国土強靱化シンポジウム in 岡山 自然災害が多い日本。岡山県においても、平成30年7月豪雨により、甚大な被害に見舞われました。私たちの生命と財産を守るため、国の3か年緊急対策をはじめとする国土強靱化、防災・減災の取組は、公共機関、民間企業、地域住民などオールジャパンで進めていく必要があります。自然災害に備えるために、何が必要か。本シンポジウムを通じ、皆さまと一緒に災害に強い地域づくりについて考えていきたいと思います。

国土強靱化
シンポジウム
in 岡山
~水害に備えて~

自然災害が多い日本。岡山県においても、平成30年7月豪雨により、甚大な被害に見舞われました。私たちの生命と財産を守るため、国の3か年緊急対策をはじめとする国土強靱化、防災・減災の取組は、公共機関、民間企業、地域住民などオールジャパンで進めていく必要があります。自然災害に備えるために、何が必要か。本シンポジウムを通じ、皆さまと一緒に災害に強い地域づくりについて考えていきたいと思います。

開催概要

日 時
2019年6月11日(火) 13:30 -16:30
(開場13:00)
会 場
山陽新聞社さん太ホール
(岡山市北区柳町2-1-1)
定 員
200名(先着順)
主 催
山陽新聞社 後援:国土強靱化推進本部、国土交通省、農林水産省

主催者挨拶

松田 正己 山陽新聞社 代表取締役社長

松田 正己

山陽新聞社 代表取締役社長

皆さん、こんにちは。山陽新聞社の松田でございます。本日はご多用のところ「国土強靱化シンポジウム in 岡山 ~水害に備えて~」にご参加くださり、誠にありがとうございます。主催者を代表して厚く御礼を申し上げます。

近年、地球規模の気候変動の影響からか、5月に真夏のような暑さを記録する等、異常気象が常態化しているような感じを受けております。昨年7月に発生しました西日本豪雨災害では各府県が被災しましたが、なかでも岡山、広島、愛媛で大勢の方が犠牲になりました。特に、私たちの郷土岡山は「晴れの国おかやま」と全国に発信しておりましただけに、被災された方たちも「まさか水没するとは」との思いだったのだと思います。

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岡山県では倉敷市真備町地区を中心に多くの犠牲者が出ております。県内27の全市町村で住宅被害が記録されていて、全部で8200戸が全半壊したという県の調べもあります。もう少しで発生から1年になりますが、いまだに約7500人の方々が仮設住宅暮らしを余儀なくされています。改めて犠牲になった皆様に弔意を表しますとともに、被災者にお見舞い申し上げる次第でございます。

今、岡山県にとって、西日本豪雨災害を教訓に、災害にも強い「晴れの国おかやま」づくりが喫緊の重要課題になっており、官民挙げての取り組みが求められています。そうした中で、本日開催するシンポジウムは、2014年に国が国土強靱化基本計画を定めてから5年になり、その後の熊本地震や昨年の西日本豪雨、北海道胆振東部地震などを念頭に、昨年末に見直された「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を踏まえたものでもあります。

気候変動等々の環境変化に伴い、何が起こるか分からない、想定外の災害が起こることを前提に、災害に強い国土づくり、県土づくり、県土の強靱化が緊急課題ということであります。本日のシンポジウムでは被災された倉敷市、広島県呉市、愛媛県大洲市の官民の方に事例報告していただき、その後パネルディスカッションで災害に強い防災、3か年緊急対策を踏まえて、多角的な議論を専門家の皆さん方にしていただきます。このシンポジウムが関係者だけでなく住民の皆さんの意識の高揚につながるとともに、実際に県土強靱化に向けてのソフト、ハード両面でいろんな対策が進んでいくことを期待しているところでございます。

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大臣挨拶

山本 順三 国土強靱化担当大臣

山本 順三

国土強靱化担当大臣

皆さん、こんにちは。只今ご紹介を賜わりました国土強靱化担当大臣、防災担当も兼ねております山本順三と申します。
今日は「国土強靱化シンポジウムin 岡山~水害に備えて~」ということで大勢の皆さま方にお集まりいただいて、この岡山県で開催されることを大変に意義深く思っておりますし、大勢の皆さん方にご参加いただきましたことを心から感謝を申し上げたいと思います。

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さて、昨年1年間本当に全国各地で大きな災害が起こりました。大勢の方がお亡くなりになり、あるいはまた大きな被害を受けられました。改めて皆さま方に心からの弔意とお見舞いも申し上げたいと思うところでございます。

特に大阪北部地震から始まって、西日本豪雨、この岡山もやられました。私の地元は愛媛県ですけれども、愛媛県も広島県もすさまじい被害を受けたわけでございますし、その後雨の降り方が変わってきた気候変動の影響もあるのだろうかなと思っておりますが、台風もたくさん発生し、大型化をして、21号等々で大きな被害が出ましたし、その後に朝の朝刊で写真で驚きましたけれども、北海道胆振東部のあの地震、山腹崩壊ということでございましたが、そういった被害が本当に至る所で起こったわけでございます。私共も災害を止めることはできませんが、それを防ぐことはできるんだという基本概念のもとに、国土強靱化に向けての取組を特にこれから積極的に行っていかなければならないと思います。

