えっ、この建物も文化財!? 地域の遺産・登録有形文化財

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ラジオ番組「杉浦太陽・松井玲奈「日曜まなびより」」

今回のテーマは「えっ、この建物も文化財!? 地域の遺産・登録有形文化財」
私たちの身近にある、歴史ある建造物。もしかしたら「登録有形文化財」かもしれません。地域に残る歴史的な建造物などを国が「登録」し、未来へ残していくために創設されたのが「登録有形文化財制度」です。1996年に始まったこの制度は、今年で30周年。現在、駅舎や学校、洋館、銭湯、橋、ダムなど、およそ1万5,000件が登録されています。
番組では、登録有形文化財制度の概要や、現役の駅舎やカフェとして活用されている古い銭湯など、伝統的な建物の魅力を生かした登録有形文化財をご紹介します。是非、皆さんの地域にある登録有形文化財を探してみてください。  

杉浦太陽さん、松井玲奈さん、文化庁ゲストの3人が、「登録文化財制度30周年・建造物登録15,000件 記念シンポジウム」のポスターを紹介。

ゲスト
文化庁 建造物課 登録部門
結城 啓司

ストリーミング(音声で聴く)

放送日
令和8年(2026年)9月27日
再生時間
18分14秒
配信終了予定日
令和9年(2027年)9月26日

文字で読む

杉浦
有形文化財といいますと、玲奈ちゃんはどんなものを思い浮かべますか?
松井
そうですね、愛知県でいうと、私の地元、豊橋市に東観音寺多宝塔(ひがしかんのんじたほうとう)という室町時代からある建物があるんですよ。だから、文化財っていうと地元の古い建物を思い出します。でも、いっぱいあるんですよね?
杉浦
そう! 結構身近にあったりするんだよね。僕の地元にも結構あったりするんですけど。古くて、歴史上価値のある建物や仏像など形のあるもので、法律により厳格に守られているものってイメージあるよね。
松井
そうですね。いろんな規制があって、気軽に触ったらダメだよ! みたいなイメージがあるので、近くにあるけど触れられない、そんなイメージです。
杉浦
でも、今日学んでいく「登録有形文化財」というのは、僕たちがイメージしている文化財とはちょっと違っていて、もっと身近なものなんだよね。ここからは今日の講師に伺っていきましょう。文化庁建造物課の結城 啓司さんです。
松井
結城さん、今日のテーマの「登録有形文化財」について伺う前に、まず有形文化財の基本から教えていただけますか?
結城
分かりました。文化財には「有形文化財」の他にも、「無形文化財」や「記念物」などいくつかの種類があります。その中で「有形文化財」は、文字どおり「形のある文化財」のことです。例えば、建造物や絵画、彫刻、工芸品、古い文書などがあり、歴史や芸術、学術の面で価値が高いものを総称して「有形文化財」と呼んでいます。
杉浦
文化財保護法により、そのように定められているんですよね。
結城
そうなんです。そして、その有形文化財のうち、特に価値が高いものを、国が「国宝」や「重要文化財」に「指定」し、手厚く保護する代わりに厳しい規制があります。一方で、より幅広く、地域にたくさん残る大切なものを国が「登録」し、緩やかに護っていくのが、今日のテーマである「登録有形文化財」の制度で、その中でも建造物について紹介します。おそらく、お二人が「文化財」と聞いて最初に思い浮かべたのは、「国宝」や「重要文化財」の方だったのではないでしょうか。
松井
そうですね。でも、今日学んでいく「登録有形文化財」は、もっと身近なものなんですよね。
結城
はい。登録有形文化財の建造物には、皆さんが良くご存じの「東京タワー」や「大阪城天守閣」などがあります。また、建物だけではなく、橋やトンネル、ダムなどの土木構造物も含まれるんです。登録有形文化財制度は、1996年にできた比較的新しい制度で、主に「近代以降の歴史的な価値のある建造物を未来へ残していこう」という考えで創設されました。
松井
その「新しい制度を作る」「未来へ建造物を残していこう」っていう考えができたのには、きっかけがあったんですか?
結城
そうですね。きっかけの一つは、1995年に発生した阪神・淡路大震災です。この時、歴史的な価値を認識されていても、当時の制度では保護の対象になっていなかったため、取り壊されてしまった建物があったんです。そこで、震災の翌年に、これまでの制度を補う新たな仕組みとして登録有形文化財制度が作られました。
