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ハートマークで被災地を癒す(仮訳)

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東京都千代田区のオフィス街にある「3331 Arts Chiyoda」のギャラリーで、4月23日、「Heartmark Viewing」のワークショップが開催された。Heartmark Viewingは、ハートマークの布を縫いつけた四角い布を集め、その四角い布同士を縫い合わせて大きなタペストリーを作り、東日本大震災の被災者が暮らす避難所や仮設住宅に飾るというアートプロジェクトだ。プロジェクトの拠点となっている3331 Arts Chiyodaには、インターネットや新聞報道でプロジェクトを知った国内外の人々からハートマークの付いた布が送られてくる。ワークショップでは、そうした布を、約2メートル四方の大きさに縫い合わせる作業が行われた。

「被災地のために何かしたいと思っていても、何をして良いのか分からなかったのです」とワークショップに参加した40代の女性は言う。「布をどのように組み合わせれば、明るい飾りになるかを考えながら作るのは楽しいですね」

Heartmark Viewingの発案者はアーティストの日比野克彦(Katsuhiko Hibino)氏だ。日比野氏は2004年の新潟県中越地震の際も、色鉛筆やスケッチブックを持ち、被災地の避難所を巡り、子どもたちと一緒に絵を描いて過ごすという活動を行っている。

「Heartmark Viewingは被災者がほっとする空間を作るため、また、被災者へ何かをしたいという人の気持ちを形にして、被災者に届けるために始めたのです」と日比野氏は言う。「誰もが愛や心をイメージするアイコンなので、ハートマークを使うことにしました」

ワークショップは京都、大阪、岐阜、熊本など数多くの場所でも開催されている。家族や友人グループで参加する人も多い。現在までHeartmark Viewingに参加した人は300名を超える。

そして、4月29日から5月8日にかけて、茨城県、福島県、宮城県、岩手県の計12カ所の避難所で、完成したハートマークのタペストリーの贈呈やワークショップの開催が行われている。それぞれ、5名から15名ほどが参加した。ワークショップに参加した被災者からは「自分で何か物を作るということが久しぶりで、楽しかった」という声が上がった。完成したタペストリーは、避難所内に飾られている。

今後も岩手県での祭りや、福島県の博物館や温泉地で、ワークショップが予定されている。

「被災者の方に、自分も表現者として参加できるのだということを感じてほしいのです」と日比野氏は言う。「アートを創造している間は、避難所で生活しているという現実の時間とは異なる、自分自身の時間が持てるのです。それが、被災者の心にとって、非常に大切なことだと思っています」

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