この岡山県でも、死者が73名、行方不明者3名、それから住宅も全壊が4,830棟、半壊3,364棟という大きな被害でございました。実は私も大臣に10月2日に就任し、その直後に各県を見て回りましたけれども、同じ雨が降ってもその地域の地形によって災害の質が大きく変わっている。そしてそのことによって、これからの対策もそれぞれに講じていかなければならないということを改めて実感したところでもございます。是非、そういった観点からも、これから大いなる対応を進めていかなければならないと思います。

そういったときに私も地元愛媛県は大臣になる前から災害が起こってあちらこちらへ足を運びましたし、また広島や岡山の人からもいろんなお話を聞きましたけれども、災害情報がしっかりと住民の皆さま方に伝わったかどうか、この点の検証はしっかりしておかなければならない。例えば、国交省から、あるいは気象庁から、あるいはマスメディア、あるいは内閣府、いろんな所からいろんな情報が入り、そしてまた各市町村から避難勧告、避難指示等々の情報が出るわけですけれども、そのことを住民の皆さん方がどう受け止めていただけるのか。

その情報の中身が伝わったのかどうかということについて、実は中央防災会議のもとでワーキンググループを作りました。水害とか土砂災害に関してのワーキンググループで、いろんな議論を集中的にやっていただきましたが、その中で有識者の方々からいろんなご意見が出ました。一つは自分の命は自分で守る、そういう意識付けをこれから日本の国民の皆さん方にしっかり持ってもらおうではないかと。これはなかなか公が切り出すには難しいところがありまして、公が責任回避するのかということにつながりかねないのでありますけれども、実際に例えば私の地元、大洲や上流のダム近くで大変な水害が起こった、消防団の皆さん方が一生懸命に高齢者を助けに行くわけですれども、いやいや私はもう大丈夫だと、ここから逃げないよというような、もう無理やり引っ張り出さなければならないような場面にたくさん遭遇した。それは各所いろんな場面でそういう事態が起こったというふうに思っています。

従って例えば今回5つの警戒レベルに分けて、3になったらもう高齢者の皆さん避難してください、4になったらもう全員避難ですと避難指示、その前の避難勧告。それをどういうふうに判断するかを数字的に判断してもらおうということで、方向性を決めて5になったらもうこれはあちらこちらで災害が起こっていますよというようなことに致しました。これは色分けをしてカラーリングも今考えておるのですが、なかなかまだ最終的には結論は出ておりませんが、ほぼ方向性が決まったので、例えば5になったらもう黒に近い紫でお示しをするというような、そういう方向で今整理をしておるところでございまして、住民の皆さん方に分かりやすい、そういう避難情報を的確に我々が指し示していく、このことが極めて重要であるということで、この6月からそれがスタート致しまして、昨今の豪雨におきましてもレベル3である、あるいはレベル4であるといような情報も出している。そういうところでございます。いずれにしてもそういったことを一つ一つ乗り越えて、いろんな災害から得た教訓というものを次の防災に生かしていくという努力をしていかねばならない、このように思っているところでございます。

それから先ほど国土強靱化の基本計画ということを申し上げましたけれども、5年にいっぺんこれは見直しをするということで昨年の12月に見直しを致しました。それに加えて今回の様々な災害によって、これを何とか防がなければならないという前提のもとに、安倍総理から指示がございました。全国の危険個所を点検せよと、重要インフラをしっかり点検せよと。そして3カ年かけて国土強靱化のためのあるいは防災・減災のための対策を講じよということのご指示がございました。最終的に事業費ベースでいきますと約7兆円、国費3兆円台半ばでありますけれども、それをもってとりあえずこの3年間でやれることは全てやっていこうではないかということになりました。昨年度の補正と今年度の当初予算、これでだいたい7兆円のうちの7割ぐらいを確保する予算が付きました。来年度残りの3割をカバーしていきますけれども、それによって例えば河床掘削をするとか、堤防を強化するとか、そういったハードの事業に加えて、様々なソフト事業にも、また拠点病院たる大きな病院の発電システムをしっかりと整えていく、そういうことも含めて今作業を展開をしているところでもございます。是非そういった意味においては、我々公でやれることは全力を挙げてやっていく。一方では民間の皆さん方の知恵も、そしてまた力も借りる。そして防災意識をお互いが保ちながら、この災害の多い日本の国でお互いがお互いの命を守っていく、そういう流れを作るために、これからも全力を挙げて対応して参りたい。災害に強い国土強靱化、強くてしなやかな国を作って参りたいと思っておるところでございます。

この後、学識経験者の皆さん、経済界、スポーツコメンテイターの方々に参加していただいて「国土強靱化で私たちがすべきこと」というパネルディスカッションが行われる。私も実はお伺いしたいのでありますけれども、せっかく岡山に参りましたので先般真備町を訪れましたけれども、どの様な復旧状況になっているのか、自分の目で確かめたいと思います。そちらの方に今日は行きたいと思いますけれども、後ほどそのシンポジウム、あるいはまたパネルディスカッションの中身というのは聞き及びたいと思っておりますので、そのことがこれから強くしなやかな社会をつくるために大いに活かされるような議論になりますように心からご期待を申し上げて、私からの挨拶に代えたいと思います。皆さん、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

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国土強靱化に関する
説明

小山 陽一郎 内閣官房 国土強靱化推進室 参事官

小山 陽一郎

内閣官房 国土強靱化推進室 参事官

こんにちは。国土強靱化推進室の小山と申します。よろしくお願いいたします。本日は国土強靱化の取組について、3点お話しさせていただきます。「国土強靱化について」「国土強靱化基本計画の見直しについて」「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策について」です。国土強靱化とは非常に堅い言葉ですが、英語のナショナル・レジリエンスと解しております。強くてしなやかな国土をつくる。そういった取組を国土強靱化と言っております。