杉浦
今年(2026年)が創設されて、ちょうど30周年という節目の年に当たっていまして、登録件数は、今年、1万5,000件を超える見込みなんですよねー。
結城
はい。おっしゃるとおりです。
松井
かなり多いですね。対象となるのは主に近代以降の建造物ということですが、条件はあるんですか?
結城
はい。原則として建設後50年を経過したもので、次の三つの基準のうち、どれか一つを満たすことが必要です。一つ「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、二つ「造形の規範となっているもの」、三つ「再現することが容易でないもの」です。
杉浦
かみ砕いて言いますと、その町らしい景色をつくっていたり、優れたデザインだったり、今では同じように造るのが難しい建造物なら、登録される可能性があるということなんですね。
結城
そうなんです! すごく分かりやすい説明をありがとうございます。例えば、昔ながらの駅舎や洋館、学校、銭湯など、地域の方々に長く親しまれてきた建物や、その町のシンボルになっているような建造物などをイメージしていただくと分かりやすいと思います。
松井
この制度の特徴というと、どういったものなんですか?
結城
この制度は、「所有者の自主的な保存と活用を前提」としていることに大きな特徴があります。そのため、登録されると固定資産税や相続税が一部減免されたり、修理の際に少し補助金があったりして、比較的緩やかな保護措置の下で、建物を使いながら保存していくことができるんです。例えば、建物内部をリノベーションして、使いやすい形で建物を活用することもできるんですよ。
松井
えっ! 文化財であるのに、建物の中をリノベーションできるんですか!? それってかなり意外ですよね。文化財っていうと、手を加えられないイメージが強くありました。
結城
そう思われるかたは多いですね。確かに、国宝や重要文化財は厳しい規制がありますが、登録有形文化財は、建物内部であれば比較的自由に改修することができます。例えば、かつて官舎だった洋館がカフェとして活用されていたり、古い和風住宅が飲食店として生まれ変わったりと、建物の価値をいかしながら新しい役割を担っている例も数多くあります。
松井
規制が緩やかだと、そういう活用の仕方もできるんですね。
結城
そうなんです! もちろん、全ての登録有形文化財が商業施設などに活用されているわけではありません。ただ、この制度は、それぞれの建物の価値や状況に応じて、所有者の皆さんが保存や活用に取り組みやすいように作られており、多くの方々が地域の歴史ある建物を残しながら活用するために、この制度を有効活用されています。
松井
全国に1万5,000件ほどあるということは、もしかしたら、私の行動エリアにもあるかもしれないということですよね?
杉浦
そう! しかも意外なものが登録されていたりするんだよねー。ここからは、実際どのような登録有形文化財があるのか、いくつかピックアップしてご紹介してまいりましょう! まずは、今も現役のこちら! 「JR肥薩線大隅横川駅駅舎(ひさつせんおおすみよこがわえきえきしゃ)」。こちらはですね、鹿児島県霧島市にある駅です。玲奈ちゃんは鉄道好きということだけど、知ってた?
松井
知らなかったです!(笑) 駅舎っていろんな種類があるなと思うんですけど、この「大隅横川駅駅舎」は瓦屋根の平屋みたいな感じで、昔からある駅舎ですごく趣がありますね。
結城
この駅舎は1903年、明治36年に肥薩線の開通と共に建てられた木造の駅舎で、同じく肥薩線の嘉例川駅(かれいがわえき)と並んで、鹿児島県内で最も古い駅舎です。120年以上たった今も町の玄関口として大切に使われ、この町らしい景観となっています。
杉浦
映画のワンシーンに登場しそうですよね。
結城
そうですね。しかも、当時の鉄道の状況を今に伝える貴重な建物でもあるんです。実は、二つの駅舎はよく似た造りで、一度に多くの駅を整備していた当時の鉄道建設の特徴がよく表れています。日本が近代化していった時代を伝える建物としても、とても貴重なんです。さらに、この駅舎の柱には、第二次世界大戦中に戦闘機の攻撃でできた弾の跡が今も残っていて、建物そのものが歴史を物語っているんです。
松井
これは鉄道好きでなくても、歴史を物語る建物として、実際に行って味わいたくなる駅舎ですね。
杉浦
そうだねー。では、続いての登録有形文化財をご紹介しましょう。銭湯がカフェに?! 京都府京都市にある「旧藤ノ森湯(きゅうふじのもりゆ)」。
