北海道洋上風力最前線2024。 地域とW i n-W i nな洋上風力発電事業の実現を。 政府は洋上風力を再生可能エネルギー拡大の「切り札」と位置付けて推進し、地元では雇用創出や地域経済活性化への期待も大きいです。一方で、漁業などへの影響を懸念する声もあります。ここでは、経済産業省資源エネルギー庁に北海道新聞が取材し、道内の洋上風力の可能性と課題についてまとめました。 吹き始めた洋上風力の風。 北海道の豊かな自然は、水力、太陽光、地熱、バイオマスなどの多様性に富んだ再生可能エネルギー(再エネ)として利用されてきました。その中の一つが風力で、現在でも多くの陸上風力発電施設が各地に建設されている北海道は、発電に欠かせない強い風が吹く有望な地域です。日本は人口が多く平野が少ないため、陸上だけでは再エネの発電施設の立地は限られてしまいます。そこで、今注目されているのが「洋上風力発電」です。 松前沖、道内初の「促進区域」へ。 「ゼロカーボン北海道」を掲げる北海道で、大規模な洋上風力発電の導入が本格化しています。導入の決め手となるのが、再エネ海域利用法に基づく「促進区域」の指定です。一般海域を最長30年間利用できるなど、国の支援も望めます。国は、自治体や地元関係者でつくる法定協議会の同意を指定の要件としています。 道内では渡島管内松前町沖を含む5区域が、「促進区域」の前段階の「有望区域」となっていますが、松前沖は昨年11月にいち早く法定協議会が発足。経済産業省や国土交通省、道、町、松前さくら漁協などが議論を重ねてきました。そして、3回目となる今年7月31日の法定協議会で、促進区域指定について「漁業などに支障を及ぼさないことが見込まれる」などとして合意しました。今後、促進区域に指定されれば道内初となります。 また、洋上風力発電のうち、海底に固定せず海に浮かべる「浮体式」の整備に向けた「準備区域」に道内の岩宇・南後志地区沖、島牧沖の2区域が整理されています。 北海道における洋上風力発電の可能性のイラスト。有望区域は、北海道石狩市沖、北海道岩宇・南後志地区沖、北海道島牧沖、北海道檜山沖、北海道松前沖。準備区域は、北海道岩宇・南後志地区沖(浮体)、北海道島牧沖(浮体)。 北海道松前沖における法定協議会の意見の取りまとめ。人口減少や漁獲量減少など、さまざまな地域課題に立ち向かう礎を築く上で、洋上風力発電事業を重要な取り組みと位置付けました。漁業の活性化はもとより、新たな雇用環境の創出、観光の魅力の拡大、災害に強いまちづくりなど地域の発展を期待しています。地域住民が直接的な恩恵を受けられる事業展開を期待! 風を活かしたリニューアブルタウン「誰もが住み続けたいまち」を目指して。 漁業振興策。1.持続可能な漁業の実現に資する取り組み。2.漁業所得の向上・安定化につながる取り組み。3.漁業の効率化と経営安定化の取り組み。4.水産資澱の維持・増大、保全・創造に向けた取り組みなど。 洋上風力の事業者が「松前沖の漁業の応援団」になることで、漁業振興に協力!! ウニやナマコ漁に影響が出ないよう、水深40メートルより浅い海域には風車を設置しないこと、販路拡大や、ナマコ、ヒラメ、ソイ、アワビ、ヤリイカ、ホッケ、ミズダコなどの水産資源を増やす漁業振興策を事業者に求めることなどが明記されました。 地域振興策。1.地域交通の充実。2.発電事業における地元の資源・人材活用による地元経済の活性化。3.観光資源の活性化、活用・連携。4.体験型再エネ教育や脱炭素教育の実施。5.地元港湾の積極的な活用による地域経済の活性化など。 働く場の確保や賃金上昇などの人口減少対策、若者の定着につなげたい!! 技術者・メンテナンス人材の育成推進や、地元の資源・人材の活用、町内空き家の活用などによる地元経済の活性化を図っていきます。 法定協議会の意見の取りまとめでは、イカの漁期や産卵期は工事を休止することや、マグロの漁期には工事の振動や騒音の低減措置をとることが明記され、さらに財政面でも、漁業振興や地域振興のため、売電利益を地元に還元する基金の設立も盛り込まれています。 地域との共生が何よりも重要。 道内では有望区域である檜山沖、岩宇・南後志地区沖でも法定協議会が設立されて議論が始まっています。北海道経済産業局に新設された「北海道GX推進官」を兼務する資源エネルギー庁の福岡功慶風力事業推進室長は「洋上風力で一番大事なのは、地元の皆さんとの「共存共栄」。洋上風力発電だけでなく、もともと海を利用していた人たちの事業の発展も重要だ。海は地域によって環境も生態系も異なる。共存共栄のために、洋上風力を生活にどう生かすか、時間をかけて意見を交わし、地域ごとの合意形成を丁寧に図っていってほしい」と話します。 企画制作、北海道新聞社営業局。