国土強靱化について

これまで国土強靱化に関しまして、戦後3つの大きな節目があったと考えております。1つは1959年の伊勢湾台風、約5千名の被害が発生しました。そうした教訓を踏まえて災害対策基本法が制定され、国や地方公共団体の防災における責任の明確化、あるいは防災基本計画の策定が行われることとなりました。

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また95年の阪神・淡路大震災。建物が崩れ、高架橋が崩れ、また市街地で大火災が発生し、6千人以上の被害が発生しました。そうしたことから耐震化や密集市街地対策に取り組み、同時に自助共助の大切さを学びました。

そして耐震改修促進法などの法律ができ、建物耐震診断、耐震改修に税制優遇や補助が行われるといった施策が取られてきております。災害対策基本法も改正され、初めてボランティア活動が法律上明記されました。

また東日本大震災。記憶に新しいところですけど、大きな津波により2万人ほどの被害が出て、ハード対策中心の対策では限界がある、ソフト対策・防災教育などを含めたことの重要性、そうしたことを学びまして災害対策基本法も改正されました。

津波防災地域づくりに関する法律も制定されまして、警戒区域、特別警戒区域、いわゆるイエローゾーン、レッドゾーンといった地域の指定をすることとなりました。また、国土強靱化基本法が制定されまして、国土強靱化基本計画を策定するということが定められたところです。

国土強靱化、これは強くてしなやかな社会を形成することですが、それに対する概念として、ぜい弱な社会というのがございます。いったん大規模な災害が起こりますと、経済社会機能が大きく破壊され、そして長期間にわたり復旧・復興に取り組む、こうしたことを今までわが国は繰り返してきました。こうした反省から大規模な自然災害が発生しても、その被害を小さくする、また復旧・復興の時間を短くする、そして最近ではビルド・バック・ベターと言っておりますけど、被災前よりもさらにより良い社会を形成することを目指して国土強靱化の取組を進めております。

基本的な方針としては、ハード・ソフト対策の組合せ。また自助・共助・公助の組合せ。そして非常時にも平常時にも有効な対策。こうしたものを適切に組合せていくことで行われております。

防災と国土強靱化。非常に概念が近いです。兄弟みたいな関係です。ただ違いを明らかにすると、国土強靱化につきましては「事前の対策」が焦点になっております。災害予防、応急体制の整備、迅速復旧・復興の体制構築、これらは両者に共通しております。国土強靱化については、社会経済システムの強靱化、例えば電力などのエネルギー供給の強靱化、運輸などの輸送の強靱化、企業の適正な立地、こうした社会システムの強靱化を含めた概念です。一方、防災につきましては、発災後の応急・復旧・復興、こうしたものを含めた計画として立てられております。

事前の国土強靱化の取組は喫緊の課題と言われております。平成25年以降、洪水、台風、地震、噴火、様々な災害が全国各地で発生しております。「災害は忘れた頃にやってくる」という言葉もありますが、実際のところは「災害は忘れる間もなくやってくる」、そういった実感があるのではないでしょうか。

また今後30年間で7から8割の確率で、南海トラフ地震、あるいは首都直下地震が発生すると言われております。南海トラフ地震の被害想定では被害者23万人、あるいは経済の直接被害170兆円ということで、東日本大震災の10倍程度の被害も想定されているところです。

こうした災害に事前に備えること。これは非常に限られた資源を有効に使う、効率的に使うことにも結び付いております。淀川上流のダムの整備、これは4千億円ほどの費用がかかっております。ただ一方、平成25年の台風で、仮にダム整備がなければ堤防が決壊したのではないかと言われております。もし決壊した際には、経済規模では1兆2千億円の被害が出たという想定もあります。事前に対策を取ったことがいかに経済合理的、効率的かということを示しているかと思います。

また首都直下地震の被害想定におきましても、例えば耐震化を進めることにより人的、あるいは建物の被害が9割程度削減できる、あるいは初期消火活動ですとか感震ブレーカーといった防火対策を進めることによって、95パーセントの人的・物的被害が防げる、そういった推計もございます。

先ほど自助・共助・公助と申し上げましたが、国土強靱化の取組は国、地方公共団体、民間あるいは国民一人一人、それぞれが自分たちの立場に応じて役割分担をして連携して進めることが非常に重要です。中でも民間の取組は非常に重要なところだと思っておりますが、なかなか進んでおりません。そうした環境の整備のために政府としてもいろいろな施策を取っておりますので、いくつかご紹介させていただきます。

民間の国土強靱化は、3つの視点から貢献できると考えております。1つ目は、自らの事業におきまして、製品やサービスにおいて防災上役立つようなものを作ったりサービスを提供したりする。2つ目は、地方公共団体などとの防災協定によって社会貢献を行う。そして3つ目は、事業継続の取組です。これは自助の一部ですが、被災後の経済社会の活動を困難にしないためにも事業継続といった取組は大事です。一方その事業継続計画(BCP)の取組は中小企業においては非常に遅れておりまして、十数パーセントの企業でしか策定されていないと聞いております。

熱心に取り組む事業者の取組を見える化する関係で、事業継続の取組、あるいは社会貢献の取組を第三者の審査委員会が審査する認証制度も設けております。こうしたものも皆さま方の企業において、事業継続などに取り組んだ折には活用されることをご検討いただければと思います。

