性犯罪の新ルール どんな行為が犯罪になる?

性犯罪の新ルールを紹介するイラスト。同意のない性的行為、こどもの誘い出し、性的な姿の撮影、写真・動画の提供を禁止することを表現している。

POINT

性犯罪は、被害者の尊厳を傷つけ、その心身に長年にわたって重大な苦痛を与える悪質な犯罪です。このような犯罪に、より適切に対処できるよう令和5年(2023年)に、「強制性交等罪」は「不同意性交等罪」に改められました。また、SNSなどで、16歳未満のこどもをわいせつ目的で呼び出したり、性的な姿の撮影・送信を求めたりする行為を罰する新たな罪も設けられました。その内容について分かりやすく解説します。

1不同意性交等罪とは 罪が成立する8つのケース

法改正前の強制性交等罪では犯罪が成立するかどうかの判断にばらつきが生じ、被害が見過ごされる可能性が指摘されていました。改正後の不同意性交等罪は「同意しないこと、同意しない意思を示すこと、同意しない意思を貫くことが難しい状態での性的行為」が処罰の対象になることが明確化され、判断のばらつきが生じにくい規定となりました。
また、こどもの未熟さにつけ込んだ性犯罪を防ぐため、いわゆる「性交同意年齢」の引上げも行われています。

性交同意年齢は16歳未満に引上げ

今回の改正では、不同意性交等罪などが設けられたほか、いわゆる性交同意年齢が13歳未満から16歳未満に引き上げられました。性交同意年齢については、政府広報オンライン「性交同意年齢」をご確認ください。

罪が成立する8つのケース

次の行為や状態(又はこれらに似た行為や状態)によって、被害者が「イヤだ(=同意しない)」と思うことや伝えること、最後まで拒絶することを難しくさせ、又はそのような状態にあることに乗じて、性交等注をした場合は、不同意性交等罪の対象となります。これは、配偶者やパートナーの間でも成立します。

注:「性交等」とは、性交・肛門性交・口腔性交のほか、膣や肛門に、陰茎以外の身体の一部又は物を挿入する行為も含む。

(1)暴行・脅迫
体を押さえつけるなどの暴行を受ける、「痛い目に遭わせる」などと脅迫される。
(2)心身の障害
身体障害、知的障害、発達障害及び精神障害(一時的なものを含む)を生じさせる、又はそれがある状態。
(3)アルコール・薬物の影響
酒や薬物を飲ませる、又はそれらの影響がある状態。
(4)睡眠その他の意識不明瞭
眠っていて意識を失っている状態、意識がはっきりしない状態にさせる、又はその状態にある。
(5)同意しない意思を形成・表明・全うするいとまの不存在
すれ違いざまに胸を触られるなど、不意に性的行為を受けて、自由な意思決定をするための時間のゆとりがない状態。

音楽を聴きながら歩いている女性に、背後から急に抱きつき、女性が驚いているイラスト。

(6)予想と異なる事態との直面に起因する恐怖又は驚愕
予想外又は予想を超える事態に直面したことから身の危険を感じ、極度の不安や動揺によって平静を失った状態。いわゆる「フリーズ状態」。
(7)虐待に起因する心理的反応
虐待を受けたことによって「いつものことだ」「抵抗しても無駄だ」などと考えてしまう心理状態や、虐待を目の当たりにしたことによって恐怖を感じている状態。
(8)経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮
祖父母と孫、上司と部下、コーチと教え子などの関係において、「経済的な援助が打ち切られる」「希望しない仕事をさせられる」「次の試合に出られなくなる」などの不利益が生じることへの不安がある状態。

上司が部下を温泉に誘い、部下が誘いを断れない状態のイラスト。

また、「これは、わいせつ行為ではなく診療です」などと事実と異なることを信じ込ませたり、睡眠中などの意識がはっきりしないときに「体を触っているのは夫だ」と勘違いさせたりして性交等を行った場合も、不同意性交等罪の対象となります。

2面会要求等罪とは 誘い出しや性的な姿の撮影・送信の要求も犯罪に

16歳未満のこどもは、性的行為について適切な判断をする能力が未発達のため、性犯罪の被害に遭う危険性が高く、近年では、SNSで知り合った人から誘い出されて性被害に遭ったり、性的な写真・動画を要求されたりする事例が増えています。こうした犯罪から、16歳未満のこどもを守るため、「面会要求等罪」が新たに設けられました。
16歳未満のこどもに対して、わいせつ目的で次のような行為を行った場合は、処罰の対象となります(13歳以上16歳未満の場合は、不同意性交等罪と同様の年齢差要件があります。詳しくは「性交同意年齢」の用語解説で確認してください。)。

