“交通空白”の解消に「日本版ライドシェア・公共ライドシェア」の活用を 人口減少が止まらない日本。人口の減少は、労働力不足、民間事業者の参入等の低迷による様々なサービスの低下など、地域経済の縮小につながる深刻な課題です。地域交通の分野においても、公共交通や民間輸送サービスの維持にマイナスの影響を及ぼしています。その地域ごとに、バスやタクシー等の地域旅客輸送サービスの実情を踏まえながら、それら事業者の協力のもと、より利便性や効率性のバランスの取れた公共交通ネットワークを構築することが求められています。そのような状況のなか、地域交通の「担い手」や「移動の足」の不足といった社会問題に対応するひとつの手段として、地域の自家用車や一般ドライバーを活用する制度が創設されました。「日本版ライドシェア」や「公共ライドシェア」と呼ばれる制度で、東北地方でも活用が進んできています。 東北地方の現状と今後の取り組みについて  「日本版ライドシェア」は令和6年3月、タクシーの輸送力供給を補完する目的で、タクシー事業者による運行管理のもとで安全を確保しながら、一般のドライバーに運送サービスを補完していただこうと始められた事業です。東北運輸局管内では令和7年末現在10地域、25事業者で実施しています。  一方「公共ライドシェア」は平成18年10月、交通空白地における移動手段の確保を目的に創設されました。実施主体は市町村やNPO法人等で、交通空白地有償運送と福祉有償運送があり、東北管内では令和7年末現在それぞれ104団体、165団体で運営しています。  東北地方は、全国に先駆けて人口減少と少子高齢化が進んでおり、交通手段の確保は深刻な問題です。需要の減少や担い手不足等により乗合バスの路線廃止やタクシー事業の撤退も顕著になっており、「交通空白」地区・地点や夜の足の確保が難しい地域も出てきております。自治体などが中心となって、デマンド交通などの様々な取り組みも進められていますが、国土交通省としましても、「交通空白」の解消に向け、「日本版ライドシェア」「公共ライドシェア」も含めた多様な交通手段を活用しながら、本年度からの3年間で集中的に取り組んでいくこととしています。  「日本版ライドシェア」は新しい制度ですので、知名度の向上が課題です。地方では特に夜間のニーズもあると思いますが、利便性や安全性も含め制度の周知を図りながら、定着を図っていきたいと考えております。  また、近年頻発化している自然災害の際に柔軟に対応できるよう制度改善を図るなど、これまでさまざまなニーズに応じてアップデートしておりますが、引き続き、機動的に活用できる仕組みを検討してまいります。 国土交通省 東北運輸局長 吉田 昭二 東北管内の日本版ライドシェアの運行状況   R7.12.30時点 ①青森交通圏  青森市(旧浪岡町の区域を除く)、平内町、蓬田村 金・土の午後4時台から翌日の午前5時台 1事業者・6台/R6.7.26から運行開始 ②大館市(旧田代町、比内町の区域を除く) 金・土の午後4時台から翌日の午前5時台 2事業者・4台/R6.12.14から運行開始 ③秋田交通圏(秋田市) 金・土の午後4時台から翌日の午前5時台 4事業者・7台/R7.2.7から運行開始 ④下閉伊郡  宮古市の一部(旧田老町、新里村、川井村)、岩泉町、田野畑村 全日の午前7時台から午後7時台 3事業者・3台/R6.12.19から運行開始 ⑤北上市 全日の午後5時台から翌日の午前8時台 2事業者・6台/R7.7.8から運行開始 ⑥気仙沼交通圏(旧唐桑町、旧大島村に限る) 全日の午前9時台から午後7時台 1事業者・2台/R7.10.20から運行開始 ⑦鶴岡市(旧藤島町、羽黒町、櫛引町、朝日村、温海町を除く) 全日の午後4時台から翌日の午前5時台 1事業者・3台/R7.12.30から運用開始 ⑧尾花沢市 全日の午後4時台から午後8時台 1事業者・2台/R6.12.13から運行開始 ⑨仙台市 金曜の午後4時台から午後7時台 土曜の午前0時台から午前3時台 金曜:9事業者・23台、土曜:5事業者・15台 R6.6.7から運行開始 ⑩二本松交通圏(二本松市) 平日の午前7時台から午後2時台 1事業者・1台/R7.1.17から運行開始 【日本版ライドシェア】 令和6年3月、タクシー事業者の管理下で、自家用車・一般ドライバーを活用した運送サービスの提供を可能とする「日本版ライドシェア(自家用車活用事業)」が始まりました。タクシーが不足する地域・時期・時間帯において、自家用車・一般ドライバーが不足分をカバーします。 Q タクシーと何が違うの? A タクシーとの大きな違いは、ドライバーと車両です。車両には、 「ライドシェア」であることが分かるマークが付いています。一方 、 タクシーと同様に、タクシー事業者の管理のもとで運送サービスを提供しており、安全・安心を確保しています。 日本版ライドシェアは、ドライバーは一般のドライバーで自家用車を使用します。タクシーは、ドライバーがプロのドライバーでタクシー車両を使用します。 ※1 一般ドライバーは、第1種運転免許の保有(タクシー事業者が雇用し、タクシー運転者と同等の研修を受講) ※2 プロのドライバーは、第2種運転免許の保有 Q タクシーと同じように利用できるの? A できます。事前に配車アプリで予約を行うことで利用が可能です。運賃はタクシーと同程度で、予約時に確定した発着地に基づき算出され、原則キャッシュレス決済で支払います。一部の地域では、電話による予約や、現金による支払いも可能です。ただし、タクシーのように流し営業や駅待ちはできないため、停車しているライドシェア車両のドライバーに声をかけて乗車することはできません。 【公共ライドシェア】 バス事業やタクシー事業によって輸送手段を確保することが困難な場合、市町村やNPO法人などが、自家用車を活用して提供する有償の運送サービスです。「交通空白地有償運送」と「福祉有償運送」の種別があります。 ※1 交通空白地有償運送とは、地域住民の方のための“ 移動の足”や観光旅客のための“ 観光の足”を確保したいというニーズをもとに、市町村やNPO法人等が、交通空白地において、当該地域の住民、観光旅客その他の当該地域を来訪する方の運送を行います ※2 福祉有償運送とは、単独ではタクシー等の公共交通機関を利用できない身体障害者の方等が外出するための移動手段を確保したいというニーズをもとに、市町村やNPO法人等が、単独で公共交通機関を利用できない身体障害者の方等を対象に、原則、ドア・ツー・ドアの個別輸送を行います 国土交通省では「交通空白」の解消を早急に進めるため、自治体や交通事業者と一緒に取り組みを進めています。その事例を一部紹介します。 日本版ライドシェア 山形県尾花沢市において、冬期の移動手段不足やタクシー配車依頼による外国語対応の負担を解消するため、日本版ライドシェアを実施。アプリ配車や遠隔点呼を導入し、一般ドライバーを活用した運送サービスの体制が整えられている。 公共ライドシェア 福島県会津若松市において公共ライドシェア(交通空白地有償運送)を実施。市内湊地区における日常生活に必要な移動手段の確保を目的として、NPO法人が予約型オンデマンドバス「みなとバス(写真)」を運営・運行し ている。