松井
古い銭湯が、今はカフェとして活用されているんですね。
結城
はい。京都市内には今も銭湯がたくさんあるんですけども、こちらの登録有形文化財は、1930年、昭和5年に建てられており、当時の銭湯建築を代表するようなデザインです。
松井
今、手元にお写真があるんですけど、タイル張りのカラフルな内装になっていて、外観は「あー、そうそう、古い銭湯といえばこれこれ!」というイメージのお写真ですね。
結城
そうですよね。銭湯正面の入り口には、独特の曲線が美しい「唐破風(からはふ)」という屋根があり、伝統的な趣を感じさせます。また、内部は銭湯だった頃の色鮮やかな装飾タイルを効果的に残しながら改装されています。実は、このカフェは2000年にリノベーションされて開店したんですけれども、その後2003年に登録有形文化財になりました。伝統的な建物の魅力をいかした改修事例として評価されたと言えます。
松井
本当にこの内装のカラフルなタイルがいかされていて、行ってみたくなりました。こういうふうに活用されていくと、地元のかたに愛されるだけではなくて、旅行で訪れたかたにも興味を持ってもらえますね。
結城
はい。そして面白いのが、すぐ近くに「船岡温泉」という現役の銭湯があり、脱衣所が登録有形文化財になっています。こちらも正面に唐破風を設け、内部は彫刻などで華やかに装飾されています。この地域では、現役の銭湯と、銭湯を改修したカフェの両方を、登録有形文化財で味わうことができます。
杉浦
では、最後にもう一つ登録有形文化財をご紹介しておきましょう。こちらは再現することが難しい、静岡県浜松市にあります「凱旋紀念門(がいせんきねんもん)」です。結城さん、ご説明をお願いします。
結城
はい。「凱旋紀念門」は1906年、明治39年、日露戦争を記念して神社の参道の途中に築かれた煉瓦造りの門です。当時、全国に多数設置されたそうですが、このような建築的な門で現存するのは、凱旋紀念門と鹿児島県姶良市にある「山田の凱旋門」の2棟だけです。
松井
写真を見ていても、狭い登り坂の途中に建っていて、門のアーチの部分などは緻密に煉瓦が積み上げられているから、確かにこれを再現するのは大変そうだなー と思いますね。
結城
先ほどの大隅横川駅駅舎に加えて、この凱旋紀念門もそうなんですが、登録有形文化財には戦争に関連する遺構がいくつかあります。こうした戦争遺構を残すことは、戦争の悲惨さや平和の尊さを伝え、考えるきっかけになります。建物単体の価値だけでなく、こういった側面でも価値があると言えます。
杉浦
今日は紹介できなかったんですけども、登録有形文化財には観覧車や木馬、アニメ映画の舞台のモデルになった住宅など、様々なジャンルのものがあるんですよね。
結城
そうなんです。こんなものが!? と思うようなものが、実は登録有形文化財だったりします。「文化遺産オンライン」というホームページで調べることができますので、是非探してみてください。皆さんの身近なところにもあるかもしれません。地域の時代を伝えるシンボルに関心を持ってもらえるとうれしいです。そして、登録文化財制度30周年と建造物登録15,000件を記念して、(2026年)10月24日に京都国際会館でシンポジウムを開催します。彬子女王殿下と文化庁長官の対談などもあるので、是非ご参加ください。
松井
私が今日の話の中で注目したのは、「地域の時代を伝えるシンボル「登録有形文化財」」です。
杉浦
いいですねー。僕は「意外と身近にあるんです 登録有形文化財」。これちょっと、みんなに探してほしいんだよね。
松井
そうですね。

米を扱う皆様の届出・報告が新しくなります(CM)

食糧法が改正され、米の流通をより正確に把握するための新しい届出が始まります。

これまでの生産者、出荷業者、販売事業者に加えて
加工業者、中食・外食事業者の皆様も新たに届出が必要になります。
また、すでに届出をしていた事業者のかたも、改めて届出が必要です。

加えて、米の在庫量や取引量などを
国へ定期的に報告する仕組みも導入されます。
これにより、米の安定供給に向けた迅速な対応が可能になります。

新しい届出の受付は、今年10月からスタート。
米を取り扱う事業者の皆さま、
是非早めの準備をお願いいたします。

あしたの暮らしをわかりやすく
♪政府広報♪

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