毎年の税制改正などにおきましても、国土強靱化に資する民間の取組に使えるような税制を拡充してきております。ご利用できるものがあれば、積極的にご利用いただければと思います。またつい最近ですけど5月末に中小企業強靱化法も改正されました。中小企業が事業継続力強化計画を作りますと経済産業大臣の認定の後に補助金の優先適用採択、税制優遇、政策金融を使えるといったことが近々実施される予定です。また中小企業の事業者が取り巻く方々、商工会や商工会議所の方々が地方公共団体と一緒になってこうした中小企業の取組を支援する。そういったことも法律で規定されております。

このように政府としましては、環境整備について努めておりますので、是非自助・共助の取組をよろしくお願いいたします。

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国土強靱化基本計画の見直しについて

次に国土強靱化基本計画の見直しについてです。先ほど国土強靱化基本法が制定されたと申し上げましたが、この法律に基づきまして、我々アンブレラ計画と言っておりますけど、国の他の計画の基本になる計画ということで国土強靱化基本計画を作っております。備えるべき目標、例えば直接死を最大限防ぐといった8つの目標に沿ってそれを妨げる45の最悪な事態を想定しフローチャート分析を行って、それにプログラム的な施策を当てはめる。そういったことで基本計画を作成しております。

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基本計画の策定後5年経ったということで昨年12月に見直しました。その見直しの折にはぜい弱性評価といったものを行っております。起こしてはならない最悪の事態が45ありますけど、そういったものを想定した上でフローチャート分析を行っております。例えば、災害が発生する、建物が倒壊する、道路がふさがれる、消防車・救急車が現場に駆け付けられない、そして多くの被害者が出る。このようなフローチャートを作りまして、それを防ぐ現在の施策にどのようなものがあるか。そうしたことを分析した上で社会システム上のぜい弱性を評価しております。

その評価の後におきましても台風、地震、豪雨、様々な被害が発生しました。国民の生活を支えるインフラが機能しないという事態も数々生じましたので、重要インフラの緊急点検も行いました。これは11月にまとめたものですが、132項目にわたってどうしたら災害時にも有効にインフラが機能するかを点検しました。そうしたことも踏まえて、12月に強靱化基本計画の見直しを行っております。見直しの内容としては、これまでの災害から得られた知見の反映で、被災者の健康、避難生活環境の確保、気候変動の影響を踏まえた治水対策、社会情勢の変化を踏まえた反映としまして、新技術の活用、イノベーションの推進、地域リーダーなどの人材育成と防災教育の充実。このようなことを推進方針として盛り込んでおります。

また最後に防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を作るといったことも基本計画で定めております。特に緊急に実施すべきものについて達成目標、実施内容、事業費などを明示することを閣議決定しております。

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防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策について

最後に3か年緊急対策。これまで防災などにつきましては、人命、財産に焦点が当てられてきていました。一方近年の災害で国民の生活を支えるインフラが機能停止してしまうことが多々起こりました。例えば30年7月の豪雨による上水道の断水。台風21号では空港など交通機能の麻痺。また北海道地震ではブラックアウト。このようなことから重要インフラの緊急点検、3か年緊急対策が行われる流れになっております。

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3か年緊急対策は、防災のための重要インフラの機能維持、国民の経済生活を支える重要インフラの機能維持の二つの観点から、特に3年間で緊急に実施すべきハード・ソフト対策160項目を集中実施することとしています。事業費はおおむね7兆円。国費は約3兆円台半ば。国費につきましては従来の予算とは別枠、上乗せで3年間行うとしております。

160項目事例のいくつかを紹介させていただきますと、例えば河川につきましてはバックウォーター等に対応する堤防のかさ上げなどを120河川において3年間で集中的に実施する。このような対策を行うこととなっております。また、2300あまりの河川について樹木伐採等によりまして氾濫の危険性をおおむね解消させる対策もございます。また逃げ遅れの危険性が高い所につきましては160河川で逃げ遅れの被害を大幅に軽減する。あるいは学校ブロック塀、1000キロメートルにわたって対策を取る。ため池は下流に人が多く住んでいる所、約千カ所について安全性対策を概成する。災害拠点病院におきましては3日間の機能が維持できる非常電源対策。熱中症予防のための情報提供。多言語翻訳システムの高度化。あるいは高齢者のための情報受信機の配備。ハザードマップの作成。様々な対策を160項目にわたり3年間で集中実施という計画を立てているところです。

先ほども申し上げましたけれども、国土強靱化につきましては、国・地方公共団体・民間・国民一人一人それぞれの役割分担、連携、これが非常に重要になってきております。国土強靱化、強くしなやかな社会の形成に向けまして、皆さまにご協力いただけますことをお願いしまして、私の発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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災害時対応事例紹介

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岡山県倉敷市
梶田 英司 倉敷市 総務局 参与 危機管理監

梶田 英司

倉敷市 総務局 参与 危機管理監

昨年7月の豪雨災害と倉敷市の対応

皆さま、こんにちは。倉敷市危機管理監の梶田でございます。倉敷市では、このような集まりでは、平成30年7月豪雨災害の犠牲者への黙祷を行っておりますので、御協力いただければと思います。(黙祷)