1.わいせつ目的で会うことを要求すること。

  • 「秘密をばらす」などと脅して誘い出す
  • SNS上で性別を偽って誘い出す
  • 「芸能人と知り合いだから会わせてあげる」などの甘い言葉で誘い出す
  • 相手が誘いを断っているにもかかわらず、繰り返し要求する
  • 金銭や物を渡したり、その約束をしたりして誘う

2.1の結果、わいせつの目的で実際に会うこと。

3.性交等をしている姿や、性的な部位を露出した姿の写真・動画を送信するように要求すること。

SNSで知り合った相手から性的な写真の送信を要求される女子中学生のイラスト。

3性的姿態等撮影罪・性的影像記録提供等罪とは 性的な姿の撮影や他人への提供も犯罪に

これまで盗撮行為は、各都道府県のいわゆる迷惑防止条例や、児童買春等処罰法などによって処罰されてきました。しかし、これらの条例や法律だけでは対応が難しい事例もありました。そこで、本人の意思に反して性的な姿の画像・動画をほかの人に見られない権利を守るため、「性的姿態等撮影罪」と「性的影像記録提供等罪」が新たに設けられました。

性的姿態等撮影罪(撮影罪)とは

盗撮行為に限らず、次のような撮影行為を処罰の対象としています。

1.正当な理由注がないのに、ひそかに性的な姿等(性的な部位や身に着けている下着、わいせつな行為・性交等が行われている間の姿)を撮影すること。

2.正当な理由がないのに、16歳未満のこどもの性的な姿等を撮影すること。
※13歳以上16歳未満の場合は不同意性交等罪と同様の年齢差要件があります。詳しくは「性交同意年齢」の用語解説で確認してください。

3.相手を、同意しないこと、同意しない意思を示すこと、又は同意しない意思を貫くことが難しい状態にさせ、又はそのような状態にあることを利用して性的な姿等を撮影すること。
不同意性交等罪に該当する行為や状態によって、相手が拒むことが難しい状況に付け込んで性的な姿等を撮影する。

4.だましたり、勘違いさせたりして、又は誤信していることに乗じて性的な姿等を撮影すること。
「性的な写真ではない」「自分以外には見せない」などと事実と異なる説明をして信じ込ませ、その状況に付け込んで性的な姿等を撮影する。

注:「正当な理由」がある場合としては、救急搬送された意識不明の患者の上半身裸の姿を、医師が医療行為上のルールに従って撮影する場合などが考えられます。
また、16歳未満のこどもの撮影行為については、親がこどもの成長記録として、「自宅の庭で水遊びをしている上半身裸のこどもを撮影する場合」や「地域の行事として開催される、こども相撲大会で、上半身裸で行われる取組を撮影する場合」などが考えられます。

性的影像記録提供等罪(提供罪)とは

撮影罪又は性的姿態等影像記録罪(記録罪)注に当たる行為によって得られた性的な姿等の写真・動画を、別の人に提供したり、SNSなどを通じて不特定多数の人に提供したりする行為が処罰の対象です。

注:撮影罪の1から4までと同様の方法でライブ配信された性的な姿の動画について、その事情を知りながら、キャプチャするなどして記録する行為をいいます。

酒を飲んで眠ってしまった男子大学生の性的な姿を撮影して拡散させようとするイラスト。

コラム:公訴時効期間が延長されました

性犯罪は、その性質上、被害を申告することが難しく、被害者の周りの人たちも被害に気付きにくいことなどから、他の犯罪と比べて、被害が表に出にくいという特性があります。このような特性を踏まえ、改正法では不同意性交等罪の公訴時効期間について、10年から15年に延長されました。また、被害者が18歳未満であった場合は、18歳になる日までの期間がさらに延長されます。

(例)12歳のときに不同意性交等の被害に遭った場合

・不同意性交等罪の公訴できる期間:15年
・12歳から18歳になるまでの期間:6年

公訴は21年後(被害者の年齢で33歳)までできます。

4性犯罪の被害に遭ったら・不安を感じたら

一人で思い悩まず、性犯罪の被害を専門とする相談窓口へ相談してください。専門の相談員が話を聞き、適切なアドバイスや対処方法を考えます。匿名で相談ができ、相談内容が本人の同意なく他人に伝わることはありません。

#8103(ハートさん)(24時間受付、無料)
各都道府県警察の性犯罪被害相談電話窓口につながります。

性犯罪被害相談電話
#8103

#8891(はやくワンストップ)(24時間受付、無料)
各都道府県のワンストップ支援センターにつながります。

性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター
#8891

毎日17時から21時まで、チャットで受け付けています。

まとめ

年齢や性別にかかわらず、性犯罪の被害を受ける可能性はゼロではありません。性犯罪から自分を守るためにも、正しい知識や情報を得ておくことが大切です。

(取材協力:法務省 文責:内閣府政府広報室)

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