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Highlighting JAPAN

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特集震災から1年:被災地で活躍する外国人

バヤニハンで復興(仮訳)

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宮城県気仙沼市で、国内外の視聴者にタガログ語で情報を発信するなどの活動を行うバヤニハン気仙沼フィリピーノ・コミュニティのメンバーに、ジャパンジャーナルの澤地治が話を聞いた。

「バヤニハン気仙沼Radio!」

"DJ アイビー"こと伊藤チャリトさんの元気な声で番組はスタートする。バヤニハン気仙沼Radioは気仙沼に住むフィリピン人が結成した「バヤニハン気仙沼フィリピーノ・コミュニティ」のラジオ番組だ。バヤニハンとはタガログ語で「助け合い」という意味である。

約1時間の番組内容は、震災情報、生活情報、フィリピンのヒット歌謡曲など盛りだくさんだ。番組は日本語、英語、タガログ語を入れまぜながら進行する。

伊藤さんの自宅で番組は録音され、兵庫県神戸市の多言語コミュニティ放送局である「FMわぃわぃ」を通して、全国のインターネット放送、地域ラジオ局に配信される。

バヤニハン気仙沼フィリピーノ・コミュニティは東日本大震災後、気仙沼に住む約70名のフィリピン人で設立された。その多くは日本人と結婚したフィリピン人女性だ。当初、主な活動は各地から送られてきた支援物資をフィリピン人とその家族に配給することであった。そうした活動を知ったFMわぃわぃの関係者から、ラジオを通じた情報発信を勧められたのだ。

「ラジオの経験など全くないので最初どうしようかと悩みましたが、フィリピン人の仲間のためにと考え、始めることにしたのです」と伊藤さんは言う。「今は本当に楽しんで番組を作っています」

FMわぃわぃなどいくつかの団体の支援を受けながら、昨年7月から現在まで、バヤニハン気仙沼Radioは約1ヶ月に1回程度放送されている。

放送が開始されると、日本だけではなく、フィリピン、インドネシア、アメリカなど海外の国からも「応援しているからがんばって!」といった激励のメッセージが寄せられた。

「そうした支援の声を聞くと、本当にがんばろうという気持ちになります」と、伊藤さんとともに番組を作っている高橋レイチェルさんは言う。「仲間の輪が広がり、人と人とのつながりが強くなりました」

今、バヤニハン気仙沼フィリピーノ・コミュニティの活動はさらに広がりを見せている。津波の被害を受けた道路沿いに花を日本人と協力して植える、介護士や英語教員を目指すフィリピン人女性を支援するなど様々だ。

「働いていた工場が津波に流されてしまったメンバーが、新たに介護士の資格を得て働き始めることが出来たので、非常に嬉しいです。私たちの日常生活が戻ってきています」と高橋さんは言う。「気仙沼は人も優しいし、静かだし、とても暮らしやすいです。津波はあったけど、ここを離れたくないですね」

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