昨年7月の豪雨災害からまもなく1年となりますが、倉敷市真備地区では、今なお約7200人の方が自宅を離れ、市内外の仮の住まいで生活を余儀なくされておられます。このシンポジウムでの事例発表のお話をいただいた時、多くの犠牲者を出した災害について語ることに市職員として葛藤を覚えずにはいられませんでした。しかし、当時の市の対応についてお話することも必要なことと考え、お受けいたしました。本日は4月26日に市が公表した「平成30年度7月豪雨災害対応検証報告書」を中心に説明をさせていただきますが、詳しくは市のホームページに掲載しておりますのでご覧いただければと思います。

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倉敷市は面積約356平方キロメートル、人口48万人、うち真備地区は面積約44平方キロメートル、人口約2万3千人の農業が盛んな地区でございます。倉敷市の昨年の正規職員数は3399名、うち防災危機管理室は8名でございました。倉敷市の防災情報の伝達手段としましては、市独自の光ケーブル網と無線LANを活用し、拡声塔と緊急告知FMラジオを組合せた、防災行政無線と同様な機能を持つ、「倉敷市緊急情報提供無線システム」がございます。拡声塔は、市内に355カ所、うち真備地区に27カ所あります。このほか、携帯電話等への緊急速報メール、市のホームページ、ケーブルテレビの広報チャンネルなど、様々な手段で防災情報を市民に伝達しております。また、ハザードマップを全世帯に配布しております。昨年の災害では、浸水範囲がハザードマップとほぼ一致しておりました。また、平成17年の真備町との合併以来、国に要望してまいりました「小田川合流点付け替え事業」が平成26年度に新規採択され、小田川と高梁川の合流点を約4.6キロメートル下流に付け替える工事に昨年秋から着手する予定でしたが、豪雨災害に間に合わなかったことは残念でなりません。

昨年7月6日午前6時から翌7日午前6時までの雨雲のレーダーエコーで、高梁川の上流である県北部に大量の雨が降ったことが分かります。倉敷市市街地中心部にあるアメダスの記録によると、日最大降水量の138.5ミリは歴代2位、最大1時間降水量27ミリは第7位でした。倉敷市消防局が受信した119番通報の件数は7月6日午後10時頃から急激に増加しております。この状況は市の防災危機管理室でも同様でございまして、電話機と対応職員の数を増強したにもかかわらず、処理できない状況となりました。

次に市の体制と避難情報の発令状況についてです。市の体制としては、7月5日の午後5時から注意体制を取り、午後6時30分に大雨警報が発表されたため、午後7時に警戒態勢に移行し、対応する職員数を増員しました。午後7時40分に洪水警報が発表され、午後10時に高梁川に氾濫注意情報が発表されたことから、午後11時に災害対策本部を設置しました。翌6日午前9時30分に第1回災害対策本部会議を開催し、市長から最大限の危機感を持って対応するようにとの指示がございました。午前11時30分には土砂災害を警戒し、山沿いに避難準備、高齢者等避難開始を発令するとともに、第1次非常配備態勢に移行しました。午後10時小田川矢掛水位観測所の水位が急激に上昇を始め、高梁川の酒津水位観測所の水位も上昇したことから、岡山河川事務所との協議も踏まえ、真備地区全域に洪水を警戒して避難勧告を発令しました。

また、市の体制としては最高である第2次非常配備体制を取り、市の総力を挙げた体制としております。午後10時40分に大雨特別警報(土砂災害)、午後11時10分に大雨特別警報(浸水害)が発表されたことから、午後11時45分に小田川の南側に対し避難指示(緊急)を発令しました。翌7月7日午前0時に倉敷地区の高梁川の東側に対しまして、洪水警戒の避難勧告を発令しました。あわせて、イオン倉敷の駐車場や校舎の3階以上を使用する緊急避難場所を6カ所開設しました。

午前0時30分、小田川の南側で越水が確認され、さらに小田川北側の高馬川で「下から水が吹いている」との情報により、午前1時30分に小田川の北側に避難指示(緊急)を発令しました。また、午前1時に岡山県下消防相互応援協定に基づき応援を要請、午前2時過ぎに自衛隊の災害派遣を要請、午前8時に緊急消防援助隊の派遣要請を行いました。夜明けから、自衛隊、警察、消防による救助、捜索を行い、救助した皆さんを水島地区の避難所へ輸送しました。以上のように、真備地区の避難情報は、国の「避難勧告等に関するガイドライン」に沿って適正に発令されたと考えておりますが、多くの犠牲者が出たことを市としては大変重く受け止めております。

真備地区の被災状況

真備地区全体の被災状況について、ご説明いたします。いずれも、国及び県の管理部分ですが、説明の都合上、市からの説明となることをお許しください。

河川の決壊箇所は小田川で2カ所、支流で6カ所あります。また、一部損壊・損傷箇所は、小田川で6カ所、砂防施設の一部損壊が支流の1カ所となっています。当時、私は土木部長として対応しておりました。7月7日未明に状況確認に向かった3班のうち、北側、すなわち末政川の上流から入った班が午前7時前に撮影した写真では、東側が約110メートル、西側が約150メートルにわたって決壊しておりました。末政川の河口から北向きに撮影した写真では、末政川の堤防が3カ所決壊し、二万橋から北向きに撮影した写真では、二万橋での消防や自衛隊の救助活動の拠点が写っていました。高馬川の河口から北向きに撮影した写真では、小田川が約100メートルにわたって決壊しており、高馬川も2カ所決壊。真谷川河口から南方向を撮影した写真では、真谷川が1カ所決壊しており、内山谷川の河口部の小田川堤防の決壊箇所は約50メートルにわたって決壊していました。

