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Highlighting JAPAN

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シーテックジャパン(仮訳)

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世界最大規模の統合的コンテンツフェスティバルの「コ・フェスタ」のオフィシャルイベントであり、アジア最大級のIT・エレクトロニクス展示会でもある「シーテックジャパン」が、10月4〜8日、千葉県にある幕張メッセで開催され、約17万人が来場した。展示会は今年で12回目となり、国内外の586社・団体から最新技術・製品・サービスが出そろった。

東日本大震災後の電力不足を反映し、今回は特に環境・エネルギー関連事業の展示が目立った。主役は従来の薄型テレビをはじめとするデジタル家電から節電技術や太陽電池へと代わり、同時に日常生活に変化をもたらすユーニークな製品や着想も話題を呼んだ。松原敏雄がいくつかの製品を紹介する。


日産自動車:スマートハウス

日産は自社のEV「リーフ」を蓄電池代わりに使う近未来の住宅を展示した。リーフのバッテリー蓄電能力は24kWhで、一般家庭の約2日分の使用電力を賄う能力を持つ。太陽光発電と燃料電池というダブル発電にこのバッテリーを組み合わせた給電システムを採用することによって、天候に左右されない安定した自家発電が維持できるようになる。

太陽光発電や夜間電力を使ってリーフを充電し、必要に応じて家庭に電気を供給することで、ピーク時の電力消費を抑えることはもちろん、災害時などの停電にも対処できるという。「電気の自給自足」ができるアピールに高い注目が集まった。

コーデンシ:LED BLOCK

LED BLOCKはフルカラー表示のLEDを内蔵することで様々な映像を映し出せる新しいタイプの装飾用発光ブロックで、卓上アクセサリーから大規模ホールでのオブジェまで幅広い用途に活用することができる。内蔵コネクターによってブロックを組み合わせるだけで配線も完了するため、任意の立体形状を簡単に作って発光展示させることができるのが特徴だ。

各ブロックにはマイコンが組み込まれ、付属のソフトを使ってパソコン上で発光パターンを自在に作成できる。組み上げた立体ブロックに、フルカラーの動画を表示することも可能だ。次々と変化する光のグラデーションに思わず足を止める人が多かった。

村田製作所:ムラタセイサク君・ムラタセイコちゃん&電動歩行アシストカー

CEATEC JAPANの人気キャラクターとしてすっかり定着しているのが、自転車および一輪車型ロボットのムラタセイサク君とムラタセイコちゃんだ。ともにジャイロセンサで傾きを検知し、胴体に搭載された「リアクションホイール」を回転させることで微妙なバランスを保ちながら進むことできる。デモンストレーションではカーブになった細い坂道をぴったり正立したまま登りきり、見学者から拍手がわき起こった。

この独自の制御技術を応用して開発されたのが電動歩行アシストカーで、倒れる方向に自動的に移動することでバランスを保ちながら歩行をアシストする。ベビーカーやショッピングカートなどへの活用が期待されている。

凸版印刷:バーチャルフィッティングシステム

凸版印刷がドイツの研究機関と共同開発したシステムで、着替えをせずに衣服やアクセサリーなどの試着を疑似体験できる。画像認識や合成技術などを活用し、カメラに写った利用者の体形に合わせて衣服などの画像をディスプレー上で合成する。従来は体形や服のゆがみは反映されず、あらかじめ用意した服の画像を画面上で合成するだけだったが、今回は服のゆがみを解析することで違和感のない試着体験が可能となった。

システムの導入が予定されるアパレル・流通業界などの店舗は試着スペースや接客時間が短縮でき、利用者は試着を繰り返す煩わしさから解放されることになる。CEATECでの発表と同時にシステムの販売も開始された。

タイコ エレクトロニクス ジャパン:TE Copter

今回の展示で最も異彩を放っていたのが、手回しで上昇する人力ヘリコプターだ。操縦席に設けられたハンドルを手で回すとプロペラが回転し、支柱に固定されたシーソー式のヘリコプターを最大約1.6メートルまで上昇させることができる。

一見するとローテクな印象を受ける人力ヘリコプターだが、使用されているケーブルやコネクター類は全て小惑星探査機「はやぶさ」に搭載された部品と同じもので、内部には最先端のハイテクがふんだんに取り入れられている。搭乗者の体重を計測すると同時にシーソーの反対側にある重りを移動させてゼロバランスを保つので、女性や子供の弱い腕力でも簡単に浮上させることができる仕組みだ。


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