ分けを進める国などの取組をご紹介します。
1クマに出会わないための対策
クマによる被害を防ぐ上で最も大切なことは、出会わないことです。クマは本来、人を避けて暮らす動物ですが、不意に出会うと驚いて攻撃してくることがあります。
クマとの遭遇を避けるためには、「クマを寄せ付けない」「人の存在を知らせる」「クマの出没情報を調べる」ことが大切です。これらの対策は山林だけでなく、住宅街、農地、道路、通学路などの私たちの生活圏でも同じです。これまでクマの出没がなかった地域でもクマに遭遇する可能性があることを意識し、実践しましょう。
対策1:クマを寄せ付けない
クマは食べ物を求めて人の生活圏に近づくことがあります。放ったままの果実や、農作物の残り物、生ゴミを始め、コンポスト、ペンキなどの塗料、有機肥料、燃料なども、クマを引き寄せる要因になります。一度でも、人家の周りで食べ物を得ると、その場所を覚えて繰り返し出没するおそれがあります。
- 収穫しない果実は早めに取り除く
- 管理できない果樹は伐採を検討する
- 屋外に生ゴミを放置しない
など、クマを誘引する原因を作らないように管理しましょう。
クマは草むらや藪など、草や木が生い茂って、身を隠しやすい場所を好んで移動します。人の生活圏に近づかせないためには、刈払いにより見通しの良い環境を維持しましょう。
また、畑や果樹園に近づけないためには、電気柵の設置も有効です。ワイヤーの高さや間隔など、クマに対して効果的な設置方法を確認した上で設置しましょう。

対策2:人の存在を知らせる
クマとの不意な遭遇を避けるには、あらかじめ人の存在を知らせることが重要です。日本の多くのクマは、人間を会いたくない対象として学習・警戒していると考えられるため、クマ鈴やラジオなどの音が出るものを持ち歩き、継続的に音を出しましょう。複数人で会話をしながら歩くことも有効です。
ただし、繰り返し人の生活圏に出没しているクマに対しては、効果がない場合もあるため、物音や足跡などから、クマの存在に早めに気が付くよう注意を払うことも大切です。

対策3:クマの出没情報を調べる
外出する前には、移動経路や目的地周辺のクマ出没情報を必ず確認しましょう。もし出没情報がある場合は、不要不急の外出を控えるのが一番の安全策です。どうしても、外出が避けられないときは、クマに出会いやすい早朝や夕方の時間帯を避けたり、徒歩での外出を控えたりしましょう。
クマの出没情報は、環境省「国民向けのクマに関する情報」から確認できます。

「いつもの道」でも油断は禁物
近年はクマの出没範囲が広がっているため、散歩道や通勤・通学経路など、これまで安全だと思っていた場所でも、クマの出没情報が報告されている場合があります。
実際に、近隣住民から「クマが出ているから散歩は危ない」と注意されていたにもかかわらず散歩を続け、クマに襲われた事例も報告されています。「いつもの道だから大丈夫」と油断せず、出没情報がある場所への外出は控える、経路を変更するなど、クマに出会わないための行動をとってください。
2クマに出会ってしまったら―身を守る行動
どれだけ注意していても、クマに遭遇してしまう可能性はゼロではありません。万が一、クマに出会った場合は、次のように対処しましょう。
静かにゆっくり移動する
クマに出会ってしまったら、クマを見ながら静かにゆっくり移動することが基本です。また、次のような行動は、クマを刺激し、刺激を受けたクマが追いかけてきたりするため、絶対にやめてください。
- 大声を出す、物を投げる
- 背中を見せて走り出す
- リュックやかばんを置いて逃げる(食べ物が入っていると餌付けにつながるおそれがあります)
クマと人との間に遮蔽物を挟む
電柱や木、車などの遮蔽物が近くにある場合は、クマと自分の間に挟むような位置に移動します。万が一、クマが突進してきた場合でも、遮蔽物があることで直接接触する危険性が低くなります。

安全な場所に避難する
近くに車や民家、店舗、公共施設などがある場合は、車内や屋内など、クマから身を守れる場所に避難します。また、自分だけで対応しようとせず、近くにいる人に助けを求めましょう。
クマ撃退スプレーを適切に使う
クマ撃退スプレーが有効な場面は、クマが目の前に迫っているときで、寄せ付けないためのものではありません。使用時は、クマの目や鼻に吹きかける必要がありますが、実際にクマを目の前にすると冷静・確実に操作することは簡単ではありません。スプレーを携帯する場合は、事前に使用方法を確認し、いざというときに使えるよう準備・練習しておくことが重要です。また、持っているから安心と油断せず、まずはクマに出会わないための行動を心がけましょう。
また、購入する際は、環境省が公表している推奨要件を参考にしつつ、製品に表示された性能についてよく確認して選びましょう。
環境省「クマ撃退スプレーの性能に係る推奨要件(令和8年8月)」
独立行政法人国民生活センター「クマ撃退スプレーの備え方-事前の確認・準備が必須です-」
クマの目撃・遭遇の際は自治体や警察へ連絡
クマを目撃した、あるいは遭遇した場合、まずは安全な場所へ避難してください。その上で、クマが出没した場所や時間、移動した方向などを分かる範囲で整理し、出没した地域の自治体又は管轄の警察署に連絡しましょう。
コラム:クマに襲われそうになった場合の最終手段「防御姿勢」
- 頭部を守る:フードや帽子などで頭部を守る。
- 急所を守る:うつ伏せになり、顔や胸、腹部を守る。
- 首を守る:手指を組み合わせて、後頭部と首の後ろを守る。


写真提供:環境省
これらの防御姿勢は、手や腕、背中は攻撃を受けるものの、人の急所を守って致命傷を防げる可能性があります。あくまで防御姿勢は最終手段ですので、まずは基本的な対処方法を実施しましょう。
3人とクマが安全に共存するための取組
クマによる被害を防ぐには、国や都道府県、地域が連携して、人とクマのすみ分けを進めることが重要です。国は都道府県と連携し、地域個体群ごとの適正な個体数や、捕獲の目標数を精緻化するための個体数調査を進めており、調査結果を踏まえ、科学的根拠に基づく、地域の実情に合わせた対策を行っていきます。
また、人とクマのすみ分けを進めるため、地域の状況に応じてエリアを3つに区分(ゾーニング)しています。
- クマの生息エリア:クマが安心して生息できるよう豊かな自然環境を保護する。
- 人とクマの境界エリア:クマを寄せ付けないための藪の刈払い、放任果樹の管理、電気柵の設置など。
- 人が生活するエリア:人の活動を優先し、クマをエリア内から排除する。
こうした取組は、人の安全を守りながら、クマが本来の生息地で暮らせるようにするためのものです。人とクマが不用意に出会わない環境を整えることが、安全に共存することにつながります。

まとめ
近年、市街地など、人の生活圏にクマの出没が増えています。きのこ・山菜採りやレジャーで山に入る人だけでなく、街なかで暮らす人も、クマ対策を徹底しましょう。自らの身を守り、クマとの共存を目指すためにはこうした取組が大切です。
(取材協力:環境省 文責:内閣府政府広報室)