国土交通省の排水ポンプ車の緊急災害派遣隊、いわゆるTEC-FORCEチームからは23台が集結しました。国のTEC-FORCEチームはこの他にも、災害調査や路上のがれきを撤去する道路啓開チームなどがいち早く全国から駆け付けてくださいました。ほこり防止のため、毎日8台の道路散水車を運行したところ、結膜炎などの目の疾患が減ったとの報告がございました。自衛隊による大量の災害廃棄物の撤去作業を行っていただきましたが、消防関係者は、内部の温度上昇による自然発火を警戒していました。このほかにも、国の省庁や自治体など全国からの派遣職員、警察、消防、ボランティアなど様々な方の支援をいただきました。小学校の避難所ではカーテンで最低限のプライバシーを確保し、段ボールベッドを導入しました。段ボールベッドは下に生活用品などを収納できるため、狭い空間を有効に利用できました。懸命な救助活動にもかかわらず、多くの方がお亡くなりになられております。

最後に、市が真備地区の方に避難行動について伺ったアンケート結果をご説明します。避難勧告を聞いた人は86.3パーセントとほとんどの方が聞かれています。それを知った手段はインターネットとメールが一番多く、次にテレビ、ラジオ、3位が拡声塔や広報車となっております。自宅以外に避難した人は56.9パーセント、自宅にとどまった方は43.1パーセントですが、これを65歳以上で見ると、自宅にとどまった方が49パーセントと増えることが分かります。自宅以外に避難した人を時刻別に見ますと、地区内で浸水が始まった7月6日の午後10時台から急に増えております。

以上で私からの説明を終わらせていただきます。倉敷市では復興支援室を中心に被災された皆さまが一日でも早く元の生活に戻られますよう、今後とも保健師による見守りや災害公営住宅の建設など、関係機関と連携しながら全力で復興に取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。

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広島県呉市
坂井 学 呉市 復興総室 副総室長

坂井 学

呉市 復興総室 副総室長

呉市の被災状況

広島県呉市復興総室の坂井でございます。どうぞよろしくお願いします。昨年7月の豪雨災害では、国や県、他の自治体の皆さま、そして医療・福祉をはじめ、多岐にわたる分野から多くのご支援をいただきました。加えて、ボランティア活動や個人、団体の皆さまからの寄付金や支援物資の提供など、全国各地の多くの方からのご支援をいただきました。この場をお借りしまして、心よりお礼を申し上げます。

本日は、昨年の豪雨災害による呉市の被災状況や復興計画、それから復興の施策の推進体制などについてご報告させていただきます。少しでも皆さまのご参考になれば幸いです。

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はじめに、平成30年7月豪雨の状況です。呉市では、7月3日6時の降り始めから9日8時の降り終わりまでの最大の累加雨量は、安浦町の野呂川ダム観測所の677ミリで過去最高を記録しました。時間降水量は、同じく安浦町の内海観測所の64ミリが最高となっております。呉港に近い気象観測所における降水量の推移を見ると、6日から7日にかけて降雨が集中していることが分かります。また、1時間雨量を見ますと、6日19時から20時までの51.5ミリが最も多く、1時間に100ミリを超えるような降雨はありませんでしたが、比較的強い雨が長時間降り続いたことで被害が拡大したものと考えています。呉市における降水量の平年値は、7月の1カ月間で227ミリ、1年間で1381ミリですので、昨年7月は、平年値の約3倍、年間平年値の約2分の1の雨が集中したことになります。

次に、被災状況の概要です。人的・家屋の被害状況は、5月26日現在、災害関連死を含めた死者は30名弱、家屋被害は全壊を含め3000件を超え、現在も200以上の世帯の方々が仮設住宅などで生活をされています。公共施設などの被害状況では、市民センター、小中学校など72の公共施設、道路・河川など941カ所のインフラ、21の普通財産に被害がありました。また、断水の長期化では県の送水トンネルへの土砂流入による広域的な断水が同時発生し、最大で全世帯の70パーセントにあたる7万8千世帯、約15万3千人の市民の皆さまに影響が出ました。

次に、JR・幹線道路網への被害です。呉市と周辺市町を結ぶ主要な幹線道路やJR呉線が各所で被災したことで、深刻な交通渋滞が発生し、本市内外の人流・物流に大きな支障が生じました。また、国道や県道も各所で寸断され、まさに陸の孤島のような状況に陥りました。

次に、土砂・災害廃棄物などの発生です。広島県によりますと、今回の災害では呉市内で53万9千トンの災害ごみが発生したと推計をされております。商工業・農水産業への被害では、515カ所の工場や商店街が被災し、農作物の被害面積は51.4ヘクタール、生産量日本一のカキ養殖の過程で使用します、抑制棚と呼ばれる施設338柵が被災しました。最後に、観光への影響では、平成30年7月から9月の大和ミュージアムをはじめとする主要観光施設の来館者数は対前年比で約6割減少するなど、宿泊業や飲食業にも大きな影響がございました。

災害からの復旧・復興に向けた取組

次に、災害からの復旧・復興に向けた取組です。呉市では発災直後の災害応急対応から本格的な災害復興へと体制を切り替えるため、9月11日に呉市災害対策本部を廃止し、呉市災害復興本部を設置いたしました。災害復興本部は,市長を本部長とし,復興計画の策定に向けた検討や計画の推進に加え,特定の課題を解決するためのプロジェクトチームを設置し,豪雨災害からの着実な復興に向けた取組を推進していくこととしました。また同日、復興に向けた取組を集中的に推進するため、復興全体を統括する部組織「復興総室」を新設し、災害復興本部の事務局を担う体制を取っております。

次に、復旧・復興に向けた推進体制です。災害復興本部には特定の課題を解決するため、組織を横断する被災者支援プロジェクトをはじめとした8つのプロジェクトチームが設置されており、このような推進体制により、豪雨災害からの復旧・復興に向けて取り組んでいるところでございます。

次に、呉市復興計画の策定です。この復興計画は、公共施設などの社会基盤や地域経済の迅速な復興、被災者支援、災害に強い安心で安全なまちづくりに向けた施策を総合的・計画的に推進していくための指針として、平成31年3月末に策定しました。策定にあたり、学識経験者や関係機関、市民の方々など全16名で構成する呉市復興計画検討委員会を設置し、被災地の現地視察も行うなど、4回の会議で各方面の幅広いご意見を伺いながら、策定作業を進めました。

次に、復興に向けた基本理念と基本方針です。復興計画では「災害に強い幸せで魅力的な都市を目指して」を基本理念に掲げ、その実現に向け、住まいと暮らしの再建、災害に強い安全で安心なまちづくり、産業・経済の復興、今後の防災・減災に向けた取組の4つの基本方針に基づき、復興に向けて取り組んでいくこととしています。

復旧・復興の主な取組内容

次に、復旧・復興の主な取組内容でございます。住まいと暮らしの再建に向けた取組として、被災者の生活相談・見守り支援を行う3カ所の地域支え合いセンターを開設しています。被災者の住まいの再建では、災害公営住宅50戸の整備の検討を行っています。また、廃棄物・土砂処理では、10月末を目標に損壊家屋の解体・撤去を進めています。

災害に強い安心・安全なまちづくりに向けた取組では、道路126件、河川78件などの土木施設の復旧・強化や、砂防ダム36カ所、治山ダム64カ所の事業推進のほか、災害復旧事業の進捗状況の見える化として、公共災害復旧工事などの施工箇所とその進捗状況を呉市のホームページで公開をしています。この見える化は、市民の皆さまをはじめ、より多くの方に市の復旧に向けた取組の進捗状況を知っていただくために、昨年12月から始めたものです。呉市全域を18の地域に分けまして、市が施工する災害復旧工事で国庫補助対象となるものや、国・県に実施していただく砂防ダム・治山ダムなどで事業実施が決まったものを掲載しており、1カ月ごとに情報を更新し、市のホームページはもちろん、各市民センターにも掲示をしております。

次に、産業・経済の復興に向けた取組です。呉市は大きな被害を受けましたが、市の観光施設などは通常どおり営業しており、市外、県外から皆さまにお越しいただくことを心待ちにしております。先月行われました「復興応援 呉ご当地キャラ祭」には全国から約3万2千人の方にご来場いただきました。

次に、今後の防災・減災に向けた取組です。今年の出水期に備えた取組として、すべての市民の皆さまに、地域での避難訓練の実施と参加を呼びかける市長メッセージを発信いたしました。また、避難に関する事前準備の周知として、防災情報メールやテレホンサービスの活用なども市民の皆さまに呼びかけております。さらに、自治会などにおける豪雨災害を想定した避難訓練の実施と訓練実施の促進にも取り組んでおります。

最後に、復旧・復興の目標、目指す姿でございます。一つ目は、被災した市民の皆さまが被災前の当たり前の生活を取り戻すこと、そして二つ目が、災害に強い、幸せで魅力的な都市「呉市」へ復活・再生をすることです。これらの実現に向け、国や県、関係機関などの皆さまと連携を深めながら、呉市、市民、そして関係者が一丸となり、豪雨災害からの一日も早い復旧と復興に取り組んでいるところでございます。

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愛媛県
原田 浩 株式会社誠実村 代表取締役社長

原田 浩

株式会社誠実村 代表取締役社長

経営者としての被災後の心境

皆さん、こんにちは。私は愛媛県大洲市でこんにゃくの製造業をしています株式会社誠実村社長の原田です。実際に被災した田舎の零細企業の経営者の目線で、11カ月たった思いを込めながら発表いたしますので、よろしくお願いいたします。

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33年前にこんにゃく製造業を創業いたしまして、こんにゃくの和菓子を作ったり、農業法人格を取って農業を会社で始めたりして参りました。昨年4月、野菜を乾燥させる工場を作りましたが、その約2カ月後に水害に見舞われました。私の住んでいる愛媛県大洲市の市内はおそらく6割7割が浸水しました。4万4千人余りの小さな市ですが、市内のほぼ全域が浸水したような写真もあります。水位は最高地点で約4メートルでした。翌朝、道路にあるがれきなどをよけながら浸水した工場に行ったところ、がれきや泥もたくさんありましたし、工場の中の様子も変わり、機械などいろんな物が浸水によってかなり移動しておりました。15、6トンはあろう機械のラインまでも位置が変わってしまっていました。

私自身はこの光景を見た時に、ぼう然としましたが、田舎のいいところと言いましょうか、近所の方とか得意先の方が手伝いに来てくれたり、私や息子の知り合いがいち早くボランティアとして片付け作業に駆けつけてくれたりして、その方々から背中を押されて、作業に入ったような状況でした。

災害の日からすぐは、従業員さんや近所の方、知り合いの方の安否確認や被害状況の確認をしました。従業員の家も11軒で1階の浸水被害があることが分かりました。当然、会社の作業をする状況にないスタッフもたくさんいました。直接被害を受けなかった従業員もいますが、被害のあった同僚の家の復旧、片付けを手分けしながらやりました。1~2週間はみんな無我夢中でした。

災害から1カ月ぐらいたって、ハード面の家、工場、設備などは国、県、市などの補助金や金融機関の融資などでいろんな協力をいただきまして、なんとかなるという見通しがつきました。ただその時一番不安に思ったのが、経済活動の上で売り上げの減少です。やはり2割3割は落ちてしまっています。1カ月しかたっておりませんから、売り上げ回復どころではないのですけれども、経営者として事業を続けていく、継続していくために大事な売り上げをどういうふうに回復していくのかというのが、なかなか目途が立たずすごく不安に思って過ごしていました。愛媛県に日本食研という会社がございます。私は以前、日本食研さんの社員として働かせていただいており、退社して誠実村を創業しました。日本食研さんの会長、また社長からお見舞金をいただいた際、とにかく商品をどんどん売っていきましょうと声をかけていただきました。これまでも取引していただいていましたが、商品をもっと販売していくためにキャンペーンを組みます、と。新しい商品を開発しましょうとも言っていただきました。また先日は、全国から営業の方が、仙台、東京、大阪、九州と各地からうちの方に来て、どうやって誠実村もしくは被災地の商品を作って売っていくのかということを軸に、いろんな情報交換をさせていただきました。

希望や勇気に変わる民間同士の援助

被災した地域の食品や農産物、いろんなものを優先して買おうという商談会を3月14日に愛媛中小企業家同友会のメンバーが開き、積極的に購入してくれました。来月にも第2回を予定しています。愛媛生協さんからも、この秋口から共同購入や店舗販売といった販売ルートを使って、被災地のいい商品をお客さまに届ける、そういうことによって直接もしくは間接的に応援していこうと協力をいただいております。民間同士でのこういったお話をいただいて、すごく希望を抱いております。それが復旧、復興に向かって被災した人間、企業の一人としてすごく勇気づけられているところでございます。

行政の補助金などの支援はとてもありがたい。これは大前提でございます。住宅や工場、設備などは金銭的な援助で元の状態に復旧することは可能です。しかし、事業経営を元に戻すことは時間がかかります。ハード面では工場などが元に戻っても、お客さまが被災して、顧客の状況などの環境が大きく変わっていることもあります。復旧して再開しても、すぐには売り上げが戻ってこないことを実感しました。私たち田舎の地域経済はハードを戻せばすぐに元に戻るものではないなと痛感しております。気持ちが折れそうな時、日本食研さんや愛媛生協さん、愛媛中小企業家同友会の皆さんなどとの、災害前に民間レベルで恒常的に行っておりました商取引をより充実させる支援的な取組は非常に心強いです。

民間では、個人であればご近所同士の助け合いに似た商取引、もしくは取引ではなくても商業的なアドバイスをいただいたり販売促進にお力を貸していただいたりすると、被災企業や経営者は明日に向かって頑張っていける、そんな風に感じます。

復旧、復興に大きな力になったということで、私自身はハード面において国土強靱化は絶対的に必要と思っていますが、加えて、一人一人の気持ちが折れないような環境づくり、企業がずっと継続できるような支援も強靱化につながると思っております。支援を促す啓発的な仕組みや、援助する側の企業を応援していく制度ができれば啓蒙につながると考えます。そういった取組を通じて、結果的に私たち被災企業が明日に向かって力強く生きていける一つの要因になると思います。

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パネルディスカッション
「国土強靱化で私たちがすべきこと」

<パネリスト>

  • 田中 淳氏 東京大学大学院情報学環教授

    田中 淳

    東京大学大学院情報学環教授

  • 山田 正氏 中央大学理工学部教授

    山田 正

    中央大学理工学部教授

  • 井上 峰一氏 倉敷商工会議所会頭

    井上 峰一

    倉敷商工会議所会頭

  • 山本 清志氏 岡山西農業協同組合理事

    山本 清志

    岡山西農業協同組合理事

  • 小谷 実可子氏 スポーツコメンテーター

    小谷 実可子

    スポーツコメンテーター

  • 梶田 英司氏 倉敷市 総務局 参与 危機管理監

    梶田 英司

    倉敷市 総務局 参与 危機管理監

  • 小山 陽一郎氏 内閣官房 国土強靱化推進室 参事官

    小山 陽一郎

    内閣官房 国土強靱化推進室 参事官

  • <コーディネーター>

    中西 悠理氏 フリーアナウンサー

    中西 悠理

    フリーアナウンサー

「国土強靱化で私たちがすべきこと」

「国土強靱化で私たちがすべきこと」

パネルディスカッションには、田中淳・東京大学大学院情報学環教授、山田正・中央大学理工学部教授、井上峰一・倉敷商工会議所会頭、山本清志・岡山西農業協同組合理事、スポーツコメンテーターの小谷実可子さん、梶田英司・倉敷市総務局参与危機管理監、小山陽一郎・内閣官房国土強靱化推進室参事官、が参加し「国土強靱化で私たちがすべきこと」をテーマにそれぞれの立場から熱心に議論を交わした。進行役はフリーアナウンサーの中西悠理さん。

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